第21回 放射線利用総合シンポジウム

参加申込みはこちら  (終了しました)

日  時 : 2012年1月16日(月) 10:00〜17:00

場  所 : 大阪大学中之島センター

      (大阪市北区中之島4−3−53 TEL06-6444-2100

             【アクセス地図】

主  催社団法人大阪ニュークリアサイエンス協会

    公立大学法人大阪府立大学 地域連携研究機構

後援・協賛団体 : こちら

参加費:一般企業 5,000円  

    協会会員、後援・協賛団体 3,000

    大学・公設機関 1,000円   学生・一般市民 無料

交流会費3,000円

◎参加を希望される方は、参加申込みフォームからお申込み下さい。受付の返信が無い場合は、お手数ですがTEL/FAX等でご確認下さい。

【講演のタイトルおよび講演者】

1.低線量・低線量率放射線の健康影響を考える  

大阪府立大学大学院理学系研究科 児玉 靖司

 低線量・低線量率の放射線被ばくで懸念される健康影響は発がんである。世界で最も信頼される放射線影響の疫学研究は、日本の原爆被爆者の寿命調査によるものであるが、それでも低線量・低線量率放射線の健康影響の理解には不十分である。そこで、これまでの事故被ばくや高自然放射線による人体影響に関する報告を紹介しながら、低線量・低線量率放射線による健康影響に関して、何が分かり、何が不明なのかを整理し、今後の見通しについて考える。

 

2.KURAMAによる福島県の放射線量測定 

京都大学原子炉実験所粒子線基礎物性研究部門 谷垣 実

 東電福島第一原発事故では放射性物質による深刻な汚染が発生した。被災地域での迅速かつ広範囲の空間線量測定は、住民の被曝管理や汚染状況の把握、環境修復に極めて重要である。京大原子炉ではそのためのシステムとしてKURAMAを開発し、現地での測定に活用されている。講演ではシステムやその開発、現地での測定の状況について紹介する。

 

3.福島第一原子力発電所事故と今後の我が国のエネルギー 

三菱重工業(株)特別顧問 金氏 顕

 3月11日の東日本大震災に誘発された東電福島第1原子力発電所の炉心溶融事故が、地元住民の避難等による苦痛を、また国民には放射線被曝の大きな不安を与えた事は、1960年代から日本の原子力発電の実用化に携わってきた一技術屋として慙愧に耐えません。事故は何故起きたのか、何が想定外であったのか、その教訓、また今後の安全性強化、体制改革など、そして今後の我が国のエネルギー安全保障をどう確保すれば良いのか、などについてお話したいと思います。

 

(休憩・昼食 12:00-13:00)

       

4.海外諸国の原子力開発動向 

(社)日本原子力産業協会国際部マネージャー 小林 雅治

 2011年3月11日に起きた福島事故は、国内外に極めて大きな影響を与えた。ドイツ、スイス、イタリアは脱原子力政策に舵を切ったが、フランス、ロシア、英国、米国などは、原子力を重要な電源として開発を継続していく方針である。中国、インドも原子力を積極的に推進するとしており、中国は2020年代初めには世界第2位、2030年代には米国を抜いて世界最大の原子力発電国になる見込みである。国際原子力機関(IAEA)によると、多くの開発途上国が原子力発電の新規導入を計画又は検討している。エネルギー政策の視点も踏まえて、海外諸国の原子力開発動向を紹介する。

 

5.(ONSA賞受賞講演)放射光メスバウアー吸収分光法の研究 

京都大学原子炉実験所 瀬戸 誠

 これまで、水素貯蔵合金や超伝導体などといった様々な特性や機能を持つ物質が開発されてきた。このような物質で新規な機能や特性がどのようにして発現しているのかを調べるためには、物質を構成しているそれぞれの元素(原子)の役割や状態を明確にする必要がある。元素の状態を調べる方法としてメスバウアー分光法があるが、放射光という新たな線源を利用することで、より多くの元素をより詳細に調べる事が可能になってきた。放射光を利用したメスバウアー分光法について解説する。

 

6.高コントラストX線CTの利用 

京都工芸繊維大学高分子機能工学部門 西川 幸宏

 X線は、人類にとってとても有用な放射線の一種です。例えば、病院等でレントゲンという形で使われ、さらに人体の輪切りが撮影できるX線CTが広く使われています。最近では産業用X線CTとして顕微鏡のように使えるようになっています。X線を用いると、物体の内部までつぶさに観察することができ、普段見慣れた品々でも違って見えてきます。X線の性質をX線CTの原理を簡単に説明したのち、植物・昆虫・食品などを身の回りの品物の観察から、最先端の研究での利用まで紹介します。

  

7.加速器による放射線/量子ビーム利用研究の現状と将来展望 

(独)日本原子力研究開発機構 南波 秀樹

 現在放射線は、基礎科学研究から、医療、工業、農業の幅広い産業分野において利用され、我々の日常生活に欠かせないものとなっている。用いられている放射線源としては、加速器等で作りだされた電子ビーム、イオンビーム、放射光、レーザーなどの人工放射線源が主流となってきており、中性子も高エネルギーの陽子ビームを用いた核破砕中性子源の利用が始まっている。これらの新しい放射線/ビームの発生・利用技術の進展に対応して、高度に制御された光子、イオン、電子、中性子等の「量子ビーム」の利用が進んでいる。講演では、日本におけるこれらの量子ビームを用いた利用研究の現状と将来展望について述べる。

 

8.地磁気の逆転―生命・環境への影響はなかったのか 

神戸大学自然科学系先端融合研究環 兵頭 政幸

 現在の地磁気は、地球の中心にN極を南に向けておいた巨大な磁石が作る磁場で近似できる。しかし、5000〜7000 度(K)もの高温の地球中心に磁石は存在しない。地磁気は地球外核における液体の鉄の対流運動によるダイナモ作用が作ると考えられている。地球の磁場は過去に何度も逆転をくり返し、その強度は逆転時に現在の約1/10にまで 減少した。その時、宇宙線量は約3倍に増えたと推定される。地球の生命や環境にその影響はなかったのだろうか。

 

  

  後  援

文部科学省 近畿経済産業局 独立行政法人日本原子力研究開発機構

財団法人大阪科学技術センター 財団法人電子科学研究所

大阪商工会議所 堺商工会議所

 協 

社)日本物理学会 (社)日本化学会 (社)応用物理学会 (社)電気学会

社)日本分析化学会 (社)日本原子力学会 (社)日本医学放射線学会

社)日本非破壊検査協会 (社)日本放射線技術学会 (社)高分子学会

社)日本アイソトープ協会 (社)近畿化学協会 (社)大阪府技術協会

社)日本表面科学会 (財)放射線利用振興協会  (社) 大阪府放射線技師会

日本放射線化学会 日本核医学会 日本保健物理学会 日本接着学会

日本放射光学会 日本バイオマテリアル学会 日本放射線影響学会

日本防菌防黴学会 関西原子力懇談会 日本陽電子科学会

● このシンポジウムの開催に当たり(公財)関西エネルギー・リサイクル科学研究振興財団より助成を受けています。

 

講演会終了後、同所において講師の先生方との交流会を開催します。奮ってご参加ください。

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