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放射線研究会リスト

放射線シンポジウムリスト

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第50回 UV/EB研究会概要  (聴講記)

 平成24年6月1日 於 住友クラブ

 
1.EUVリソグラフィー用非化学増幅型レジスト(会員ページ)

大阪府立大学大学院 工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野 准教授  岡村 晴之

 極端紫外光(EUV)を用いるリソグラフィーは、22 nmノード以降の半導体デバイス製造における超微細加工技術の本命と期待されており、活発に研究が行われている。現在、ArFリソグラフィーで用いられている化学増幅型レジストを改良した、EUVリソグラフィー用レジストが多数報告されている。本講演では、従来の化学増幅型レジストとは異なるコンセプトに基づいた、新しいEUVリソグラフィー用レジストを紹介する。

 
2.電子線用高解像度ネガ型レジストTEBN-1の開発と特性(会員ページ)

株式会社トクヤマ ファインケミカル開発グループ  東野 誠司

 半導体業界ではITRSの技術ロードマップに従って、光リソグラフィー、およびナノインプリントリソグラフィー等の手法を用いた微細化が進められている。特に近年は10nm以下の微細描画も要求されており、これらの要求を達成できるレジストが望まれている。弊社が保有する電子線用ネガ型レジスト(商品名:TEBN-1)は10nm以下を描画可能なレジストである。講演では本レジストの特徴、および開発経緯について報告する。

 
3.新規な光塩基発生剤の開発とアニオンUV硬化への応用(会員ページ)

東京理科大学 理工学部 工業化学科 准教授  有光 晃二

 我々は、高効率でアミジン、グアニジン、ホスファゼン塩基のような有機強塩基を発生する新規な光塩基発生剤を初めて開発した。これらの光塩基発生剤を用いることで、これまでは不可能とされていた室温でのアニオンUV硬化が可能になった。当日は、これらの超高感度な光塩基発生剤の特性とアニオンUV硬化材料への応用について述べると同時に、我々が見出した有機強塩基の増殖反応とその利用について紹介する。

 
4.現場施工型紫外線硬化性コーティング剤(会員ページ)

ダイセル・サイテック株式会社 開発企画部  清水 邦雄

 紫外線硬化型コーティング剤はインキ、木工、プラスチックコーティング、エレクトロニクスの分野で非常に多く使用されている。これらの用途はいずれもラインで塗装、コーティングに用いられている。最近アメリカを中心として現場施工型コンクリートコーティングに紫外線硬化性コーティング剤が適用されつつあり、従来とは異なる用途展開が始まっている。本講演ではこの現場施工型紫外線硬化性コーティング剤の特徴、配合処方などをご紹介する。

    
  

第49回 UV/EB研究会概要  (聴講記)

 平成23年11月11日 於 住友クラブ

 
1.宇宙用材料の耐宇宙環境性評価と新規材料開発(会員ページ)

国立大学法人 九州工業大学 大学院工学研究院 先端機能システム工学研究系 先端機能システム工学部門  (併任)宇宙環境技術ラボラトリー 衛星帯電・材料試験センター 助教 岩田 稔

 人工衛星に使用される材料は、高真空・熱・ 放射線・紫外線などの、様々な宇宙特有な環境に曝されると共に、地上用途とは異なる特殊な物性評価によって、その耐性を評価する ことが求められます。本講演では宇宙用材料に要求される耐宇宙環境性評価試験の現状と、新規材料の開発についてお話しします。

 
2.放射線照射法を用いた水中環境負荷物質の分解処理(会員ページ)

独立行政法人 日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 環境・産業応用研究開発ユニット  環境材料プロセシング研究グループ 木村 敦

 水中環境負荷物質は高い毒性および残留性を有し、 既存の下水処理法では無害化が困難であることから問題となっている。放射線照射法は高い酸化力を有するヒドロキシラジカルを水中に 均一に生成することができるため、環境負荷物質を効率的に分解処理することができる。本講演では、環境負荷物質の一種である環境 ホルモンや医薬品類を含む排水を、放射線照射により分解処理した研究成果や、その実用化への課題についてご紹介する。

 
3.可視光レーザーアブレーション法によるナノ加工技術(会員ページ)

京都工芸繊維大学 先端ファイブロ科学部門 助教 山田和志

 現在のナノ加工では極短波長レーザーを用いた光リソグラフィーなどの手法が用いられているが、光の回折限界のために加工限 界に近づいており、新たなレーザーナノ加工技術の提案が必要とされる。ごく最近、我々は、波長532 nmの可視光レーザーと金ナ ノ粒子を用いて高分子超薄膜上へ直径20 nm程度のナノ加工に成功した。講演では、高強度可視光レーザーと金ナノ粒子の自己組織 化を駆使することにより、大気中下で高分子フィルム上へ微細ナノ加工を効率的かつ高精度に行う技術の基礎的な手法について紹介する。

 
4.UVハードコート剤への機能性付与と高硬度化(会員ページ)

荒川化学工業株式会社 光電子材料事業部 立花 誠

 UVハードコート剤は、フィルム表面の傷つき防止を目的にディスプレイ関連を中心に使用が拡大してきた。最近の市場は更なる 機能の付与として、高硬度化、帯電防止性、防汚性、屈折率制御などを求めてきている。これらの要請に対する材料面、樹脂設計面 からのアプローチを報告する。

    
  

第48回 UV/EB研究会概要  (聴講記)

 平成23年9月16日 於 住友クラブ

 
1.量子ビームを用いたPEFC用電解質膜とその特性 〜ハイブリッド型電解質膜とナノ空間制御型電解質膜〜(会員ページ)

大阪大学産業科学研究所 客員准教授 大島 明博

 フッ素系高分子に対して各種量子ビームを酸素不在下で照射することでラジカルを生成させ、そのラジカルを開始点としてグラフト重合 を行うことで、燃料電池用の部分フッ素化電解質膜を合成することができる。本講演では、@得られた部分フッ素化電解質膜をマイクロ オーダーで微粉化し、アイオノマーとブレンドすることで得られるハイブリッド型電解質膜ならびに、A量子ビームの媒体中へのエネル ギー付与のシミュレーションモデルから設計して合成したナノ空間制御型電解質膜について報告する。

 
2.量子ビームを駆使した燃料電池用グラフト型電解質膜の開発(会員ページ)

日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 環境・産業応用量子ビーム技術研究ユニット  高性能高分子材料研究グループ 前川 康成

 置型燃料電池や燃料電池自動車への適用を目的に、量子ビームの合成機能(電子・γ線グラフト重合)と解析機能(中性子・X線小角散乱 等)を駆使した、高耐久性グラフト型電解質膜の研究・開発について報告する。また、グラフト型電解質膜の新たな分解挙動を利用する ことで、これまで解析例のないフッ素系電解質膜に結合したグラフト鎖構造やそのグラフト重合機構の解析が可能となってきたので合わ せて紹介する。

 
3.高分子固体電解質材料の開発とポリマーリチウム二次電池への応用(会員ページ)

三重大学 大学院工学研究科 分子素材工学専攻 教授 伊藤敬人

 リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度・高出力の高性能二次電池として期待され電気自動車用や携帯エレクトロニクス 機器の大型、小型電源として研究開発が行われているが、発火事故に見られる様に、リチウムイオン二次電池の安全性の確保が重 要な課題となっている。安全性を高めるため有機電解液への難燃性化合物の添加、難燃性有機溶媒やイオン液体の使用、高分子( ポリマー)固体電解質や無機固体電解質の適用などがあるが、高分子固体電解質は、柔軟性、弾性、加工性に優れ、電池の薄膜化、 形状自由化の利点を有しており注目されている。本講演では、高分子固体電解質の解説、高イオン伝導化に関する研究動向、及び それらのポリマーリチウム二次電池への応用について、私たちの研究開発も含めて紹介する。

    
  

第47回 UV/EB研究会概要  (聴講記)

 平成23年6月3日 於 住友クラブ

 
1.高分子材料の放射線加工

イービーシステム コンサルタント事務所 幕内 恵三(会員ページ)

  旧著「ポリマーの放射線加工」(2000年刊)の改訂のため、放射線加工(架橋、グラフト重合、分解)の現状を見直し、 非放射線法との競争力を検討した。今後の発展が期待できる放射線架橋として、温水パイプ及びスーパーエンプラを解説する。 グラフト重合ではUV及びプラズマ法との、多糖類の放射線分解及び水溶性ポリマーの放射線架橋によるハイドロゲルでは、 化学法との厳しい競合についても紹介する。

 
2.電子線グラフト重合における高圧印加技術の利用と繊維吸着材の高機能化(会員ページ)

福井大学大学院 工学研究科 ファイバーアメニティ工学専攻 准教授 久田 研次

 環境問題などが深刻化するのに伴い、天然物由来の 活性化体積が負である重合反応を高圧下で行うと、重合速度が増加し高分子量のポリマーが得られることが報告されている。 電子線照射した繊維について、100 MPa以上の高圧下でグラフト重合を行うと、グラフト率が顕著に向上することを明らかにした。 この高圧電子線グラフト重合で表面加工した繊維の吸着特性について紹介する。

 
3.電子線照射グラフト重合によるゴム表面改質技術の開発(会員ページ)

株式会社ミツバ 技術開発部 溝手 範人

 ゴムは現代の産業に不可欠な材料であるが、その柔軟性ゆえに摩擦・摩耗など表面に関わるトラブルが生じやすく、しばしば 表面改質が要求される。従来の表面改質はハロゲンによる化学処理やコーティングが多いが、処理効率や廃液、耐久性などの 問題がある。我々は高エネルギープロセスである電子線照射グラフト重合に着目し、ゴムの表面改質への応用を検討してきた。 本講演では、その検討結果と具体的な応用について紹介する。

    
  

第46回 UV/EB研究会概要  (聴講記)

 平成22年12月3日 於 住友クラブ

 
1.バイオベースマテリアルを用いた紫外線照射染色(会員ページ)

京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 バイオベースマテリアル学部門 安永 秀計

  染色された繊維製品などは、光線、特に紫外線の照射によって、その色が変褪色していく。したがって、これまでは染色物にとっては紫外線は 有害な作用を及ぼすものとして捉えられてきた。一方、本研究では、バイオベースマテリアル(天然由来物質)を色素原料とし、可視光線より も高いエネルギーをもち、さまざまな作用をもたらす紫外線を積極的 に利用して、繊維を染色する方法を検討した。

 
2.放射線加工による環境に優しい高分子材料の開発(会員ページ)

独立行政法人 日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 環境・産業応用研究開発ユニット  環境材料プロセシンググループ 長澤 尚胤

 環境問題などが深刻化するのに伴い、天然物由来の 高分子材料への利用が大きな注目を集めている。セルロース、デンプンに代表される多糖類やそれらの誘導体、デンプン由来のポリ乳酸は、 放射線照射により分解する材料であったが、特殊条件下で照射を行うことで橋かけ構造を導入することができる。本講演では、放射線橋か けによる生分解性ハイドロゲルの創製やポリ乳酸の耐熱性改質とその応用について、実例を挙げて紹介する。

 
3.放射線プロセス及びリソグラフィ関係国際会議報告と実用化直前のEUVリソグラフィ及びレジストの現状(会員ページ)

大阪大学産業科学研究所ビーム応用フロンティア研究分野・分野長 特任教授 田川精一

 今年、10月にワシントンで行われた放射線プロセスの国際会議であるIRaP 2010、 10、11月に行われたリソグラフィ関連の国際会議 であるEUV Symposium, MNC 2010、International EUV Resist Symposiumの4つの国際会議の報告をおこなった後に、長い研究開発の 年月を経て、いよいよ実用化が直前に迫ってきたEUVリソグラフィとレジストの現状について報告する。

 

 

    
  

第45回 UV/EB研究会概要  (聴講記)

 平成22年9月3日 於 住友クラブ

 
1.エン/チオールUV硬化材料の特徴と物性(会員ページ)

堺化学工業(株) 中央研究所 川崎 徳明

 チオール化合物と二重結合を持つエン化合物は、チイルラジカルを活性種とした付加反応を起こすことが知られている。このエン/チオール反応 を用いたUV硬化系は、空気中でも効率よく硬化することや、硬化物の高い接着性等の有用な特徴をもっている。我々は、従来実用上問題であった チオール化合物の大幅な低臭気化に成功した。今回はこのチオール化合物を用いたエン/チオールUV硬化系の特徴と物性について紹介する。

 
2.光架橋反応による有機無機ハイブリッド材料の創成(会員ページ)

大阪市立工業研究所 電子材料研究部 松川 公洋

 有機無機ハイブリッドは、有機成分と無機成分がナノメートルサイズで分散し、それぞれ単独では成し得ない特性を示すことから、注目されている機能材料である。異種成分の相互作用には、紫外線照射下での光ゾルゲル反応、光ラジカル重合、光カチオン重合、エンチオール反応などが効率的である。本講演では、これらの光架橋反応を活用した有機無機ハイブリッドの作製と屈折率を制御したハイブリッド材料への適用について紹介する。

 
3.電子線架橋によるポリ乳酸ゲル(会員ページ)

住友電気工業(株) 研究統轄部 金澤 進一

 電子線で架橋させたポリ乳酸は、 高分子ゲルとして様々なユニークな特性を持つ。Tg(ガラス転移温度)以上の温度で可塑剤等によってゲル膨潤する性質を利用した 柔軟化材料は、エラストマー様の弾性を示し、ソフト塩ビ等の代替材料として期待される。実用化に向け、寸法が変わる、強度が弱い といったゲルの欠点を、ナノコンポジット化技術を応用した高剪断2軸混合によって改善する方法等を紹介する。

4.がん−ホウ素中性子捕捉療法の最近の進歩(会員ページ)

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 教授 切畑 光統

 がん−ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、その原理の発見から70有余年を経て、ようやく飛躍の時期を迎えている。ここでは、BNCTの基盤となる腫瘍集積性を示す10B−ホウ素化合物に焦点を当て、ホウ素化合物が具備すべき性質、実用例、次世代型DDS(薬物輸送システム)等について紹介する。

 

 

    


  

第44回 UV/EB研究会概要 (聴講記)

 平成22年6月11日 於 大阪大学中之島センター

 
1.電子線グラフト重合による繊維機能化技術の開発(会員ページ)

倉敷紡績株式会社 技術研究所 大島 邦裕

 産官学連携にて進めた平成15年度地域新生コンソーシアム研究開発事業「連続生産を目指した電子線グラフト重合法による繊維機能化技術の開発」をベースとして、この度、天然繊維布帛に対して、高機能且つ高耐久性の付与技術の商業生産を開始した(弊社ブランド名:EBRIQ)ので、その開発経緯、商品について紹介する。

 
2.100kV級EB照射処理によるCFRPの衝撃値改善(会員ページ)

東海大学大学院工学研究科 航空宇宙・先端材料研究室 教授 西 義武

 100kV級の低エネルギー電子線照射処理を用いることにより、炭素繊維の曲げ破壊歪を高め、延性を高める(J. Mater. Res.,16(2001) 1632)ことを見出し、さらに、熱硬化性樹脂を用いたCFRP(Mater. Trans., 47(2006) 2846)と、熱可塑性樹脂を用いたCFRTP(Mater. Trans., 50(2009) 2826)の衝撃値改善に成功している。

 
3.X線ピンポイントがん治療システム開発と医学物理(会員ページ)

東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 教授 上坂 充

 電子ライナックX線治療システムに最新のXバンド(9.3Hz)加速器技術、薬品送達システム、数理ソフトウェア技術を結集させた総合国産システムを開発中である。次にX線を受けて動くがんを造影させ、さらには相乗治療効果を狙うのは薬品送達システム(Drug Delivery System; DDS)である。最先端のポリマーナノテクノロジーを駆使して、数nm程度の薬剤を包含してサイズを制御し、また修飾子をその表面に付着して患部への集積性を高める。最後に、全国の大学院で始まっている研究開発型医学物理の教育と研究の状況も紹介する。

4.電子線グラフト重合法による機能材料作製法の進化(会員ページ)

千葉大学大学院工学研究科 教授 斎藤 恭一

 電子線グラフト(接ぎ木)重合法の利点である,任意の材質や形状の出発材料(基材)に適用できることを生かして,多孔性中空糸膜および非孔性のフィルムや粒子を基材にして,分離や反応に役立つ機能材料をこれまで開発してきた。分離の対象は,おもに金属イオンやタンパク質である。本講演では,グラフト材料の作製法を紹介し,従来材料に比べて,グラフト材料が高性能であることを示す。

第43回UV/EB研究会概要(聴講記)

平成21年11月20日 於 住友クラブ

1.高強度レーザー誘起放射線(電子・イオン)の現状と工業分野への展開について(会員ページ)

光産業創成大学院大学 光産業創成科 光加工・プロセス分野 沖原 伸一朗

 低重量・省スペースのレーザー装置で数MeV以上の粒子線を発生できる。近年では重イオンビームや単色電子ビーム発生等、用途開発向けの研究もなされている。世界的な研究や装置開発の進展を踏まえ、工業分野への実用化には至っていないが、次世代の技術として期待されている。講演では、レーザー誘起放射線研究の現状と、最新レーザー装置の開発状況、既存の工業分野への応用の可能性について概説する。
2.超低エネルギー電子線照射源EB-ENGINE®の開発と応用(会員ページ)

浜松ホトニクス株式会社 電子管事業部 第5開発G 松井 信二郎

 従来産業に用いられてきた加速電圧数百kV〜数MVの高エネルギー電子線はその飛程が数百μm〜数mmあり、深さ方向への透過率が高いという反面、薄膜のごく表面などにおいてはエネルギー吸収効率が低く、且つ改質不要な深部にまで電子線が到達してしまう問題があった。 浜松ホトニクス(株)が開発したEB-ENGINE®は、加速電圧40〜110 kVの超低エネルギー電子線を大気中に取出し、従来の高エネルギー電子線照射源よりもはるかに高効率で薄膜の表面のみへの電子線照射を可能にする。 講演では、主にこの超低エネルギー電子線照射の特長とその応用について紹介する。
3.イオン注入法を用いた高分子材料の処理(会員ページ)

株式会社イオンテクノセンター 常務取締役 長町 信治

 高エネルギービームを用いた高分子材料の改質には主に電子線、X線が用いられてきた。過去にはイオンビームを用いて改質する試みもいくつかおこなわれたが、実用化されるには至っていない。改めてイオンビームと電子線、X線の違いを整理すると同時に、イオンビームの持つ可能性について議論する。
  

第42回UV/EB研究会概要(聴講記)

平成21年9月25日 於 住友クラブ

1.粒子線がん治療の現状と展望(会員ページ)

若狭湾エネルギー研究センター 粒子線医療研究室 山本 和高

 粒子線は、そのエネルギーに応じて体内の一定の深さで停止し、その直前にBragg Peakを形成する。この物理学的特徴を利用すると、通常の放射線治療に用いられているX線よりも、体内のがん病巣に対して集中して照射し、周囲の正常組織への線量を減らすことができる。X線では治療困難とされてきた悪性黒色腫等でも良好な治療効果が報告されている。粒子線治療には大きな加速器や複雑な照射システム等が必要で、国内の粒子線治療施設は、現在7ヵ所であるが、さらに4ヵ所で準備が進められている。
2.電子線グラフト重合プロセスを利用した機能性高分子材料の製品化(会員ページ)

(株)イー・シー・イー EPIX製品部 技術課 課長 菅野 淳一

 弊社は荏原グループに属し、放射線グラフト重合を応用した製品の製造・販売を行っている。荏原グループでは1980年代から放射線グラフト重合を利用した機能性高分子材料の開発に着手し、これら材料を応用したイオン交換フィルター、純水製造装置などの各種製品を製品化してきた。製造に用いる放射線グラフト重合プロセスの特徴と、これまでに製品化した機能性高分子材料の用途および性能について概説する。
3.大気圧プラズマの事例紹介と今後の展望(会員ページ)

日本プラズマトリート(株)代表取締役 鶴本 康彦

 大気圧プラズマ技術は、装置のコンパクトさ、廉価な設備費、連続生産に向く等の理由から欧州や米国で13年ほど前から生産現場で使用され始め、急速に全世界へ広まってきました。ドイツのPlasmatreat GmbH社が開発した装置は先に述べた3つの特徴のほかに、高速処理が可能、圧縮空気は無論、N2、O2、Ar等の各種ガスや混合ガスも使えるという優れた特徴をもち、自動車、航空機、印刷、カートン、電子部品、ガラス、プラスチック業界等で使われています。更に近年になって、医療器具、医療現場、製薬分野、メッキ業界(金属、プラスチック)でも使用されようとしています。講演では最近のプラズマとコーティングの合体技術等を紹介します。
  

第41回UV/EB研究会概要(聴講記)

平成21年6月5日 於 住友クラブ

1.フラーレンおよびフラーレン複合材料の調製と光物性(会員ページ)

岡山大学大学院 環境学研究科 准教授 高口 豊

 サッカーボール型分子として知られるフラーレン(C60)は光電子受容体として高い機能を有することが知られている。本講演では、フラーレンおよびフラーレン誘導体の光物性を利用した材料応用について述べる。特に,水分散性フラーレンウィスカーの調製をはじめとする材料の形態制御と分散性の付与や、光誘起電子移動を利用する材料設計についての最新の研究について紹介する。
2.マイクロ波光触媒法による新しい環境保全技術(会員ページ)

東京理科大学 総合研究機構 講師 堀越 智

 光触媒(TiO2)は処理速度の問題から水処理への応用は進んでいない。この問題を解決するために電子レンジや通信に利用されているマイクロ波を利用した。化学反応においてマイクロ波は迅速加熱の手段とされているが、光触媒反応においてはマイクロ波独自の効果があることを示唆した。また、マイクロ波のエネルギーで紫外線を発生されるマイクロ波励起無電極ランプを試作し、マイクロ波光触媒法に利用した。通常の光触媒反応を数十倍に促進させることに成功した。
3.フッ素樹脂の放射線加工(会員ページ)

大阪大学産業科学研究所 阪大複合機能ナノファウンダリ 特任研究員 大島 明博

 テフロンに代表されるフッ素樹脂は、放射線照射による分解する典型的な材料であるが、特殊条件下で照射を行うことで、橋架け処理を行うことができる。本講演では、放射線橋架けによるフッ素樹脂の改質とその応用について、実例を挙げて報告するとともに、最近の量子ビームを用いたフッ素樹脂のマイクロ・ナノ加工についても紹介する。
4.陽電子消滅法を利用した機能性高分子材料の評価(会員ページ)

大阪大学大学院工学研究科 環境エネルギー工学専攻 教授 西嶋 茂宏

 陽電子消滅法は,陽電子・ポジトロニウムの寿命および消滅γ線の光電ピークの形状によって、材料の空間構造および電子状態の評価を同時に行えるという特徴を持つ。これまで、極低温用エポキシ樹脂の選定基準、生体高分子の含水に伴う構造変化,大環状化合物の構造の解析、および固体高分子電解質膜の劣化の機構の解明を行ってきた。これらの結果から、高分子材料の機能や性能の発現を反映する情報が得られることが示されつつある。ここでは上記の解析事例について述べ、その応用の可能性について議論する。