第23回 放射線利用総合シンポジウム

参加申込みはこちら 

日  時 : 平成27年1月26日() 9:40〜17:00

場  所 : 大阪大学中之島センター

      (大阪市北区中之島4−3−53 TEL06-6444-2100

             【アクセス地図】

主  催一般社団法人大阪ニュークリアサイエンス協会

    公立大学法人大阪府立大学 地域連携研究機構

後援・協賛団体:文部科学省、経済産業省近畿経済産業局ほか31法人.。詳細は下記。


【開催の趣旨】 放射線の利用は、実生活においていろいろと大切な役割を果たしています。平成22311日に発生した、東日本大震災に付随した東京電力福島第一原子力発電所の事故は、原子力発電だけでなく放射線に関しても国民に大きな恐怖を与えました。私たちは放射線の危険性と同時に有用性も正しく理解し、よりよい人間生活のために活かしていく必要があります。当協会では、長年に亘り研究会やシンポジウムなどを通して、放射線および原子力利用の基本的な知識の普及に努めてきました。
 本シンポジウムは放射線やビーム利用に関する様々なトピックスを、学術研究や産業・医療・環境保全などの第一線で活躍している人々の講演を通して、一般市民の方々にも理解しやすい言葉で紹介し、放射線やビーム利用の有効性の啓発活動に寄与することを目指しています。
 本年のシンポジウムの前半では宇宙の放射線の起源と測定、中性子によるガン治療の最先端についてと放射光を用いた水素材料合金開発について、後半では次世代放射光の開発、小型中性子源開発、発電用原子炉と異なる研究用原子炉の役割、最近の局所的に大きな災害を引き起こす猛雨の予想のための小型の高性能観測システムの紹介、放射線・電磁波の文化財への応用について第一線で活躍しておられる方々に分かり易いお話をお願いしました。お誘い合わせのうえ、多数ご参加下さい。

 

◇参加費:一般企業 5,000円  

    ONSA会員、後援・協賛団体会員 3,000

    大学・公設機関 1,000円   学生・一般市民 無料

◇交流会:講演終了後開催 参加費3,000円、ただし、ONSA会員・役員・参与の方は新年互助会を兼ねていますので無料。

◇参加を希望される方は、参加申込みフォームからお申込み下さい。e-mail返信が1週間以上無い場合は、お手数ですがTEL/FAX等でご連絡下さい。
◇問合先:542-0081大阪市中央区南船場 3丁目3-27 (一社)大阪ニュークリアサイエンス協会(TEL:06-6282-3350

【講演のタイトルおよび講演者】

1.宇宙と放射線  

大阪府立大学 地域連携研究機構 放射線研究センター 教授 谷口良一

 私たちは昔から放射線によって宇宙とつながりを持ってきた。自然放射線の3分の1は宇宙からのものである。オーロラをはじめ夜光雲、宇宙線シャワーなど、昔から私たちは経験してきた。何の役にも立たないと思われてきた自然放射線も技術の進歩によって、役立つのではないかと考えられるようになってきた。宇宙線を用いた透過検査法や分析技術などが話題になっている。これらの自然放射線の紹介と利用法について考えてみたい。

 

2.ホウ素中性子捕捉療法の将来展望
―加速器BNCTが切り拓く癌治療―

京都大学 原子炉実験所 粒子線腫瘍学研究センター 教授 鈴木 実

 ホウ素中性子捕捉療法(以下BNCT)の普及に向けて、既存の病院への併設可能であるコンパクトな加速器中性子源BNCT照射システムが開発され、現在治験を実施中である。本講演では、BNCTがその癌細胞選択重粒子線治療という特長を活かして、放射線治療として果たすべき役割を中心に、加速器BNCT時代を見据えた視点から解説する。

 

3.[ONSA賞受賞講演]
放射光その場観察を利用した新しい水素貯蔵合金開発

日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 研究副主幹 斎藤寛之

 放射光その場観察と高温高圧合成法を組み合わせることで、アルミニウム系合金の侵入型水素化物など、これまで報告例の無い新しい水素貯蔵合金の合成に成功した。放射光その場観察により高温高圧下での合成条件を迅速に決定することが可能となる。講演ではこれらの技術と得られた最新の成果について紹介する。

 

(休憩・昼食)

       

4.次世代放射光XFELとERLの現状

若狭湾エネルギー研究センター 研究開発部
レーザー除染チーム 嘱託研究員 峰原英介

 現在、広い分野で利用が進んでいる放射光は、既に利用が始まっている次世代放射光技術であるXFELやERL放射光源において、更に重要なX線光源として利用が進むと考えられる。欧州や米国や我が国の現状を紹介する。また元々目標であった性能はどこまで実現したのかなどを紹介する。

 

5.研究用原子炉は何の役に立つのか?

京都大学 名誉教授 代谷誠治

 核分裂エネルギーを利用する発電用原子炉とは異なり、主に中性子を利用して理学、工学、農学、医学から考古学に亘る幅広い分野の研究教育等に使われている研究用原子炉。大阪府にある3基の原子炉の利用実績を、ガンの革新的治療法とも言えるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の成果を含めて紹介し、研究用原子炉の役割と将来を考える。

   

6.手元で使える中性子源RANSの取り組み

理化学研究所 光量子工学研究領域
中性子ビーム技術開発チーム リーダー 大竹淑惠

 理化学研究所では小型中性子源システムRANS(ランズ)の中性子利用を20134月より開始した。高い透過能と分析能を持つ中性子線は大型施設のみで利用可能なため、利用頻度が極端に少ない。RANSは、「手元で役に立つ中性子源」の実用化を目指している。塗膜下金属内部腐食の可視化成功、高速中性子線による橋梁内部非破壊健全性診断の取り組みをご紹介する。

  

7.ゲリラ豪雨や竜巻を瞬時に把握
―世界最高性能の気象レーダを開発―

大阪大学 大学院工学研究科 電子電気情報工学専攻 准教授 牛尾知雄

 夏季の夕方の突然の大雨,ゲリラ豪雨は,河川の氾濫,鉄砲水等をもたらし,都市の機能を麻痺させ,時には人命にも関わる。大阪大学が開発に成功した世界最高性能の気象レーダを中心に,背景となる地球環境問題から,最先端の試みまで紹介し,災害に強い未来の社会像を紹介する。

 

8.文化財と放射線・電磁波
―透視・修復・解析― 

東京工業大学 名誉教授 中條利一郎

 物質的な豊かさが増えるにつれ、精神的な基盤としての文化財に対する国民の関心が増えて行く。それに伴うさまざまな問題点が生じ、その解決のための放射線や電磁波の役割が増えている。布に覆われた内部の文化財の非破壊的な透視、経年により劣化した文化財修復のための同程度に劣化させた修復材の調製、文化財の素材の組成、劣化状態などを知るための解析などその役割は多岐にわたる。その現状について紹介する。

 

  

後  援:

文部科学省  経済産業省近畿経済産業局  (独)日本原子力研究開発機構  大阪商工会議所 堺商工会議所 (一財)大阪科学技術センター (一財)電子科学研究所

協  賛:

(一社)日本物理学会 (公社)日本化学会 (公社)応用物理学会 (一社)電気学会 (公社)日本分析化学会 (公社)高分子学会 (一社)日本原子力学会 (公社)日本医学放射線学会 (一社)日本非破壊検査協会 (公社)日本放射線技術学会 (公社)日本アイソトープ協会 (一社)近畿化学協会 (一社)大阪府技術協会 (公社)大阪府放射線技師会 (一財)放射線利用振興協会  日本放射線化学会  日本放射光学会 日本放射線影響学会 (一社)日本保健物理学会 (一社)日本接着学会 (公社)日本表面科学会 (一社)日本核医学会 日本バイオマテリアル学会 日本防菌防黴学会 日本陽電子科学会 関西原子力懇談会

 

講演会終了後、新年交流会を同所・サロンにて開催します。ONSA会員、理事、および参与の方は会費無料ですので、是非ご参加ください。