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第18回放射線利用総合シンポジウム概要(聴講記)(企画委員会名簿)
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開催日 平成21年1月19日 於 大阪大学中之島センター
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1.大強度陽子加速器施設J-PARC(会員ページ )
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日本原子力研究開発機構J-PARCセンター 大山幸夫
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日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、共同で大強度陽子加速器施設J-PARCを茨城県東海村の原子力機構・原子力科学研究所の敷地内で建設中である。J-PARCは、高エネルギーの陽子を原子核に衝突させて核破砕反応を起こし、その反応生成物として大強度の2次粒子ビームを発生させ、さまざまな2次粒子(中性子、ミュオン、K中間子、ニュートリノなど)を発生させてそれを利用し、基礎科学から産業応用までの幅広い分野の研究を行なう多目的加速器研究施設である。現在、加速器のビーム試験も最終段階にあり、その現状とそこで行われる研究について紹介する。
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2.JMTRを用いた新たな軽水炉材料・燃料照射研究の展開(会員ページ )
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日本原子力研究開発機構安全研究センター 鈴木雅秀
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日本原子力機構にある材料試験炉(JMTR)は現在平成23年度の再稼動に向けて改修中であり、この原子炉機器等の更新中に、新たな照射設備の整備も進めている。ここでは軽水炉の構造材料や燃料に関し計画している、原子炉圧力容器鋼の照射脆化、炉内構造物の照射誘起応力腐食割れ、制御棒用ハフニウムの基礎照射特性評価、高燃焼度化に対応した燃料異常過渡試験に関し、研究内容、意義を紹介する。
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3.月周回衛星「かぐや」搭載の高性能γ線分光計による月資源探査(会員ページ )
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早稲田大学理工学術院 教授 長谷部信行
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人類が月面に長期滞在する計画が検討されている。人類の活動領域拡大のために、月で必要な物資や燃料を調達し、水や酸素を月で製造する技術など、月資源利用のための技術を確立しなければならない。また先端技術に必要なレアメタルの調達など資源利用の観点からも、月は極めて重要な天体である。その第一段階として、世界に先駆けて月探査衛星「かぐや」が打ち上げられた。今や多くの国が月探査を検討している。「かぐや」にはガンマ線分光計が搭載され、月表層の主要元素などの濃度図を作成し、月の資源利用の観点から重要かつ貴重なデータを提供し続けている。ここでは、最新の観測成果、それと月資源利用との関連について述べる。
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4.経済規模から見た放射線利用の動向(会員ページ )
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日本原子力研究開発機構 久米民和
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放射線が我々の生活にいかに役立っているかを見る手段として、経済規模による評価が試みられている。平成11年に初めて放射線利用の経済規模調査が実施され、その波及効果の大きさが示された。昨年、8年ぶりに再調査が実施され、新しい手法も加味した結果として4兆1,100億円の規模と算出された。これら放射線利用の経済規模調査結果から見た最近の放射線利用の動向を紹介する。
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5.最近の医療における放射線利用(会員ページ )
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京都医療科学大学 教授 大野和子
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医療分野における放射線診療装置の進歩は目覚ましく、体内の詳細な情報を得ることができる。このため単に病気の有無を判断するだけではなく、治療方針決定や手術精度向上を目的とした放射線検査が主流となっている。また、画像診断装置と放射線治療装置を組み合わせることにより、手術が困難な場所の腫瘍に対しても、安全に放射線治療を行える場合が増えてきた。放射線は私たちの病気の診断治療のために、より一層必要不可欠なものとなっている。
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6.線質の異なる放射線による細胞応答(バイスタンダー効果)の違い(会員ページ )
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放射線医学総合研究所 主任研究員 鈴木雅雄
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原子力エネルギー利用、宇宙空間環境での宇宙船・航空機利用、がんの放射線治療や診断の医学利用等での放射線被曝の問題は、ますます重要な関心事となることが予想されます。この様な放射線環境では様々な種類の放射線の低線量(率)照射の生物影響が想定され、近年直接放射線が当たった細胞のみならず、その周囲に存在している放射線が当たっていない細胞にも同様の生物効果が現れる(バイスタンダー効果)ということが判ってきました。ここでは、線質の異なる放射線(γ線、中性子線、重イオン)を低線量(率)でヒト細胞に照射したときの細胞応答の違いを明らかにした研究成果を報告します。
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7.放射線治療、粒子線治療を革新する物理と工学--医学物理士の役割(会員ページ )
京都大学名誉教授 丸橋 晃
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1980年代からのX線CTの普及、高精度化とともに照射システムの開発が急速に進展し、それまで不可能であった計画に基づく三(四)次元的な放射線投与とその評価が可能となってきている。この革新は人類の苦痛からの開放と福祉という正の側面からの放射線の潜在的能力の開放を意味する。今後も放射線の能力を真に医療に具現し革新するために、医療要求を理解した物理、工学、数学などの集学的展開を計ることを課題とする医学物理士を育成する土壌の形成が望まれる。
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第17回放射線利用総合シンポジウム概要(聴講記)(企画委員会名簿)
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開催日 平成20年1月22日 於 大阪大学中之島センター
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1.先端的核燃料リサイクルをめざした重い元素の化学(会員ページ )
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京都大学原子炉実験所 教授 山名 元
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我が国では、今後も原子力発電を一定規模で長期に利用してゆく計画となっている。一方、軽水炉による原子力発電によって、プルトニウムをはじめとする重元素 (TRU元素)が多量に生成する。半減期が長く放射線毒性の高いこれらの重核種については、そのまま地層処分するのではなく、再処理によって回収し原子炉にリサイクルし燃焼することが考えられている。このための重元素の分離回収の化学的な研究について紹介する。
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2.X線自由電子レーザー(会員ページ )
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理化学研究所播磨研究所XFELプロジェクトリーダー
石川 哲也
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平成18年度から始まった第三期科学技術基本計画には、「国家基幹技術」という概念が盛り込まれ、そこにコヒーレント硬X線光源としてのX線自由電子レーザー施設整備が採り上げられた。これは、科学技術の様々な分野に応用されているレーザーの波長を短くして、ナノを見るための光としてのX線レーザーを実現するものである。本講演では、この施設の概要を紹介するとともに、そこで得られる新しい光が拓く科学技術を議論したい。
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3.放射線が効くがんのタイプ−Quality of Life の向上を目指して−(会員ページ )
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奈良県立医科大学 教授 大西 武雄
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がんに関する研究はがん関連遺伝子の研究へと展開しつつある。がん患者それぞれのがん関連遺伝子の変異を知ることは、治療効果の向上をもたらすと考えられている。では、どのがん関連遺伝子を検索すればよいのか、それが検索されればどのように治療に反映すればよいのであろうか。我々はこれまでがん抑制遺伝子p53の働きに注目してきた。放射線、ハイパーサーミア、制がん剤で治療を受けたがん細胞はいくつかの遺伝子の発現誘導やタンパク分子の活性化を引き起こし、最終的にはアポトーシスをがん細胞にもたらす。しかし、多くの悪性のがんのように、p53タンパク質が突然変異または欠失型の場合は、アポトーシス誘導が低くなり、がん治療効果が期待できなくなることを発見した。より高い治療効果をめざすならば、がん細胞のp53の遺伝子型を調べることによって治療法を選択する時代へとなろう。しかし、我々はどの遺伝子型の患者にも極めて効率の良い治療法を見出した。それは何かも話したい。
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4.PETで分かる脳の危険信号(会員ページ )
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浜松医科大学 教授 尾内 康臣
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PETは陽電子放出型断層撮影法という細胞の機能を画像化する撮影法です。PETをヒトに応用することで、体の中の血流や細胞自身の働き、神経同士の関わり方などを画像として捉えることができます。これらの情報に異常な信号すなわち正常パターンから逸脱した機能情報を持つ画像が作成されますと、それは人体組織からの危険信号の発信を意味します。今回はPETを通して頭の中を覗いてその危険信号を見てみたいと思います。
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5.核融合研究の現状と未来−ITERを巡る世界の現状−(会員ページ )
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日本原子力研究開発機構 那珂研究所
ITER協力調整グループリーダー
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森 雅博
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21世紀後半のエネルギー問題を解決する革新的エネルギーの候補の一つとして進められている核融合研究開発では,将来のエネルギー源としての核融合の科学的および技術的妥当性を検証する実験炉を国際共同で実現するITER(国際熱核融合実験炉)計画が,日本,欧州連合(EU),ロシア,米国,中国,韓国,インドの7極の政府によって合意され進められている。このITER計画を中心に,核融合研究開発の現状と将来について概要を紹介する。
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6.パネル討論
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「科学技術を観る目を如何に育てるか −放射線教育の現状−」(会員ページ )
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大阪府立大学産学官連携機構 教授 八木 孝司
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WEN副代表・日本原子力発電株式会社 神谷 直美
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放射線教育フォーラム 理事 田中 隆一
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京都大学原子炉実験所 教授 渡邊 正巳
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第16回放射線利用総合シンポジウム概要(聴講記)(企画委員会名簿)
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開催日 平成19年1月29日
於 住友クラブ
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1.エネルギー弁別型フォトンカウンテイング放射線ラインセンサ(会員ページ )
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浜松ホトニクス(株) 電子管技術部 専任部員 富田
康弘
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エネルギー弁別型CdTe放射線ラインセンサを用いることにより、物質を透過する放射線のエネルギー情報を利用して、物質の材質判別や、物質の厚さ、密度、濃度など状態量を計測することが可能となります。将来的には食品の異物検査や手荷物検査、配管・構造物・コンテナなどの産業用非破壊検査、あるいはX線CTや骨密度測定など医療用の放射線検査装置分野への応用が期待できます。
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2.見えない放射線の飛跡を見る
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−固体飛跡検出器の最近の進歩について-(会員ページ )
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近畿大学原子力研究所 教授 鶴田 隆雄
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”放射線は目で見ることができない”と言われますが、放射線が物質中をどのように飛行したか、その飛 跡を観察することはできます。霧箱、泡箱、乳剤、固体、とさまざまな飛跡検出器があります。CR−39樹脂
は、中性子個人線量計として普及してきました。DAP樹脂は、フィッション・トラック年代測定法における外部 検出器として利用され始めています。固体のうち、こうした樹脂を使った検出器の最近の進歩について紹介します。
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3.プラズマ応用技術の現状と展望(会員ページ )
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京都大学大学院工学研究科電子工学専攻 教授 橘 邦英
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近年、超LSIの製造技術をはじめとして、種々の材料プロセスにおけるプラズマ応用技術の進展はめざ
ましく、珪石器時代の基盤的技術としての地位を確立してきている。今世紀に入ってからも、環境やバイオ 関連への応用を目指した新しい技術の開発も進められてきており、エネルギー関連技術も含めて、ますま
す展開の範囲が広くなってきている。本講演では、これらの技術動向と今後の展望について紹介する。
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4.放射線安全管理と有事対応
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−医療分野を中心にセキュリティから緊急被ばく医療まで−(会員ページ )
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自治医科大学 管理主任者 菊地 透
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医療分野においてアイソト−プ・放射線は、国民の生命や健康の維持・向上に不可欠な存在として安 全に利用している。しかし、その放射線源を使って人々を恐怖に陥れる放射能テロ(ダーティ爆弾)
が起きたらどうするか。また、万が一の放射線源の事故で、直ちに救命を必要する人の医療をどうするのか。今回この課題について、医療用線源のセキュリティ対応と緊急被ばく医療の現状と問題を紹介する。
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5.古文化財や考古学資料の年代測定に関する最近の話題
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−加速器質量分析による14C年代測定の信頼度をめぐって−(会員ページ )
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名古屋大学年代測定総合研究センター 教授 中村 俊夫
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2003年に、国立歴史民俗博物館の研究成果として、弥生時代の始まりが従来の年代観に比べて500年程度遡る可能性が高いことが発表されて以来、放射性炭素(14C)年代測定法がにわかに脚光を浴びるよ うになった。九州北部に分布する、水田稲作に関係する遺跡から発掘された土器片に付着する炭化物の14C年代値を測定し、それを暦年代軸に較正した結果、紀元前10世紀末ごろに遡る較正年代が得られた。
この研究成果が年代データの観点からみて重要なことは、@これまで弥生時代遺跡遺物の年代測定試料としては用いられたことがなかった土器付着炭化物を測定対象としたこと、A加速器質量分析法という最新の分析法を用いたこと、B14C年代値ではなく、それを暦年代軸に換算した較正年代を用いたこと、である。ここでは、加速器質量分析法による14C年代測定の現状と得られる年代値の信頼度、また応用研究につ いて議論する。
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6.放射光を利用した微細加工技術の現状とその展開(会員ページ )
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兵庫県立大学高度産業科学技術研究所
教授 服部 正
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マイクロセンサ、マイクロアクチュエータの微小な機能部品から構成され、複雑で高度な働きをするマイクロマシン、あるいはマイクロ・ナノシステムと呼ばれているシステムは、これまでにない概念のシステムが実
現できるということから、この技術が次の世界を征していくだろうと注目されており、アメリカをはじめ、世界中 の国々がその研究にしのぎを削っている。バイオ、医療、環境、情報通信など多岐にわたって応用が提案され、大きな成長に期待がかかっている。そのなかで、大きな課題は加工プロセスのコストダウンといわれて
いる。現在、この分野で進展している放射光を用いたLIGA(リソグラフィLithographie、電鋳Galvanoformung、 成形Abformungの頭文字からの略語)プロセスはコストダウン要求に大きな力を発揮するといわれているが、 日本では実用化の例がまだ数少ない状況である。今回、ここではマイクロ・ナノシステムとマイクロ・ナノ加工として有望なLIGAプロセスを中心にその現状と展開について述べる。
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7.高バックグラウンド放射線地域住民の染色体調査で判った
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低線量放射線の健康影響(会員ページ )
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放射線医学総合研究所 名誉研究員 早田 勇
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中国南部の広東省の陽江に環境自然放射線が普通より高い地域がある。高くなっている放射線の量は胸の集団検診のX線を毎年20〜40回受ける程度(1〜2mSv/年)である。この高自然放射線地域に住んでいる人達のリンパ球中に出現する染色体異常を解析したところ、放射線によるものは放射線以外の変異原(代謝による活性酸素や化学物質等)によるものに比べて少なく、放射線以外の変異原によるものの個人差の範囲内であった。
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8.古典放射線生物学を分子生物学で解く
−恩師エルカインド博士を偲んで−(会員ページ )
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京都大学名誉教授・(財)体質研究会主任研究員 内海 博司
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8年ほど前に亡くなられた恩師エルカインド博士が発見した「エルカインド回復」は、古典放射線生物 学の最大の解決すべき課題でした。DNA組換技術のお陰で、DSB修復を人為的に欠損させた変異細胞が作られ、世界で初めてこの現象がDSBの相同組換え修復であることを明らかにした。これによって、次々と古典放射線生物学上ではブラックボックスであった重要な放射線生物現象が分子レベルで解けてきまし
た。
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第15回放射線利用総合シンポジウム概要(聴講記)(企画委員会名簿)
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開催日 平成18年1月27日
於 住友クラブ
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1.ガスハイドレートを巡る最近の話題-基礎研究から天然ガス輸送・水素貯蔵技術まで-(会員ページ )
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大阪大学大学院基礎工学部 大垣
一成
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水の水素結合で構成されるガスハイドレートが、地球レベルの環境問題対策技術の鍵を握る物質として注目されている。本講では、ガスハイドレートの構造と性質を概説し、特に最近注目されている天然ガス輸送・水素貯蔵との係わりを明らかにする。また、放射線照射によりハイドレート籠内に生成したラジカルの安定性と崩壊現象についても触れる。
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2.近江の古代製鉄について(会員ページ )
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NFCセンター顧問 田部 善一
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7〜8世紀の近江は、近畿地方最大の鉄生産国であった。現在、滋賀県には60カ所以上の製鉄遺跡が見つかっており、一つの遺跡に一つの炉とは限らないので、製鉄炉の数は相当数に上る。 これらの製鉄遺跡の状況を、古代の文献や分析値(放射線分析を含む)から考察し、当時の国家体制との関わりなどについても触れてみたい。
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3.地球上の大異変の鍵をにぎるのは巨大分子雲との遭遇か? 微量元素分析を通して仮説を検討する(会員ページ )
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京都大学名誉教授 藪下
信
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地球の過去には、いくつかの大異変があったが、特筆すべきは、全地球凍結(約5億年前)、ペルム三畳紀境界(P/T境界、2億5000万年前)、それに白亜紀第三紀境界(K/T境界、6500万年前)である。とくに、K/T境界は、恐竜の絶滅で、広く知られている。
K/T境界地層では、地球上に少ないイリジウムが見出され、しかも大クレーターが見つかったことから、地球外から巨大隕石が衝突したとの仮説が、流布されている。しかし、地層を詳細にしらべると、整合性がない。またP/T 境界はイリジウムも見出されず、クレーターはみいだされてはいるものの、小さくて、全世界的な異変をもたらすには、小さすぎる。さらに全地球凍結をもたらすには、巨大隕石のしょうとつでは、無理がある。さらに、地球磁場の逆転がなかった時代(スーパークロン)も、異変と関係している。
他方、太陽系の属する銀河系には、巨大分子雲が多数存在する。とうぜん、太陽系はそれらと遭遇する。そのとき大異変が地球にもたらされることが、理論的に導かれる。その証拠となるのは、微量にしか地上に存在しない元素である。どのような測定結果がえられているか。どのような結果が得られると考えられるかについて、述べる。
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4.FDG-PETおよびPET/CTによる腫瘍の画像診断(会員ページ )
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京都大学先端領域融合医学研究機構 中本
裕士
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フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いたポジトロン断層撮像法(PET)は、新しいがんの画像診断法として注目を集めている。2002年春からは保険適用が開始され、検査可能施設がここ数年増加しており、検査件数もうなぎのぼりである。一方この検査について「微小ながんをみつける切り札」のように誤解されていることもしばしばである。FDG-PET検査の真の臨床的有用性について、わかりやすく解説します。
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5.低線量放射線と生体免疫能の変化(会員ページ )
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東京理科大学薬学部 教授 小島 周二
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本シンポジウムでは低線量放射線照射による免疫機能、特に抗腫瘍免疫の亢進に注目し、その作用機構の解明を目的として、低線量γ線照射の免疫細胞への影響について検討した。この結果、低線量のγ線照射により細胞性免疫が亢進し、腫瘍免疫亢進に有利に作用した可能性が示唆された。また、照射群で抗腫瘍活性の指標であるCTL及びNK活性の上昇も確認された。さらに、全リンパ球に対する相対比では、照射によるB細胞の減少が見られ、この現象も細胞性免疫の亢進にむすびつくものと考えられる。
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6.高速増殖炉の開発−「もんじゅ」改造着手にあたって−(会員ページ )
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(独)日本原子力研究開発機構
次世代原子力システム研究開発部門 中島 文明
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高速増殖炉は、長期的なエネルギー安定供給や放射性廃棄物の潜在的有害度の低減に貢献できる可能性を有することから、その実用化に向けた研究開発を進めている。その中核施設である「もんじゅ」は、早期の運転再開を目指して平成17年9月より本格的な改造工事を開始した。
「もんじゅ」では、発電プラントとしての運転信頼性の実証や運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立を図っていく。また、高速増殖炉サイクルの実用化像を提示するための研究開発の場として利用していく。国際的にも第4世代原子炉の開発のため、具体的利用について検討を進めている。更に、地元福井県の「エネルギー研究開発拠点化計画」では研究開発、人材育成、産業の創出・育成の面での拠点として期待されている。
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7.高温ガス炉の核熱を利用した水素製造(会員ページ )
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(独)日本原子力研究開発機構
原子力基礎工学研究部門 国富 一彦
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高温ガス炉は優れた安全性を有するだけでなく、950℃の高温の熱を炉外に取り出すことができます。日本原子力研究開発機構では、高温ガス炉の核熱を用いて水から水素を製造する原子炉システムの開発を行っています。このシステムは水素製造の過程で全く炭酸ガスを排出しない究極にクリーンなシステムであり、2020年以降の実用化が期待されています。本講演では、高温ガス炉水素製造システムの開発の現状を紹介します。
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