第25回 放射線利用総合シンポジウム

日  時 : 平成29年1月23日() 10:00〜17:00

場  所 : 大阪大学中之島センター

      (大阪市北区中之島4-3-53 TEL06-6444-2100   【アクセス地図】

主  催一般社団法人大阪ニュークリアサイエンス協会

    公立大学法人大阪府立大学 地域連携研究機構

後援・協賛団体:文部科学省、経済産業省近畿経済産業局ほか32法人。詳細は下記。

【開催の趣旨】
 当協会では、長年に亘り研究会やシンポジウムなどを通して、放射線および原子力利用の基本的な知識の普及に努めてまいりました。
 放射線の利用は、実生活において色々と大切な役割を果たしています。私たちは放射線の危険性と同時に有用性も正しく理解し、より良い人間生活のために活かしていく必要があります。
  本シンポジウムは放射線やビーム利用に関する様々なトピックスを、学術研究や産業・医療・環境保全などの第一線で活躍している人々の講演を通して、一般市民の方々にも理解しやすい言葉で紹介し、放射線やビーム利用の有効性の啓発活動に寄与することを目指しています。
  シンポジウムの午前中は生物、生体への放射線の影響に関する基礎的研究と原発事故の被害の実態について、午後の前半では放射線の半導体プロセスへの応用や電子顕微鏡の発展とそれを用いた最先端の物性解析を、後半では5年前の東電福島事故を振り返り事故を起こさないための提言と、理研・仁科加速器研究センターにおける加速器の発展とニホニウム発見への道のりについて、第一線で活躍しておられる方々に分かり易いお話をお願いしました。
 お誘い合わせのうえ、多数ご参加下さい。

◇参加費:一般企業 5,000円

    ONSA会員、後援・協賛団体会員 3,000

    大学・公設機関 1,000円   学生・一般市民 無料

◇交流会:講演終了後開催 参加費3,000円、ただし、ONSA会員・役員・参与の方は新年互助会を兼ねていますので無料。

◇参加を希望される方は、参加申込みメールフォーム又は、 e-mail ()で、お申込み下さい。e-mail 返信が1週間以上無い場合は、お手数ですがTEL/FAX等でご連絡下さい。
◇問合先:542-0081大阪市中央区南船場 3丁目3-27 (一社)大阪ニュークリアサイエンス協会(TEL:06-6282-3350 e-mail: 

開会挨拶 大阪ニュークリアサイエンス協会会長 豊松 秀己

1.[ONSA奨励賞受賞講演]
放射化学アッセイ法を利用したチャバネアオカメムシにおける光周性の神経内分泌機構に関する研究

京都大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 研究員 松本圭司

 チャバネアオカメムシのメス成虫は明瞭な光周性を示し、短日条件により卵巣発達を抑制し冬を越す。光周性の神経内分泌機構を解明するため、卵巣発達に必要な幼若ホルモン(JH)合成の調節機構に着目して研究をおこなってきた。JH合成器官を3H-メチオニン存在下で培養し、分泌されたJHに含まれる3H量を測定することでJH合成量を測定できる。本講演では、この放射化学アッセイ法を基軸とした研究成果について紹介する。


2.放射線の生体影響〜福島から何を学ぶ〜

ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部 室長 宇野賀津子

 東日本大震災以降6年近い月日が経過した。演者は2011年秋から日本学術振興会の産学協力研究事業に係わる説明会チームの一員として福島入りして以来、日赤、県や地域の学習会の講師を務め、また学振の「放射線の影響とクライシスコミュニケーション」の分科会主査を務めた。その中で感じた科学者の役割、クライシスコミュニケーションのあり方、事故後3年以上たって見えてきた原発事故の被害の実態、について報告する。

3.宇宙における長期滞在と放射線の防護

宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 有人宇宙技術センター 技術領域主幹 永松愛子

 宇宙放射線による人体深部への被ばく線量被ばくは、ISSの滞在日数を制約するのと同様に、有人惑星探査ミッション期間を定義するものになる。地磁気圏外を飛行する有人惑星探査ミッションでは、ISSよりもはるかに過酷な放射線環境であり、「宇宙放射線による被ばく」が最も大きなリスクおよびハザードのひとつとなる。
 2030年以降の月面および火星表面を想定した将来有人探査の安全な実現に向け、宇宙放射線に対する遮蔽・防護技術の取組について紹介する。

4.[ONSA賞受賞講演]
放射光を利用したレジストの開発に関する研究

兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 教授 渡邊健夫

 2020年には10 nm幅半導体配線パタン形成が要求されている。半導体用リソグラフィ技術では、形成する線幅と同等程度の露光波長が必要であり、13.5 nmの極端紫外光を用いた極端紫外線リソグラフィ(EUVL)技術が最も期待されている。このため、我々はニュースバル放射光施設を用いてEUVL技術開発を進めており、この開発の状況と課題について報告する。


5.電子顕微鏡の照射効果研究への応用

大阪大学名誉教授、大阪大学超高圧電子顕微鏡センター 特任教授 森 博太郎

 はじめに、透過電子顕微鏡(TEM)法の最近の発展に触れる。次に、超高圧電子顕微鏡を含むTEMによる電子照射効果の研究例を紹介する。MeV電子照射下で引き起こされるCrFe系σ相のbcc相への変態や、keV電子照射下で誘起されるPt/SiOx界面におけるPt2Si化合物の形成(電子励起による固相反応)について議論する。

6.東電福島事故の発生要因と二度と重大事故を起こさないために

国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 特別顧問 齋藤伸三

 2011年3月に発生した東電福島第一原子力発電所事故は、想定外の津波によりタービン建屋内に設置していた非常用発電設備が冠水使用不能となり崩壊熱を除去できなくなったことが根本的原因であるが、同事故の主な発生要因と二度とこのような重大事故を起こさないために何が必要か、どのような対策が取られているかを述べる。


7.ニホニウム発見─森田浩介らはいかにして113番元素の命名権を獲得したか

仁科記念財団 常務理事 矢野安重

 このたび森田浩介氏(九州大学教授、理化学研究所仁科加速器研究センター・グループディレクター)の率いる研究グループが、「113番元素の発見者」として国際純正応用化学連合(IUPAC)によって認定され、同グループが提案した「ニホニウム Nh」が周期表に加わることになった。エピソードを交えその経緯を語る。



閉会挨拶 大阪府立大学地域連携研究機構 放射線研究センター長 谷口良一


後  援:

文部科学省   経済産業省近畿経済産業局  (国研)日本原子力研究開発機構   (国研)量子科学研究開発機構 大阪商工会議所 堺商工会議所 (一財)大阪科学技術センター (一財)電子科学研究所

協  賛:

(一社)日本物理学会 (公社)日本化学会 (公社)応用物理学会 (一社)電気学会 (公社)高分子学会  (公社)日本分析化学会 (一社)日本原子力学会 (公社)日本医学放射線学会 (一社)日本非破壊検査協会 (公社)日本放射線技術学会 (公社)日本アイソトープ協会 (一社)近畿化学協会 (一社)大阪府技術協会 (公社)大阪府診療放射線技師会 (一財)放射線利用振興協会 日本放射線化学会 日本放射光学会 日本放射線影響学会 (一社)日本保健物理学会 (一社)日本接着学会 (公社)日本表面科学会 (一社)日本核医学会 日本バイオマテリアル学会 日本防菌防黴学会 日本陽電子科学会 関西原子力懇談会

講演会終了後、新年交流会を同所・サロンにて開催します。ONSA会員、理事、および参与の方は会費無料なので、是非ご参加ください。

上記以外の方は参加費3,000円を頂戴いたします。是非ご参加ください。

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