29回 放射線利用総合シンポジウム

日  時 : 2021118() 9401700

場  所 : 大阪大学中之島センター

      (大阪市北区中之島4-3-53 TEL06-6444-2100   【アクセス地図】

主  催一般社団法人大阪ニュークリアサイエンス協会

    公立大学法人大阪府立大学 研究推進機構

後援・協賛:文部科学省、経済産業省近畿経済産業局ほか計33法人。詳細は下記。

助成:(公財)関西エネルギー・リサイクル科学研究振興財団

【開催の趣旨】
 主催者は、研究会やシンポジウムなどを通して、長年に亘り放射線や原子力の利用についての基本的な知識の普及に努めてまいりました。放射線利用は、実生活においても大切な役割を果たしています。私たちが放射線の危険性と有用性を正しく理解し、より良い社会生活に活用することが重要です。 今回のシンポジウムでは、各種放射線に係る、材料、考古学、ラジオアイソトープ、食品、医療、エネルギー、放射線教育などに関する最新の話題について、各専門分野の第一線で活躍されている先生方から、一般の方にもわかりやすくお話しいただきます。また2019年度ONSA賞の記念講演1件が含まれます。今回はオンラインの開催も併用します。皆様、多数ご参加下さい。

◇参加費:一般企業 5,000

    ONSA会員、後援・協賛団体会員 3,000

    大学・公設機関 1,000円   学生・一般市民 無料
      Online参加 全て1,000円 追って参加方法などをメールにて連絡いたします。

◇交流会:今年度は新型コロナの影響で中止。

◇参加を希望される方は、参加申込みメールフォーム又は、 e-mail ()で、お申込み下さい。e-mail 返信が1週間以上無い場合は、お手数ですがTEL/FAX等でご連絡下さい。
◇問合先:〒542-0081大阪市中央区南船場 3丁目3-27 (一社)大阪ニュークリアサイエンス協会(TEL:06-6282-3350 e-mail: 

開会挨拶 大阪ニュークリアサイエンス協会会長 松村 孝夫

1.同位体化学を応用した地球・惑星科学の研究

大阪大学名誉教授 松田 准一

 太陽系の中では、元素の同位体比は特別の理由がない限り一様である。これは、隕石や月の石、地球の石等の元素の同位体比測定からわかったことで、太陽系は昔高温のガス状態であったからとされている。ところが、この一様な同位体比から外れるものがあり、その原因を探ることから太陽系や地球の歴史を調べることができる。このような元素の同位体による宇宙惑星科学研究(大気や海洋の起源、太陽系形成以前の歴史等)を紹介する。


. 炭素14年代測定によって明らかになった縄文・弥生時代の歴史

国立歴史民俗博物館研究部 教授 藤尾 慎一郎

 昭和世代の私たちが習った縄文・弥生時代の開始年代は、それぞれ紀元前1万年、紀元前3世紀であった。しかし21世紀に入って行われた炭素14年代測定によって、それぞれ紀元前14千年、紀元前10世紀には始まっていたことが明らかになった。

 なぜ年代はさかのぼったのか、年代がさかのぼると縄文時代や弥生時代のイメージはどのように変わるのだろうか。最新科学が明らかにした日本の先史時代について講演する。

3.世界初の加速器を用いたBNCT治療システムの実現          

京都大学複合原子力科学研究所 粒子線腫瘍学研究センター 准教授 田中 浩基

 加速器を用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用の治療システムは臨床試験を経て、医療機器の製造販売の承認を得た。これにより、医療機関において切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を適応とした、世界初となるBNCTの保険診療が可能となった。将来は更により多くの疾患に対して適応されることが期待されている。本講演ではBNCTの原理、現状について述べる。

4.[ONSA賞受賞記念講演]

放射線損傷ヌクレオシドであるジヒドロチミジンを指標とした新規照射食品検知法の開発

(地独)大阪府健康安全基盤研究所 主幹研究員 福井 直樹

 食品の放射線照射(照射)は、その保存性を高める手法として有用である。食品の照射を適切に管理するためには、照射履歴の検知法が必須である。既存の各検知法における適用可能な食品は限局的である。我々は、食品に普遍的に含まれるDNAが照射された際に生成する放射線損傷ヌクレオシドであるジヒドロチミジンを指標とすることにより、多様な食品に適用可能な検知法を新たに開発したので、本講演で紹介する。

 

5.ONSAの放射線利用知識啓発活動を通して、見えてきた放射線教育の課題

(一社)大阪ニュークリアサイエンス協会 参与 大嶋 隆一郎

 演者はONSAの様々な研究会事業に、大阪府立大学在職中の1997年から関わってきた。今回のシンポジウムでは大学での教育や「みんなのくらしと放射線展」と併せて、ほぼ25年間にわたってONSAが主催してきた放射線科学研究会、UV/EB研究会、放射線利用総合シンポジウムなどを通して、明らかになってきた広い意味での放射線や原子力に関する知識啓発の課題について議論する。

6.原子力用炭素材料

東洋炭素株式会社生産本部 原子力室 室長 山地 雅俊

 元素記号C、原子番号6。自然界に広く分布し紀元前の昔から利用されてきた、あらゆるものを構成する基本元素「炭素」。この「炭素」が原子炉の炉内部品として使われているのをご存じだろうか。

 本講演では炭素材料、中でも「炭素」の同素体の一つである「黒鉛」の一般的な特徴、製造方法、用途の説明と、その「黒鉛」が使われている原子炉(高温ガス炉・核融合炉)の説明および採用理由等について紹介する。

 

7.新たな観点でのトリチウム分離方法の開発 および近畿大学原子炉の近況

近畿大学原子力研究所所長 教授 山西 弘城

 福島第1原発で発生する汚染水はALPS等の装置で放射性核種除去を行う。しかし、水素同位体のトリチウムだけは除去できず残存する。この汚染処理水の処理処分は大きな課題である。トリチウムの除去や濃縮の従来方法は電気分解や蒸留などであった。新たな方法として粒状のシリカや活性炭など多孔質の吸着材を用いた方法を検討している。それは、多孔質体細孔の内表面に吸着したHTOH2Oの吸着/脱離エネルギー差を利用したものである。近畿大学原子炉の近況についても述べる。

 

8.原子力の役割に関する国際的議論の動向

(一財)日本エネルギー経済研究所 主任研究員 木村 謙仁

 近年、様々な要因から原子力事業への投資が困難な状況が続いているが、その一方で国際的な舞台では、低炭素化やエネルギーシステム全体への貢献といった観点から原子力の役割を再評価する動きもみられるようになってきている。そこで、本講演ではIEAによるレポートを中心に、そういった国際的議論の概要や、それに関連する諸外国の動向を解説する。

閉会挨拶 大阪府立大学 研究推進機構 放射線研究センター長 古田 雅一

 

 

後  援:

文部科学省   経済産業省近畿経済産業局   (国研)日本原子力研究開発機構  

 (国研)量子科学研究開発機構   大阪商工会議所  堺商工会議所   (一財)大阪科学技術センター  

(一財)電子科学研究所

協  賛:

(一社)日本物理学会 (公社)日本化学会 (公社)応用物理学会 (一社)電気学会 (公社)高分子学会

(公社)日本分析化学会 (一社)日本原子力学会 (公社)日本医学放射線学会 (一社)日本非破壊検査協会

(公社)日本放射線技術学会 (公社)日本アイソトープ協会 (一社)近畿化学協会 (一社)大阪府技術協会

(公社)大阪府診療放射線技師会 (一財)放射線利用振興協会 日本放射線化学会 日本放射光学会

(一社)日本放射線影響学会 (一社)日本保健物理学会 (一社)日本接着学会 (公社)日本表面真空学会

(一社)日本核医学会 日本バイオマテリアル学会 日本防菌防黴学会 日本陽電子科学会  関西原子力懇談会

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