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UV_EB研究会リスト

放射線研究会リスト

放射線シンポジウムリスト

25回放射線利用総合シンポジウム概要聴講記企画委員会名簿

開催日 平成29123日 於 大阪大学中之島センター

 

1.[ONSA奨励賞受賞講演]
放射化学アッセイ法を利用したチャバネアオカメムシにおける
光周性の神経内分泌機構に関する研究
(会員ページ )

京都大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 研究員 松本圭司

 チャバネアオカメムシのメス成虫は明瞭な光周性を示し、短日条件により卵巣発達を抑制し冬を越す。光周性の神経内分泌機構を解明するため、卵巣発達に必要な幼若ホルモン(JH)合成の調節機構に着目して研究をおこなってきた。JH合成器官を3H-メチオニン存在下で培養し、分泌されたJHに含まれる3H量を測定することでJH合成量を測定できる。本講演では、この放射化学アッセイ法を基軸とした研究成果について紹介する。

 

2.放射線の生体影響〜福島から何を学ぶ〜(会員ページ )

ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部 室長 宇野賀津子

 東日本大震災以降6年近い月日が経過した。演者は2011年秋から日本学術振興会の産学協力研究事業に係わる説明会チームの一員として福島入りして以来、日赤、県や地域の学習会の講師を務め、また学振の「放射線の影響とクライシスコミュニケーション」の分科会主査を務めた。その中で感じた科学者の役割、クライシスコミュニケーションのあり方、事故後3年以上たって見えてきた原発事故の被害の実態、について報告する。

 

3.宇宙における長期滞在と放射線の防護(会員ページ )

宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門

有人宇宙技術センター 技術領域主幹 永松愛子

 宇宙放射線による人体深部への被ばく線量被ばくは、ISSの滞在日数を制約するのと同様に、有人惑星探査ミッション期間を定義するものになる。地磁気圏外を飛行する有人惑星探査ミッションでは、ISSよりもはるかに過酷な放射線環境であり、「宇宙放射線による被ばく」が最も大きなリスクおよびハザードのひとつとなる。
 2030年以降の月面および火星表面を想定した将来有人探査の安全な実現に向け、宇宙放射線に対する遮蔽・防護技術の取組について紹介する。

 

4.[ONSA賞受賞講演]
放射光を利用したレジストの開発に関する研究
(会員ページ )

兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 教授 渡邊健夫

 2020年には10 nm幅半導体配線パタン形成が要求されている。半導体用リソグラフィ技術では、形成する線幅と同等程度の露光波長が必要であり、13.5 nmの極端紫外光を用いた極端紫外線リソグラフィ(EUVL)技術が最も期待されている。このため、我々はニュースバル放射光施設を用いてEUVL技術開発を進めており、この開発の状況と課題について報告する。

 

5.電子顕微鏡の照射効果研究への応用(会員ページ )

大阪大学名誉教授、大阪大学超高圧電子顕微鏡センター 特任教授 森 博太郎

 はじめに、透過電子顕微鏡(TEM)法の最近の発展に触れる。次に、超高圧電子顕微鏡を含むTEMによる電子照射効果の研究例を紹介する。MeV電子照射下で引き起こされるCrFe系σ相のbcc相への変態や、keV電子照射下で誘起されるPt/SiOx界面におけるPt2Si化合物の形成(電子励起による固相反応)について議論する。

 

6.東電福島事故の発生要因と二度と重大事故を起こさないために(会員ページ )

国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 特別顧問 齋藤伸三

 20113月に発生した東電福島第一原子力発電所事故は、想定外の津波によりタービン建屋内に設置していた非常用発電設備が冠水使用不能となり崩壊熱を除去できなくなったことが根本的原因であるが、同事故の主な発生要因と二度とこのような重大事故を起こさないために何が必要か、どのような対策が取られているかを述べる。

 

7.ニホニウム発見
─森田浩介らはいかにして113番元素の命名権を獲得したか
(会員ページ )

仁科記念財団 常務理事 矢野安重

 このたび森田浩介氏(九州大学教授、理化学研究所仁科加速器研究センター・グループディレクター)の率いる研究グループが、「113番元素の発見者」として国際純正応用化学連合(IUPAC)によって認定され、同グループが提案した「ニホニウム Nh」が周期表に加わることになった。エピソードを交えその経緯を語る。

  

 

24回放射線利用総合シンポジウム概要(聴講記)(企画委員会名簿

 開催日:平成28年1月25日 於 大阪大学中之島センター

1.湯川博士と原子力(会員ページ)

法人あいんしゅたいん理事長 元日本物理学会会長 坂東昌子

 20世紀は、原子の構造とそこに働く新しい力が解明され、科学の新展開の時代であった。一方で、原子核エネルギーの発見が、世界を席巻したファシズムの時代に始まったのは大変残念なことである。
こうした歴史の中で、物理学者たちが何を目指したのか、それを現在の問題とつなげて考えて見たい。
はじめに()
 ヨーロッパからはるかに離れたこの日本にも、この時代に新しい学問分野に挑戦した科学者がいました。その人たちは、大学の枠を超えて量子力学を勉強し、情報を交換しました。西欧からの情報をみんなで共有し、検討し、「追いつく」姿勢ではなく「追い越して追いつく」という意気込みだったのですね。
一方で、この20世紀初頭、原子力(原子核というほうが正しいのですが、通常の使われ方でこう書きます)エネルギーの発見が、世界を席巻したファシズムの時代に始まったために、科学の成果が戦争の具として最初に使われ、そのために人類に甚大な被害を与えました。
こうして、科学と社会の在り方に深刻な問題を提起した時代でもありました。
以上の2つのことを考えながら、現代の原子力の問題を考えてみたいと思います。

2.放射線計測と聞き取りを通して生徒達と学んだ広島・福島 (会員ページ)

奈良学園中学校・高等学校 教諭 工藤博幸

 中高生が実際に広島や校内や福島で行った計測と聞き取りを報告したい。当初、私達自身が広島の現在の放射線量という自然科学的側面の誤認識をしていた。これがきっかけで、広島で9年続いた生徒の研究は福島に場所を移し、自然科学的側面に加え人々の心という社会的側面をあわせて研究対象として続いている様子を報告する。
研究の背景
 私達のグループでは2002年から2010年までの9年間、卒業生達は継続して被曝地広島市内における現在の放射線量を現地で実際に計測し、被曝地の地表面の浄化メカニズムを校内で試作したモデル実験による計測とともに考えてきた。
被曝70年を迎える現在、広島の放射線量は他府県と変わらない。
卒業生達のこの広島研究では、この自然科学面での探究に加えて、人々の被曝地広島への偏見や誤解がどういう状況であるかという社会面での探求も併せて行われた。
結果として、広島の放射線量の現況と乖離した人々の被曝地への心、つまりまだ広島の放射線量が他府県よりも高いのではないかという誤認識や偏見があることも聞き取り調査から明らかにされた。
2011
3月の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故によって、不幸にして放射性物質による土壌汚染が見られた。これにより、福島県の物産への風評被害も生じた。
卒業生達が広島研究でしてきたように、福島においても放射線量の低減の状況や人々の心の現況について経年変化を調べ、その結果を私達の中高生の目線でも正しく情報発信することが必要だと考えている。
放射線の誤認識から生じる人々の心が二次的に被災地の皆さんを苦しめたり風評へとつながってしまわないかを継続して観察し、皆が正しく理解する必要があると思える。

3.放射線教育の現状と課題−放射線は魅力的な探究活動のテーマ−(会員ページ)

京都府立桃山高等学校 教諭 高橋信幸

 高等学校での放射線教育について、勤務校での実践を例にとりあげて現状と課題を紹介する。なかでも桃山高校グローバルサイエンス部の部員達の活動をふりかえり、高校生が魅力を感じ積極的に放射線について探究する姿から見えてきた課題研究のテーマとしての放射線の可能性について考えてみたい。
はじめに
 高等学校での放射線教育は、物理を学ぶ高校生のうちの一部の生徒が対象になっている現状がある。原子力発電に関する扱いは現代社会や世界史Aなどで見られるが、科学的知識を併せて学ぶものとはなっていない。
高等学校の教育課程全体としてみると、科学的知識に基づいて現代の原子力利用について主体的に思考o判断を行える市民に必要な教養教育としは心許ないのが現状である。
一方で、アクティブラーニングとして導入が進んでいる生徒の能動的な学びの場として、理科課題研究などの探究学習が広がりを見せている。
勤務校ではこの課題研究のテーマとして自然放射線量測定の結果から判明した地域差の原因を探る探究活動に取り組んできた。
なかでもグローバルサイエンス部の部員達はこの活動に魅力を感じ積極的に放射線について探究を深めていった。
なぜ、これほどまでに放射線に関する課題研究は高校生の心をとらえるのだろうか。ここでは、その要因の考察を通して課題研究のテーマとしての放射線の可能性について考えてみたい。

4.[ONSA賞受賞講演]
核融合プラズマおよび大気圧プラズマの熱流束計測
(会員ページ)

大阪府立大学 地域連携研究機構 准教授 松浦寛人

 核融合プラズマが運ぶ熱流束は太陽表面のそれをしのぐため、その軽減化は重要な工学的課題となっている。大気圧放電プラズマは熱に弱い食品や生体物質への適用も提唱され、その微小な熱流束の正確なモニタリング技術は欠かせない。本講演では、講演者が行って来たプラズマ熱流束の評価方法の紹介を通して、これらのプラズマを利用する工学的側面を概説したい。
核融合炉についての熱的評価()
 太陽は宇宙にあまた存在する核融合炉の一つで、地球が形成される前から膨大な量の原子力エネルギ一を供給している。
ここで、「原子力エネルギー」とは原子力基本法にも規程されている「原子核変換に伴うエネルギー」のことで、太陽以外の恒星が放出している物と同じである。
従って、「太陽エネルギ一」という用語はいわゆる「自然エネルギー」と同様にある意味では曖昧なものであると言わざるを得ない。
恒星ごと(正確にはその質量ごと)に起こっている原子核反応や発生エネルギーは異なり、太陽に限定しても時代ごとに異なっていることは最近の天文学から判って来ているが、今の太陽では原子核反応で原子力エネルギーが解放されている。
このうち、最初の反応は陽子の1つが弱い相互作用により中性子にベータ崩壊するため、極めてゆっくりとしか進行しない。(他の2つは強い相互作用による核子の組み替えのみであるため、急速に進行する。)太陽が何十億年もエネルギーを発生し続けるのはこの為である。

 

5.[ONSA奨励賞受賞講演]
小動物用マイクロCTを用いた生体微細構造評価と病態モデルへの応用(会員ページ)

大阪大学医学系研究科保健学専攻 医用工学講座 助教 齋藤茂芳

 病理検査は脳や脊髄などの中枢神経系の微細構造よる病態評価が可能である。詳細な神経構造の観察が可能であるが、脳脊髄全体に渡る評価には多くの労力を要する。我々はマウスの脳および脊髄組織に対し、造影剤浸透下でのマイクロCT画像を取得し、高磁場11.7T-MRI画像との比較、免疫染色との比較、病態モデルへの応用を行った。
緒言()
 病理組織学検査は、脳や脊髄などの中枢神経系の微細構造、組織特異的な染色による病態評価が可能である。光学顕微鏡を用いることで染色後の組織における詳細な神経構造の観察が可能であるが、脳脊髄全体に渡る多断面での評価には多くの労力を要する。
Ex-vivo
での脳および脊髄組織の高分解能MRI画像を用いた評価が多く行われているが、その一方でIn-vivoで撮影した場合、マイクロ CTを用いた場合白質と灰白質のCT値の差はほとんどないため中枢神経系の評価には向かない。

6.認知症の分子イメージング研究(会員ページ)

放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター 主任研究員 島田斉

 日本は世界一の高齢化率をほこっており, 人口高齢化を背景に増え続ける認知症は大きな社会問題となっている. 分子イメージングは生体内での分子プロセスを可視化する画像技術であるが, 認知症の病態解明や根本治療薬の開発に寄与することが期待されている. 本講演では, 認知症分子イメージング研究の最新の成果を紹介する

 

7.東電福島第1原発の廃炉のための研究基盤創生(会員ページ)

日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 福島研究基盤創生センター 所長 河村弘

 東電福島第1原発の廃炉作業では、遠隔機器・装置を用いた調査・作業と、サイト内の多量の放射性物質を放射性廃棄物として処理・処分することが必要不可欠である。これら廃炉作業を効果的かつ効率的に行うため、2つの研究施設を福島県の楢葉町及び大熊町に各々整備中である。これら施設の整備状況と関連研究開発の現状について報告する。
廃炉に向けた取り組みの経緯()
 201328日、原子力災害対策本部において、燃料デブリ取り出し等に向けた研究開発体制の強化を図るとともに、現場の作業と研究開発の進?管理を一体的に進めていく体制を構築することを目的として、1F廃炉対策推進会議(以降、「廃炉対策推進会議」と称す)が設置され、政府・東京電力中長斯対策会議は廃止された。
1回廃炉対策推進会議が201337日に開催され、議長である茂木経済産業大臣からの指示により、中長斯ロードマップの改訂版が廃炉対策推進会議で627日に決定された。
さらに、第1回廃炉対策推進会議において、「遠隔操作機器o装置の開発o実証試験施設」と「放射性物質の分析o研究施設」の整備を日本原子力研究開発機構(以降、「原子力機構」と称す)に行わせるとともに、前者は檜葉町に設置されることが決定した。
後者は、2014627日に開催された廃炉o汚染水対策チーム会合において、東京電力()福島第一原子力発電所の隣接地(大熊町)に設置することに問題がないことが確認された。

 

8.陽電子:身近で役に立つ反粒子(会員ページ)

高エネルギー加速器研究機構特定教授

東大名誉教授  兵頭俊夫

 陽電子は、電子の反粒子で、電荷がプラスである以外は電子と同じ性質を持っている。電子と出会うと対消滅してγ線になる。そのγ線を検出して材料中の細孔のサイズを測ったり、がんの所在を見つけたり(PET)、また、結晶表面で全反射する陽電子を検出して表面の原子配置を決めること等に使われている。これらの使い方についてお話する。
はじめに
 すべての素粒子には反粒子がある。電子は最も早く、1897年に発見された素粒子である。
陽子や中性子などが、今では物質の究極の素材という狭い意味の素粒子ではなくなり、その立場をクオークに取って代わられているのと違って、現代物理学においても狭い意味の素粒子である。この電子の反粒子が陽電子である。
反粒子だから、電荷が正であること以外は、電子と全く同じ性質をもっている。陽電子は、反粒子の中では最も早く発見され(1932)、現代の我々にとって最も身近で役に立っている。その意味でも電子に似ている。
本講演では、陽電子がどのように身近で役に立っているのかを、例を挙げながら説明したい。
特に、がんの診断に使われるPET (Positron Emission Tomography,陽電子放出断層撮影法)、空孔型格子欠陥のプローブ、全反射陽電子回折法(TRHEPD)における使われ方を述べる。

 

 

23回放射線利用総合シンポジウム概要 (聴講記)(企画委員会名簿

 開催日:平成27年1月26日 於 大阪大学中之島センター

1.宇宙と放射線(会員ページ )

大阪府立大学 地域連携研究機構 放射線研究センター 教授 谷口良一

 私たちは昔から放射線によって宇宙とつながりを持ってきた。自然放射線の3分の1は宇宙からのものである。オーロラをはじめ夜光雲、宇宙線シャワーなど、昔から私たちは経験してきた。何の役にも立たないと思われてきた自然放射線も技術の進歩によって、役立つのではないかと考えられるようになってきた。宇宙線を用いた透過検査法や分析技術などが話題になっている。これらの自然放射線の紹介と利用法について考えてみたい。

2.ホウ素中性子捕捉療法の将来展望
―加速器BNCTが切り拓く癌治療―
(会員ページ )

京都大学 原子炉実験所 粒子線腫瘍学研究センター 教授 鈴木 実

 ホウ素中性子捕捉療法(以下BNCT)の普及に向けて、既存の病院への併設可能であるコンパクトな加速器中性子源BNCT照射システムが開発され、現在治験を実施中である。本講演では、BNCTがその癌細胞選択重粒子線治療という特長を活かして、放射線治療として果たすべき役割を中心に、加速器BNCT時代を見据えた視点から解説する。

3.[ONSA賞受賞講演]
放射光その場観察を利用した新しい水素貯蔵合金開発
(会員ページ )

日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 研究副主幹 斎藤寛之

 放射光その場観察と高温高圧合成法を組み合わせることで、アルミニウム系合金の侵入型水素化物など、これまで報告例の無い新しい水素貯蔵合金の合成に成功した。放射光その場観察により高温高圧下での合成条件を迅速に決定することが可能となる。講演ではこれらの技術と得られた最新の成果について紹介する。

4.次世代放射光XFELとERLの現状(会員ページ )

若狭湾エネルギー研究センター 研究開発部
レーザー除染チーム 嘱託研究員 峰原英介

 現在、広い分野で利用が進んでいる放射光は、既に利用が始まっている次世代放射光技術であるXFELやERL放射光源において、更に重要なX線光源として利用が進むと考えられる。欧州や米国や我が国の現状を紹介する。また元々目標であった性能はどこまで実現したのかなどを紹介する。

5.研究用原子炉は何の役に立つのか?(会員ページ )

京都大学 名誉教授 代谷誠治

 核分裂エネルギーを利用する発電用原子炉とは異なり、主に中性子を利用して理学、工学、農学、医学から考古学に亘る幅広い分野の研究教育等に使われている研究用原子炉。大阪府にある3基の原子炉の利用実績を、ガンの革新的治療法とも言えるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の成果を含めて紹介し、研究用原子炉の役割と将来を考える。

6.手元で使える中性子源RANSの取り組み(会員ページ )

理化学研究所 光量子工学研究領域
中性子ビーム技術開発チーム リーダー 大竹淑惠

 理化学研究所では小型中性子源システムRANS(ランズ)の中性子利用を20134月より開始した。高い透過能と分析能を持つ中性子線は大型施設のみで利用可能なため、利用頻度が極端に少ない。RANSは、「手元で役に立つ中性子源」の実用化を目指している。塗膜下金属内部腐食の可視化成功、高速中性子線による橋梁内部非破壊健全性診断の取り組みをご紹介する。

7.ゲリラ豪雨や竜巻を瞬時に把握
―世界最高性能の気象レーダを開発―
(会員ページ )

大阪大学 大学院工学研究科 電子電気情報工学専攻 准教授 牛尾知雄

 夏季の夕方の突然の大雨,ゲリラ豪雨は,河川の氾濫,鉄砲水等をもたらし,都市の機能を麻痺させ,時には人命にも関わる。大阪大学が開発に成功した世界最高性能の気象レーダを中心に,背景となる地球環境問題から,最先端の試みまで紹介し,災害に強い未来の社会像を紹介する。

8.文化財と放射線・電磁波
―透視・修復・解析―
(会員ページ )

東京工業大学 名誉教授 中條利一郎

 物質的な豊かさが増えるにつれ、精神的な基盤としての文化財に対する国民の関心が増えて行く。それに伴うさまざまな問題点が生じ、その解決のための放射線や電磁波の役割が増えている。布に覆われた内部の文化財の非破壊的な透視、経年により劣化した文化財修復のための同程度に劣化させた修復材の調製、文化財の素材の組成、劣化状態などを知るための解析などその役割は多岐にわたる。その現状について紹介する。

 

 

25周年記念講演会及び平成24年度ONSA賞受賞講演会概要 (聴講記)

 開催日:平成26年1月27日 於 大阪大学中之島センター

 

1. 「私たちはなぜ重いか」 -宇宙誕生・天地創造・万物創生、ヒッグス 粒子から超重元素まで -(会員ページ )  

延與 秀人(独立行政法人 理化学研究所仁科加速器研究センター)

 1932年に仁科芳雄が理化学研究所の主任研究員となり、日本における加速器科学の研究が胎動した。それから80年、日本は世界でも有数の加速器大国である。加速器が解き明かす様々な研究テーマの中から、宇宙創成以来の137億年の歴史を紐解く研究に言及する。「私たちはどうやってできたのだろう?」「私たちはなんで重いのだ ろう?」という疑問、すなわち「物質の起源」と「質量の起源」にかかわる疑問に、最新の研究成果を交えながら、分かり易く 答えていきたい。

 

2.「放射線利用―過去・現在・未来―」(会員ページ )  

町 末男(アジア原子力協力フォーラム(FNCA)日本コーディネイター)

 1895年のレントゲンによるX線の発見から始まった放射線利用は、その後、医療、農業、産業の分野で の利用が進み、日本をはじめ多くの先進国で国民の福祉、社会・経済の発展に役立っている。これからは途上国での利用が進み 、貧困の削減、持続可能な発展に貢献する事が期待される。そのために優れた利用技術を持つ日本などの協力が求められ ている。

 

3.[ONSA賞受賞講演1] 「3次元蛍光X線分析装置の開発とその応用研究」(会員ページ )

辻 幸一(大阪市立大学大学院工学研究科 教授)

 3次元蛍光X線分析法の原理、歴史的経緯などを説明し、その装置の分析特性の評価法と現状を報告します。加えて、講演者のグループでのこの手法に関する研究開発状況を説明し、この方法のいくつかの応用例を紹介します。 

 

       

4.[ONSA賞受賞講演2] 「身近にあるプラスチックによる放射線の計測」(会員ページ )

中村 秀仁(京都大学原子炉実験所 助教)

 放射線計測はなじみが薄く、ハイテクと思われて いますが、ごく身近にある物質(プラスチック)でも十分な計測手段になることを、実例を交えて紹介します。

 

第22回放射線利用総合シンポジウム概要 (聴講記)

 開催日:平成25年1月21日 於 大阪大学中之島センター

 

1.福島原発事故に伴う被災家畜における放射性物質の体内分布(会員ページ )

東北大学加齢医学研究所 被災動物線量評価グループ 教授 福本 学

 我々は昨年から警戒区域内の安楽死処分された家畜の臓器別放射能濃度分布を解析している。放射性セシウムは骨格筋に多く集積する傾向がみられること、放射性銀が肝に、テルルが腎に特異的に集積することが明らかとなった。蓄積した放射能は数値としては計測可能であるが生物影響を反映しているとは言いがたい。さらに放射性物質はセシウムばかりが問題ではない、などの問題点をひとつずつ丁寧に解決していく努力が必要である。

 

2.低線量放射線の生体への影響と食の重要性
       
〜科学者として支援できることは何か〜
(会員ページ )

ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部 インターフェロン・生体防御研究室室長 宇野賀津子

 2011311日の地震/津波に端を発した福島第一原発事故は、福島県を中心に、多大の放射能汚染をもたらしました。原発事故後の混乱の一つに、専門家と自称する研究者間で、低線量放射線に対するリスク評価の混乱があります。私は免疫学者の一人として、事故後福島で、低線量放射線と対峙する生物の適応戦略と、低線量放射線の影響を克服する生き方の提案をおこなってきました。これらの経験について紹介すると共に、それぞれの立場で支援出来ることは何かを、今一度皆様と共に考えたいと思います。

 

3.震災を踏まえた中長期エネルギー需給構造のあり方と原子力の役割(会員ページ )

 

エネルギー総合工学研究所プロジェクト試験研究部 主任研究員 都筑和泰

 

 東日本地震を踏まえ、化石燃料調達、環境制約、経済性への対応も考慮しつつ、2050年を見据えた日本のエネルギー需給構造の検討を行った。その中で、再生可能エネルギー中心の社会は一つの想定解としてはあり得るが技術的・経済的な不確定性が大きいこと、その開発が停滞した場合など、原子力依存を高めるシナリオも想定しえることを示した。当面は再生可能エネルギーなど重要な技術開発を幅広く推進するとともに、原子力技術基盤を維持涵養することが重要であると考えている。 

 

4.[ONSA賞受賞講演] レーザープラズマ軟X線顕微鏡による細胞内小器官のその場観察(会員ページ )

日本原子力研究開発機構 量子ビーム技術研究ユニット・サブリーダー 加道雅孝

 高強度レーザーを金属薄膜に集光して発生させた軟エックス線の顕微鏡によって、光学顕微鏡でも電子線顕微鏡でも見ることの出来なかった生きた細胞の内部構造を90ナノメートルという高解像度で観察することが可能になった。このシステムによる細胞内小器官のその場観察技術の開発について述べる。

 

5.X線自由電子レーザーSACLAが拓くフォトンサイエンス(会員ページ )

理化学研究所播磨研究所XFEL研究開発部門グループディレクター 矢橋牧名

 SACLASPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)が完成してレーザー発信に成功し、最初の高強度レーザービームを観測してから既に1年が経過しようとしているが、その間新しい利用研究が鋭意進められている。講演ではSACLAのこの1年の運転状況と利用研究のトピックスの数々を紹介し、将来の展望について述べる。

 

6.電子線照射装置の利用分野(会員ページ )

(株)NHVコーポレーション加速器事業部 技術部システムグループ主任 金澤保志

 電子線は1952年にポリエチレンの電子線架橋現象が発見されてから、様々な工業分野で利用されており、材料特性を改良する非常に重要なツールとなっている。その典型的な例は、自動車の耐熱性電線とタイヤに使用されるゴム材料であり、また、熱収縮チューブ、フィルム材料、発泡材、高機能繊維、殺菌滅菌等にも使用されている。講演では、電子線照射装置の原理や利用分野における最近の動向をご紹介します。

 

7.質量の起源ヒッグスを追う(会員ページ )

大阪大学大学院理学研究科 准教授 花垣和則

 質量の起源と言われたら、多くの方は「なにそれ?」と思われるのではないでしょうか。そもそも、質量とは何かを考える機会も普通はあまりありませんよね。でも実は、モノに質量がないとこの宇宙はとんでもないことになります。本講演では、宇宙の発展と質量とのかかわり、質量の起源と考えられているヒッグス粒子とはなにか、そして、ヒッグス粒子探索の最新状況についてお話します。

 

 

第21回放射線利用総合シンポジウム概要(聴講記)

 開催日:平成24年1月16日 於 大阪大学中之島センター

 

1.低線量・低線量率放射線の健康影響を考える(会員ページ )

大阪府立大学大学院理学系研究科 児玉 靖司

 低線量・低線量率の放射線被ばくで懸念される健康影響は発がんである。世界で最も信頼される放射線影響の疫学研究は、日本の原爆被爆者の寿命調査によるものであるが、それでも低線量・低線量率放射線の健康影響の理解には不十分である。そこで、これまでの事故被ばくや高自然放射線による人体影響に関する報告を紹介しながら、低線量・低線量率放射線による健康影響に関して、何が分かり、何が不明なのかを整理し、今後の見通しについて考える。

 

2.KURAMAによる福島県の放射線量測定(会員ページ )

京都大学原子炉実験所粒子線基礎物性研究部門 谷垣 実

 東電福島第一原発事故では放射性物質による深刻な汚染が発生した。被災地域での迅速かつ広範囲の空間線量測定は、住民の被曝管理や汚染状況の把握、環境修復に極めて重要である。京大原子炉ではそのためのシステムとしてKURAMAを開発し、現地での測定に活用されている。講演ではシステムやその開発、現地での測定の状況について紹介する。

3.福島第一原子力発電所事故と今後の我が国のエネルギー(会員ページ )

三菱重工業(株)特別顧問 金氏 顕

 3月11日の東日本大震災に誘発された東電福島第1原子力発電所の炉心溶融事故が、地元住民の避難等による苦痛を、また国民には放射線被曝の大きな不安を与えた事は、1960年代から日本の原子力発電の実用化に携わってきた一技術屋として慙愧に耐えません。事故は何故起きたのか、何が想定外であったのか、その教訓、また今後の安全性強化、体制改革など、そして今後の我が国のエネルギー安全保障をどう確保すれば良いのか、などについてお話したいと思います。

 

4.海外諸国の原子力開発動向(会員ページ )

(社)日本原子力産業協会国際部マネージャー 小林 雅治

 2011311日に起きた福島事故は、国内外に極めて大きな影響を与えた。ドイツ、スイス、イタリアは脱原子力政策に舵を切ったが、フランス、ロシア、英国、米国などは、原子力を重要な電源として開発を継続していく方針である。中国、インドも原子力を積極的に推進するとしており、中国は2020年代初めには世界第2位、2030年代には米国を抜いて世界最大の原子力発電国になる見込みである。国際原子力機関(IAEA)によると、多くの開発途上国が原子力発電の新規導入を計画又は検討している。エネルギー政策の視点も踏まえて、海外諸国の原子力開発動向を紹介する。

 

5.(ONSA賞受賞講演)放射光メスバウアー吸収分光法の研究(会員ページ )

京都大学原子炉実験所 瀬戸 誠

 これまで、水素貯蔵合金や超伝導体などといった様々な特性や機能を持つ物質が開発されてきた。このような物質で新規な機能や特性がどのようにして発現しているのかを調べるためには、物質を構成しているそれぞれの元素(原子)の役割や状態を明確にする必要がある。元素の状態を調べる方法としてメスバウアー分光法があるが、放射光という新たな線源を利用することで、より多くの元素をより詳細に調べる事が可能になってきた。放射光を利用したメスバウアー分光法について解説する。

 

6.高コントラストX線CTの利用(会員ページ )

京都工芸繊維大学高分子機能工学部門 西川 幸宏

 X線は、人類にとってとても有用な放射線の一種です。例えば、病院等でレントゲンという形で使われ、さらに人体の輪切りが撮影できるX線CTが広く使われています。最近では産業用X線CTとして顕微鏡のように使えるようになっています。X線を用いると、物体の内部までつぶさに観察することができ、普段見慣れた品々でも違って見えてきます。X線の性質をX線CTの原理を簡単に説明したのち、植物・昆虫・食品などを身の回りの品物の観察から、最先端の研究での利用まで紹介します。

 

7.加速器による放射線/量子ビーム利用研究の現状と将来展望(会員ページ )

()日本原子力研究開発機構 南波 秀樹

 現在放射線は、基礎科学研究から、医療、工業、農業の幅広い産業分野において利用され、我々の日常生活に欠かせないものとなっている。用いられている放射線源としては、加速器等で作りだされた電子ビーム、イオンビーム、放射光、レーザーなどの人工放射線源が主流となってきており、中性子も高エネルギーの陽子ビームを用いた核破砕中性子源の利用が始まっている。これらの新しい放射線/ビームの発生・利用技術の進展に対応して、高度に制御された光子、イオン、電子、中性子等の「量子ビーム」の利用が進んでいる。講演では、日本におけるこれらの量子ビームを用いた利用研究の現状と将来展望について述べる。

 

8.地磁気の逆転―生命・環境への影響はなかったのか(会員ページ )

神戸大学自然科学系先端融合研究環 兵頭 政幸

 現在の地磁気は、地球の中心にN極を南に向けておいた巨大な磁石が作る磁場で近似できる。しかし、50007000(K)もの高温の地球中心に磁石は存在しない。地磁気は地球外核における液体の鉄の対流運動によるダイナモ作用が作ると考えられている。地球の磁場は過去に何度も逆転をくり返し、その強度は逆転時に現在の約1/10にまで減少した。その時、宇宙線量は約3倍に増えたと推定される。地球の生命や環境にその影響はなかったのだろうか。

 

 

第20回放射線利用総合シンポジウム概要(聴講記)

 開催日:平成23年1月26日 於 大阪大学中之島センター

 

1.新時代を迎えた大型古墳測量(レーザーを使った空からの観測)(会員ページ )

奈良県立橿原考古学研究所 西藤 清秀

 考古学において測量からの地形情報は極めて重要であり、特に古墳における立地、墳形、尺度の研究には不可欠である。 しかし大型古墳の測量は、容易ではなく、特に現在陵墓として宮内庁に所管される古墳は、立入りが禁止されている。しかし、 今回の御廟山古墳やコナベ古墳という陵墓での空中からの3次元レーザ計測は、古墳に立入ることなく、また障害となる古墳 上の植生を気にすることなく、古墳が計測できることを提示した。今後、この計測法は、立入り困難な大型古墳の精緻な墳丘・ 周辺地形情報を提供し、学術的・社会教育的な活用への道を開くと考えられる。

 

2.レーザーピーニングによる応力腐食割れの予防と疲労強度の向上(会員ページ )

(株)東芝 電力・社会システム技術開発センター技監 佐野 雄二

 レーザーピーニングは、パルスレーザーを照射したときの衝撃力を利用して金属材料の表面に圧縮の残留応力を付与する技術 であり、原子炉構造物の応力腐食割れ対策などに利用されている。講演では、原理・効果・特徴などレーザーピーニングの技術 の概要と実プラントへの適用状況、航空宇宙や自動車産業における検討状況などについて紹介する。また、技術開発における放 射光や中性子ビームの利活用についても紹介する。

 

3.もんじゅ運転の再開と高速増殖炉開発への貢献(会員ページ )

日本原子力研究開発機構敦賀本部 高速増殖炉研究開発センター技術部長 
弟子丸剛英

 高速増殖原型炉 もんじゅ は、わが国初の高速増殖炉(FBR)発電プラントとして、FBRサイクル技術実用化に向けた研究開 発の場の中核としての使命を果たしていくことが期待されている。平成22年5月の14年半ぶりの試運転再開、その後の試験結果 と今後の計画及びFBR開発への貢献について紹介する。

 

4.加速器が明らかにする素粒子の不思議な世界      

〜常識の通用しない素粒子の世界を紹介する〜(会員ページ )

高エネルギー加速器研究機構 理事 高崎 史彦

 自然界に起こるすべての現象は素粒子の性質に関係している。自然界で非常にまれに起こる不思議な現象の解明が、人類を 素粒子の世界に導き、さらに宇宙のなぞを解明し、その真の姿にも迫るものと期待されている。素粒子の加速技術、素粒子の 検出技術により、肉眼で見ることのできない素粒子の不思議な性質が次々と明らかになってきた。ここでは、加速器が明らかに したいくつかの素粒子の性質を解説する。

 

5.太陽活動と宇宙放射線量(会員ページ )

東京大学宇宙線研究所 宮原ひろ子

 地球に飛来する宇宙からの放射線(宇宙線)の量は、太陽活動の状態に応じて数十パーセント程度変化することが知られている。 2009年には、100年ぶりともいわれる太陽活動の低下にともない宇宙線の飛来量が約60年間の観測史上最高のレベルに達した。 宇宙線量の変化の原因はどういうものであるのか、また最大でどの程度増え得るのか、南極の氷の分析などからわかってきた宇宙線 の長期変動について紹介する。

 

6.低線量率放射線の長期被ばくによる染色体異常生成に関する最近の知見(会員ページ )

(財)環境科学技術研究所生物影響研究部 田中 公夫

 環境研では、自然界のγ線より約 20〜8000倍高い程度の低レベル線量率の照射で、寿命、発がん、がん遺伝子変異、 免疫機能、代謝異常(脂肪代謝、卵巣障害や肥満)、染色体異常、突然変異、細胞応答、継世代影響を調べているが、今回は 染色体異常の線量・線量率効果について紹介する。ちなみに 0.05mGy/22h/dayを400日間連続照射したマウスの総線量 20mGy(mSV)は、ほゞ放射線作業従事者の年間の平均線量限度にあたり、このレベルで影響があるか否かは今後重要となる。将来は 感度を上げてさらに低いところを見ることが必要と考えている。

 

7.PETを利用した高精度陽子線治療技術の展望(会員ページ )

国立がんセンター東病院 臨床開発センター 粒子線医学開発部 粒子線生物学室 室長 西尾 禎治

 近年の急速な技術進歩に伴い、がんの放射線治療は高精度化に向かっている。陽子線治療は腫瘍に高い線量を集中できる高精度 放射線治療の一つである。陽子線治療において、計画通りに腫瘍へ線量が照射されたかどうかを確認することは非常に重要である。 そこで、患者への陽子線照射において、体内中で起こる原子核破砕反応によって生成されるポジトロン放出核を情報因子とし、そ の情報をビームライン上に設置したPETシステムを用いて可視化することで、腫瘍へ陽子線が計画通りに照射されているかを確 認する。本シンポジウムにおいては、陽子線治療、照射領域可視化の原理、ビームオンラインPETシステム及び実臨床利用の紹 介を行う。

 

 

第19回放射線利用総合シンポジウム(聴講記)(企画委員会名簿

 開催日:平成22年1月22日 於 大阪大学中之島センター

 

1.宇宙用太陽電池の耐放射線性(会員ページ )

豊田工業大学物質工学分野 教授 山口真史

 宇宙用太陽電池として、単結晶シリコン太陽電池が用いられてきたが、 InGaP/GaAs/Ge3接合セルが実用化されている。宇宙用太陽電池の研究開発の方向性は、高効率化、放射線耐性強化と軽量化である。 ここでは、宇宙用太陽電池の耐放射線性について、放射線照射欠陥、太陽電池特性への影響について概説すると共に、単結晶シリコン 太陽電池およびInGaP/GaAs/Ge3接合タンデム太陽電池の耐放射線性強化に関する取り組みを紹介する。

 

2.レーザーと加速器を用いた単色ガンマ線源とその応用(会員ページ )

-宇宙での元素合成過程解明と放射性廃棄物処理への応用-

兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 教授 宮本修治

 ほぼ光の速度で走る高エネルギー電子ビームを、強力なレーザー光と正面衝突 させることにより、ガンマ線ビームを発生することが出来る。これは、レー ザー・コンプトン散乱ガンマ線源と呼ばれている。近年その特徴ある性質によ り、ビッグバンや超新星爆発での元素合成過程の研究など基礎科学や、原子力発 電で発生する長寿命の放射性廃棄物を短寿命化させる廃棄物処理などの応用研究 に用いられている。発生方法と、その性質および利用研究の現状を紹介する。

 

3.私たちの食生活と放射線(会員ページ )

日本原燃株式会社 安全技術室放射線管理部 部長 田邉 裕

 ここ数年来、主に青森県内の一般の方々を対象として、知られざる放射線の魅力について、身近な例を引きながら様々な角度から講演しています。今回はこれら講話のうち、青森県の名産物を交えながら食べ物に関連した話をすることにします。メニューは、米、大豆、冷凍寿司、ジャガイモ、ゴーヤ、日本酒、デザート(りんご、梨)などで、食卓を飾る花を添え、食後に薬を飲んでTHE ENDの予定です。

 

4.医療における放射線利用の歴史 -放射線診断と放射線治療の歩み-(会員ページ )

大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター放射線科 主任部長 福田晴行

 レントゲン博士がX線を発見したのは1895年。その翌年には、骨折の診断や癌の治療にX線の使用が 始まっています。その後、X線をはじめとする各種の放射線は次々と医療で用いられるようになり、新しい利用方法や新しい装置の開発によって医療の 進歩に大きく貢献してきました。現在の医療は放射線を使った画像診断や放射線治療なしでは、成り立ちません。その歴史を概説し、現在の放射線医学 についても触れたいと思います。

 

5.X線暗視野法(X-Ray Dark-Field Imaging)による乳腺病変の観察(会員ページ )

国立病院機構名古屋医療センター 市原 周

 シンクロトロン光とLaue geometry analyzer  を使うX線暗視野法は、X線の屈折成分のみを取り出すことのできる新しい画像技術である。造影剤なしでも高いコントラスト(吸収原理の1000倍)、 良好な解像度(20ミクロン)を実現できる。この方法で撮影された組織ブロック内の各種乳腺病変の画像と組織像を比較したところ、 X線屈折率が良悪鑑別に利用できる可能性が示唆された。

 

6.原子力発電所の高経年化対策 -いつまでも安全にあり続けるために-(会員ページ )

三菱電機株式会社(元 原子力安全・保安院) 路次安憲

 「古い原子力発電所は老朽化しているから安全性に不安がある」との話をよく聞くことがある。 本当にそうなのだろうか?実際には、産学官が連携して個別のプラントについて詳細な検討を 行うとともに、活発に更新工事等が実施されており、その一連の活動が「原子力発電所の 高経年化対策」と呼ばれるものである。ここでは、それら活動内容について、具体的事例を 織り込みながらできるだけわかりやすく紹介することを試みる。

 

7.原子力・放射線利用の新たな展開に向けて(会員ページ )

株式会社日本ネットワークサポート 社長 岸田哲二

 日本における原子力、放射線利用の規模は世界のトップレベルにあります。それを支えるプラントや機器の設計、製造に関しては日本の企業が世界を支配できるほどの状況にあります。その一方で、共通性がとくに求められる安全などに関する国際ルールつくりに日本は著しく乗り遅れています。資源や地球温暖化問題の中で人類の危機を回避し生活レベル向上を図る有力な選択肢である原子力、放射線利用の更なる発展のために、日本はこれまでの弱点を克服し、国際舞台の場でしっかりしたリーダーシップをとる事が大切である。

 

 

 

 

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