第60回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
平成27年9月18日 於 住友クラブ
1.放射線橋かけ技術を活用したポリマーゲル線量計材料の開発(会員ページ)
日本原子力研究開発機構
原子力科学研究部門
量子ビーム応用研究センター 廣木 章博
ポリマーゲル線量計は、放射線治療における線量分布評価のための新しいツールとして注目を集めている。
原子力機構では、放射線橋かけした多糖類ゲルと低毒性モノマーから成る新規ポリマーゲル線量計材料の開発を進めてきた。
本講演では、新規ポリマーゲル線量計の作製方法やその線量応答性について報告するとともに、実用化に向けた取り組みについて紹介する。
まとめと今後の展望
放射線架橋HPCゲルと低毒性モノマーを用いることで、放射線に爆されると無色透明から白色に変化するポリマーゲル線量計材料を開発した。
作製したポリマーゲル線量計材料は、放射線治療線量(2 Gy程度)を検出可能であったことから、放射線治療前の線量分布検証に必要不可欠な重要ツールになると斯待される。
さらに、照射後の白濁したポリマーゲル線量計材料を医師や患者が見れば、容易に照射領域と線量分布を目視で確認できることから、放射線治療のインフォームドコンセントにも役立つ線量計として、斯待される。
放射線治療を受けるがん患者が少しでも安心して治療に専念できるようにするためにも、3次元線量分布の評価が可能なポリマーゲル線量計の実用化を目指したい。
2.放射線はどのように高分子を壊すのか?
−フェムト秒パルスラジオリシスを用いた高分子モデル化合物の放射線分解の解明−(会員ページ)
大阪大学産業科学研究所 ナノ極限ファブリケーション研究分野 助教 近藤 孝文
次世代EUVリソグラフィーでは、微細化のために光源が短波長化され、レジストのイオン化を引き起こす。イオン間距離が加工精度に影響するので、放射線化学が重要となる。高分子レジストの潜像形成の1方法である高分子主鎖切断は、アルキルラジカル生成を経る。フェムト秒パルスラジオリシスにより、モデル化合物のアルキルラジカルの観測により、起点となる短寿命活性種を示唆した。
分解かつ架橋点生成の起点となる短寿命活性種の理解が、本質的に重要である。
まとめ
フェムト秒電子線パルスラジオリシスにより、ドデカン中の放射線化学初斯過程および分解過程の研究を行い、励起ラジカルカチオンや擬自由電子等の新しい活性種導入の必要性を実験的に示し、放射線化学初斯過程と分解過程、電子移動に関する重要な知見を得た。
これらの知見は、主鎖切断型の高分子レジストでも励起ラジカルカチオンからアルキルラジカルが高速に生成したり、化学増幅レジストでも擬自由電子の超高速移動と付着による酸発生を示唆し、レジスト材料中の潜像形成機構の理解、更なる加工の微細化に役立つと考えられる。
3.高精度スクリーン印刷用フォトレジスト材料(会員ページ)
大阪府立大学大学院
工学研究科
物質・化学系専攻
応用化学分野
准教授 岡村
晴之
近年、電子機器や通信機器の小型化・高集積化に伴い、電子部品や配線の微小化が必要とされている。微細回路形成の手法として、スクリーン印刷法は量産性、コスト、環境負荷の点で他法より有利である。しかし、従来のネガ型感光乳剤を使用した場合、線幅30μm以下のスクリーン版の製造は困難であった。本講演では、従来のネガ型感光乳剤とは全く異なる、新規なポジ型高精度スクリーン印刷用フォトレジスト材料を紹介する。
おわりに
高感度・高解像性o高印刷耐久性を有するポジ型レジストを開発し、それを用いた微細回路印刷用の高精度スクリーン版の開発に成功した。
また、開発した高精度スクリーン版を用いた導電ペーストの印刷にも成功した。
今後、開発した高精度スクリーン版の、プリンテツドエレクトロニクスへの展開が斯待される。
4.ニュースバルに於けるEUVレジストの開発(会員ページ)
兵庫県立大学高度産業科学技術研究所
EUVリソグラフィ研究開発センター
教授
渡邊
健夫
極端紫外線リソグラフィ(EUVL)技術は、7 nm世代から半導体の量産技術として用いられる。兵庫県立大学高度産業科学技術研究所では、ニュースバル放射光施設を中心に、EUVレジストとマスクの開発を進めてきた。
この中で兵庫県立大学ではEUVレジスト開発は1996年より進めてきた。今回はEUVレジスト開発にテーマを絞り、sub-10nmのEUVレジスト評価用EUV干渉露光系の開発、アウトガス評価系、軟X線吸収分光を用いたEUVレジストの反応解析等について紹介する。
まとめ
兵庫県立大学では1995年の姫路工業大学の時代からニュースバル放射光施設で極端紫外線リソグラフィ技術の開発を進めてきた。
2008年10月に極端紫外線リソグラフィ研究開発センターが兵庫県立大学高度産業科学技術研究所に設置された。同センターはEUVL技術開発を促進させるために設置され、EUVL技術開発を加速するために同センターが保有する装置等を一般ユーザに開放してきた。同センターでは、EUVレジスト材料開発および評価系の開発、並びにマスク欠陥検査技術の開発を進めている。
今回の発表では、EUVレジストのアウトガス特性評価、酸発生剤内包型EUVレジスト開発、sub-10 nmのEUVレジスト評価用EUV干渉露光系の開発、並びに高感度EUVレジストに向けた軟X線吸収分光法を用いた反応解析について紹介した。
これらのシーズを基にEUVレジストの開発に貢献していき、使用を満足するレジスト開発を加速し、EUVリソグラフィの実用化を進める。
第59回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
平成27年6月12日 於 サンエイビル
1.糸への連続式電子線加工装置及び商品展開(会員ページ)
住江織物株式会社 テクニカルセンター 米澤 修一
戦略的基盤技術高度化支援事業「糸への連続式電子線グラフト重合法による高耐久性高機能繊維の開発」を実施し、その成果である開発作製した装置は、PET繊維等の放射線に対して抵抗性があるラジカル生成効率の低い材料の改質にも有効である。
また、この装置を用いて作製したグラフト重合糸の商品展開について報告する。
まとめ
酸素濃度10ppm以下の雰囲気で糸を連続的に電子線照射、モノマー付与、重合、洗浄、乾燥、巻取りできる装置を開発した。
酸素濃度10ppm以下の雰囲気下では、電子線によるラジカル生成値の低いポリエステル糸でもグラフ卜重合できる手法である。また、加工した繊維を用いて消臭機能や吸湿発熱機能を確認できた。
今後も各種機能性モノマーのグラフト重合を実施し、商品展開を実施する予定である。
2.UV硬化型コーティング材の付着性向上技術(会員ページ)
ラドテック・サポート 阿久津 幹夫
UV硬化型コーティング材の付着性向上技術について概説する。付着理論全般の簡単な説明を行い、その付着理論のUV硬化型コート材への応用について述べ、付着性向上の方法を述べる。また、UV硬化の特長である、UV照射条件と付着の関係やUV硬化の欠点である硬化収縮が付着に与える影響を述べ、それを低減する技術についても併せて講演する。
まとめー以下が明らかとなった。
UVコー卜材特有の硬化挙動を知ることの重要性
@UVコート材には、反応率に膜厚依存性があること。
表面:反応率低い。塗膜中央:反応率が極大になる。
塗膜下層:再び反応率は低くなる。
この傾向は、着色されたUVコート材で顕著になり、付着阻害の大きな要因になる。
AUVコート剤は、他の塗料と比べて硬化収縮が大きい。付着という観点からはこれを低減する必要がある。
付着性をアップする方法
@これまで、幾つかの付着理論が提唱されているが、統一的に全ての付着現象を説明できる理論は、残念ながら現在も存在しない。
Aしかし、素材毎に上記述べた付着理論を使い分け、UVコート剤の開発のためのアイデアのガイドラインとして使うことはできる。
B付着困難な素材などの場合、1つの方法で付着性を向上できないので、幾つかの方法を組み合わせる必要がある。
3.チオール基を持つシルセスキオキサンの特性と機能性材料への応用(会員ページ)
荒川化学工業株式会社
研究所電子材料事業部 福田 猛
チオール基を導入したシルセスキオキサン類と各種オレフィン類とをエン-チオール反応によって硬化させることで、透明性、耐熱性、硬化性に優れた有機・無機ハイブリッド材料を得ることができる。今回は、得られた有機・無機ハイブリッド材料の特性と、機能性コーティング材料を中心とした各種用途への適用例について報告を行う。
まとめ
シルセスキオキサン類およびエン-チオール反応を利用することで、透明性、耐熱性、硬化性に優れた有機o無機ハイブリッド材料を得ることができた。
また、これらの特性を生かすことで、機能性透明材料としていくつかの用途に適用可能であることも示された。
従来の透明材料では満足できない物性を求められる分野においても、チオール基を導入したシルセスキオキサン類によって問題解決が図れるのではないかと斯待している。
4.環動高分子:タフポリマーを実現する分子戦略(会員ページ)
東京大学
新領域創成化学研究科
教授 伊藤 耕三
架橋点が自由に動く環動高分子は、特に最近、樹脂材料に添加することで耐衝撃性が大幅に向上することが報告され、新たな応用分野として注目され始めている。本講演では、環動高分子の基礎とその応用について解説するとともに、昨年度からプログラムマネージャーを務めている内閣府の国家プロジェクトImPACT(革新的研究開発推進プログラム)についても紹介する。
おわりに
環動高分子は、環と紐のエントロピーが滑車効果により動的に結合した新しい弾性材料であり、従来のゴムやゲルなどとは原理的に異なる新しい特性を示す。
特に、従来の高分子材料が紐のエントロピーのみで多種多様な物性を実現していたのに対して、環動ネットワークは環のエントロピーが存在している点で、まったく新しい弾性材料と見なすことができる。
環のエントロピーは、21世紀になって人類が手に入れた材料設計の新しい指導原理であり、様々な新規物性o機能の発見を通じて高分子科学に新しい学理をもたらすことが予想される。
また応用面では、すでに自己修復性塗料として塗膜の耐擦り傷性材料として実用化されているだけでなく、振動吸収材料や誘電アクチュエータなど様々な分野で新しいゴム.エラストマ一.ゴム材料として大いに期待されている。
第58回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成26年11月07日 於 住友クラブ
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1.超高分子量ポリエチレン繊維の表面改質(会員ページ)
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(地独)東京都立産業技術研究センター 榎本 一郎
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超高分子量ポリエチレンは、分子量が極めて大きいため、汎用のポリエチレンと特性が大きく異なる。素材としては強度や耐衝撃性など優れた特性があるものの、疎水性のため他の素材との接着性や着色性に劣る。この素材の用途拡大を図るため、放射線グラフト重合及びプラズマ処理により表面改質を行った。視覚的な観点から、表面改質の効果を染色により評価した。FT-IRやXPSにより表面に固定化した成分を調べた。
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2.新規な刺激応答性易剥離粘着剤の開発
(会員ページ)
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(地独)大阪府立産業技術総合研究所 繊維・高分子科 舘 秀樹
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刺激応答性易剥離性粘着剤は、光や熱等の外部刺激に応じて容易に剥離する粘着剤であり、製品の解体やリサイクル分野で大きく注目されている。本講演では、光および熱等の刺激に応答し、粘着力が低下する分解型等の易剥離粘着剤について紹介するとともに、架橋と光分解が可能な新しい架橋剤を用いた光剥離型粘着剤についても報告する。
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3.現像時の高分子反応を利用した微細パターン形成法:反応現像画像形成(会員ページ)
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横浜国立大学大学院工学研究院 大山 俊幸
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ポリマー中に存在するカルボン酸類縁基(イミド基、エステル基など)と現像液中の求核剤との高分子反応を利用した微細パターン形成法である「反応現像画像形成」について紹介する。本手法では、ポリイミドやポリエステル、ポリカーボネートなどにもともと存在する官能基を利用しているため、市販品を含む広範なポリマーに簡便に感光性を付与し、微細パターンを形成することができる。本講演では、反応現像画像形成の機構・適用可能範囲・最新の研究成果などについて述べる。
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4.300o照射幅ライン照射型電子線源「EBエンジン」及び各種紫外線光源の紹介(会員ページ)
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浜松ホトニクス(株) 電子線照射源部 木村
純、紫外線光源部 伊藤
真城
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弊社は、電子線の優れた表面加工技術を広く一般産業に浸透させるため、小型軽量の低エネルギー電子線照射源の開発に注力している。小型軽量ゆえに搬送ラインへの導入が容易で自社内での表面加工処理が可能になる。
本研究会では電子線照射幅 300oを有する、小型電子線照射源の特長を生かした応用分野などを紹介する。電子線照射源と併せ、紫外線光源(エキシマ光源、UV-LED、深紫外光源など)を紹介する。
第57回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成26年9月12日 於 住友クラブ
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1.ウレタンアクリレートとUV硬化型機能性材料(会員ページ)
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日本合成化学工業(株)研究開発本部中央研究所 スペシャリティクリエイティブセンター 河本 浩光
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紫外線硬化型樹脂「紫光TM」はウレタンアクリレートをメインに、硬質から軟質・弾性タイプまで幅広いグレードを展開している。用途も光学関連を中心にコーティング、粘接着剤、インキなど多岐に渡っている。更に、様々な市場ニーズに答えるべく、防汚性ハードコートや自己復元性オリゴマーなど特殊機能を持つ紫外線硬化樹脂の開発にも注力している。本講演では、ウレタンアクリレートの特徴と「紫光TM」製品について紹介する。
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2.ポリエステル繊維への電子線グラフト重合について(会員ページ)
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福井大学大学院工学研究科繊維先端工学専攻 宮ア孝司
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ポリエステル(PET)繊維は,機械的,熱的性質等に優れ,またそのコストパフォーマンスより,衣料から産業資材まで幅広い分野で使用されている素材で,表面改質や機能加工に対するニーズの高い素材である。一方,PET繊維は放射線に対する抵抗性があり,ラジカルの生成効率の低い材料である。そのポリエステル繊維に対し同時照射法または前照射法での電子線グラフト重合による改質の可能性について報告する。
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3.高植物由来率のナノ微細加工用フィルム材料
(会員ページ)
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富山県立大学工学部機械システム工学科
エコマテリアル工学講座電子材料研究室 竹井
敏
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植物の生産物を高度利用できるグルコース誘導体に着目し、植物由来率30-40 %のフッ素含有ナノ微細加工用フィルム材料に関して基礎研究を行った。テキサス大学との研究成果であるステップアンドフラッシュインプリントリソグラフィ、及び大阪大学との研究成果である電子線リソグラフィの最新結果を報告する。高植物由来率の材料を用いるグリーンナノファブリケーションによって、次世代バイオ・電子デバイスの差別化を可能とし、かつ化石資源の使用量削減に貢献できるものと期待している。
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4.UV硬化プロセスの解析と応用:3Dプリンタ・ナノインプリント・多孔型超低誘電率膜(会員ページ)
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山形大学大学院理工学研究科機械システム工学専攻 瀧 健太郎
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新たなものづくりとして注目されている3Dプリンタや微細構造を連続的に転写可能なロールツーロールUVインプリントプロセスについて、UV硬化樹脂の反応速度論的な観点から解析を行い、プロセス条件と硬化物中の反応率・収縮率の分布や弾性率との関係について最新の研究成果を紹介する。また、新開発した多孔型超低誘電率膜製造プロセスとフレキシブル低誘電率膜のエレクトロニクスへの応用について説明する。
第56回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成26年5月16日 於 住友クラブ
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1.電子線グラフト重合による繊維の改質・機能加工(会員ページ)
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福井大学大学院工学研究科繊維先端工学専攻 准教授 廣垣 和正
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高分子材料に電子線を照射すると高分子ラジカルが生成する。 これを開始点とし異種の高分子をグラフト重合すれば、材料に新たな性質を付与できる。この電子線グラフト重合を応用した
繊維の改質・機能加工として、難加工性の高強度繊維(スーパー繊維)の染色性や界面接着性を向上させた例や、ポリエステ ル繊維の濡れ性に温度応答性(インテリジェント機能)を付与した例について紹介する。
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2.水素ラジカルを用いたレジスト除去技術の開発(会員ページ)
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大阪市立大学大学院工学研究科化学生物系専攻 教授 堀邊 英夫
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水素ガスを金属触媒表面で接触分解させることにより活性な水素ラジカ
ルを発生させ(Cat-CVD法)、これによりレジストを還元分解させる研究を行っている。超高密度の原子状の水素ラジカルを発
生させるため、高速にレジスト除去でき、Si基板を酸化しない特長も有する。除去が困難なイオンビーム照射後のレジストも
除去可能であった。種々の高分子薄膜に対し水素ラジカルによる分解速度を測定し、化学構造との相関を解明している。
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3.光塩基発生剤の接着剤への応用(会員ページ)
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スリーボンドファインケミカル株式会社
研究開発本部 開発一部 桐野 学
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光照射により塩基を発生する化合物(光塩基発生剤)を利用した光硬
化技術の研究例が近年増えつつある。本講演では弊社が開発したアミンイミド系光塩基発生剤の特徴について述べるとともに、 光塩基発生剤を利用した接着剤の例として、シアノアクリレート系、およびエポキシ樹脂系光塩基硬化型接着剤の構成と特性
について紹介する。
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4.食品照射の世界動向(会員ページ)
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ダラット大学、(元)日本原子力研究開発機構 久米 民和
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全世界における食品照射の処理量は、内閣府の調査で2005年は約40万トン と求められている。その後、中国などで処理量が急増し、2010年の世界の照射食品量は約58万トン、2012年には100万トンを 超えたものと推定されている。近年は、米国を中心に東南アジア諸国やメキシコなどで検疫処理を目的とした果物の放射線殺
虫が積極的に展開されており、これら世界の食品照射の動向について紹介する。
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第55回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成25年11月15日 於
住友クラブ
1.量子ビームを利用した金属ナノ粒子の生成とその 応用(会員ページ)
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大阪大学産業科学研究所量子ビーム物質科学研究分野 助教 山本 洋揮
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微細化が進むにつれて 、トップダウンの代表であるリソグラフィの限界が唱え始められ、
ナノ領域の微細加工に関する研究は革新的な技術が求め られている。それゆえ、金ナノ粒子をはじめとしたビルディングブロックを使った微細パターン加工
技術およびその配列制 御が期待されている。本講演では、量子ビームを利用した金属ナノ粒子の生成および生成メカニズムを説明し、金属ナノ粒子 のナノ
空間配列制御とその応用について紹介する。
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2. 関西電子ビーム(株)における電子線加速器を利用した照射事業への取組みについて(会員ページ)
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関西電子ビーム株式会社 専務取締役 辻 朝治
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関西電力子会社の関西電子 ビームが福井県美浜町に電子線照射施設を稼働させてから2年が経過した。現在、
医療機器の滅菌を中心とした事業を手掛け る他、材料分野での研究開発の拠点としての期待も高まっている。電子線照射技術は、一般にはあまり知 られていないが、
医療機器の他に食品容器の滅菌など身近なものにも適用されている。本講演では、関西電子ビームが取組んでいる滅菌、材料 改質を目 的とした照射事業について説明する。
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3.電子線グラフ ト重合法を用いた金属イオン吸着不織布の調製(会員ページ)
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福井大学産学連携本部 客員教授 堀 照夫
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UVPETを芯、エバールを鞘とする複合繊維をスチームジェット法で融着させて製造された不織布フレクスター
(クラレ)を用い、これに電子線グラフト重合法で鞘部のみに各種ビニルおよびアクリルモノマーを高度にグラフト反応させて金属吸 着座席を導入した。不織布はグラフト反応後も多孔性で水の透過性に優れ、従来の粒子状金属吸着剤に比べより高速でより多くの金属
が吸着でき、また柔軟性に も優れた吸着剤が調製できる。
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第54回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成25年9月06日 於 サンエイビル
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1.電子線グラフト重合技術を活用した繊維状触媒材料の開発 (会員ページ)
(独)日本原子力研究開発機構 瀬古 典明
エネルギー資源確保のために、環境負荷低減型の廃食油からのバイオディーゼル燃料(BDF)の生成技術として、電子線グラフト重合技術を利用してBDFへ転換可能な繊維状固体触媒の開発を進めている。作製した塩基性陰イオン交換繊維は、菜種油やパームオイルの他、廃油成分のトリグリセリドをBDFとなる脂肪酸エステルに効率的に転換できることを確認した。
2.ナノコンポジット熱収縮チューブの開発
(会員ページ)
住友電気工業株式会社エレクトロニクス・材料研究所 高分子材料技術研究部 山崎 智
熱収縮チューブは加熱することで径方向に収縮するチューブで、家電、電子機器、自動車、航空機などの分野において幅広く使用されている。近年の電子部品の小型化・高性能化に伴い、薄肉化のニーズが高まっている。収縮特性に優れる低融点の低密度ポリエチレンにナノフィラーを添加し、ナノコンポジット化することで、薄肉でも挿入作業性を確保できる熱収縮チューブを開発した。
3.低温プラズマ加工技術を応用した繊維素材の展開
(会員ページ)
ユニチカトレーディング株式会社技術開発部 吉田 耕二
低温プラズマ技術による繊維加工は、環境への負荷の低減や、
その物質自体の特性は変えずに表面特性を変えることができる特徴がある。当社では、低温プラズマ加工技術による繊維加工の研究を約30年前から開始し、羊毛やポリエステル素材に低温プラズマ加工処理した機能加工素材を開発、販売している。本講演ではプラズマに関する基礎的な説明と、当社の低温プラズマ加工技術を応用した機能素材について紹介する。
4. 大気圧プラズマ応用技術 (会員ページ)
積水化学工業株式会社 P2事業推進部 湯浅 基和
大気圧プラズマは、電子材料製造プロセスにおいては、@装置が小さく簡便で大型化が容易である、A連続の高速処理が可能であることから、真空プロセスやUVに変わりうる技術として量産工程で指定席化されている。本講演では、大気圧プラズマの発生原理や反応メカニズムを解説し、FPDやプリント配線基板等の多数の応用例を報告する。
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第53回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成25年5月17日 於 住友クラブ
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1.量子ビームを用いたフッ素系高分子材料の表面改質と微細加工 (会員ページ)
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早稲田大学理工学術院総合研究所/大阪大学産業科学研究所 大島 明博
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フッ素系高分子は、高電気絶縁性、耐薬品性、防汚性に優れ、電気絶縁材料をはじめ、摺動材、人工臓器の各種部材等、広範囲にわたって使用されている優れた材料である。しかしながら、利用用途への期待とは反対に、優れた特性故に加工や改質処理が難しく、性能の割に産業用途への展開が不十分な材料であった。本講演では、フッ素系高分子のPTFEを中心に、各種量子ビームによる機能化を含む表面改質とEBナノインプリントリソグラフィー技術を応用したTRafプロセスによる微細加工体作製技術を例を挙げて紹介する。
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2.高解像性分子レジスト材料の開発 (会員ページ)
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関西大学化学生命工学部 化学・物質工学科 准教授 工藤 宏人
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次世代レジストシステムとして、20nm以下の高解像性が求められている。現在、レジストの解像度とラフネス、および露光感度の三者がトレードオフの関係であることが指摘され、この問題を打ち破る新規レジスト材料の開発が求められている。分子レジストは、分子骨格を精密に設計することが可能であり、官能基数やその構造が少しでも異なると、レジスト特性が大幅に改善される。本講演では、高解像性レジストが発現される分子設計指針について考察した研究結果を紹介する。
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3.直流無電極ランプの特長と応用例(会員ページ)
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ヘレウス・ノーブルライト・フュージョン・ユーブイ株式会社UVプロセス技術部 足利 一男
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UV 硬化反応を用いた光学フィルムなど高機能材料の製造プロセスでは、UV光を発生させる光源は単に光を発する道具ではなく、硬化物の架橋ミクロ構造が光源の発光状態に大きく影響を受けるため、最終的な硬化物特性を決定する重要な技術的要素である。本講演では、UV照射光源の発光状態がUV硬化反応の反応メカニズムや硬化物のミクロ構造にもたらす影響について紹介する。
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4.除染用吸着繊維の放射線グラフト重合法による作製 (会員ページ)
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千葉大学工学部共生応用化学科 教授 斎藤 恭一
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東電福島第一原発周辺の汚染水には,セシウム-137やストロンチウム-90などがイオンとして溶存している。除染作業やその後の回収作業のしやすさを考慮して,CsやSrに選択吸着性を示す無機化合物を担持した繊維を,放射線グラフト重合法を適用して作製した。
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第52回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成24年11月16日 於 住友クラブ
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1.文化財保存科学の世界〜考古学に果たす自然科学の役割〜(会員ページ)
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奈良県立橿原考古学研究所 奥山 誠義
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考古学は、地下に埋没する遺物(動産的資料)と遺構(不動産的資料)から過去の歴史を読み解く学問である。発掘された遺物や遺構という考古資料の持つ潜在的な情報を引き出すため、自然科学的手法が幅広く利用されている。ものの履歴や素材を知るため、そして考古資料を後世へ伝え遺すため、いかなる「科学」が利用されているのか紹介する。
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2.テラヘルツ波による非破壊検査技術(会員ページ)
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情報通信研究機構 電磁波計測研究所 福永 香
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テラヘルツ波帯の分光、パルスエコーを用いたイメージング技術は、物体表面付近の内部構造や物質を非破壊非接触で観察できる。最近では専門家以外でも使える装置が市販されており、電力設備の劣化診断等への応用も進められている。今回は、板絵、壁画、屏風等の文化財の非破壊検査の事例を中心に、テラヘルツ波の応用技術の現状と課題について報告する。
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3.光硬化樹脂収縮率、応力測定装置について(会員ページ)
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株式会社センテック 中宗 憲一
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UV硬化樹脂に代表される高機能樹脂は電気電子デバイスをはじめとする多種多様な産業で使用されている。特に近年の高機能樹脂は単なる接着に留まらず製品の基本性能、品質に大きな影響を与える場所での使用が多くなっている。今回は硬化するにつれ樹脂が膨張、収縮する割合と、その時に発生する応力を連続的に測定できる装置について紹介する。
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4.マイクロ波検出技術を用いた高分子材料への熱・放射線照射による経年劣化測定技術の開発(会員ページ)
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福井工業大学工学部原子力技術応用工学科 教授 砂川 武義
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長期稼働する原子力プラントに敷設されている低圧ケーブル絶縁部の劣化の健全性を評価する測定技術の開発を目的とする。原子力プラントに敷設されている低圧ケーブル絶縁部は、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム等が使用されている。これらは、敷設環境下における熱、放射線の影響により、酸化され電気的及び機械的特性が低下することが知られている。本研究は、高分子材料への熱、放射線照射による酸化物の生成にともなう誘電率変化に着目し、高感度で誘電率変化の測定が可能なマイクロ波誘電吸収法を用いた、新たな非破壊的測定手法の開発について講演する。
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第51回 UV/EB研究会概要 (聴講記)
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平成24年8月10日 於 住友クラブ
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1.放射光と構造基盤創薬 (会員ページ)
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大阪府立大学理学系研究科生物科学専攻 構造生物学分野 教授 多田 俊治
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標的蛋白質の立体構造は医薬分子設計の有用な基盤情報である。近年、計算化学的手法との融合によるインシリコ創薬法が注目を浴びているが、構造解析の精度がその成否の鍵を握っていると言える。立体構造の大半はX線結晶解析によって求められており、放射光は高い精度での構造解析を迅速に微小結晶で可能とする重要な役割を担っている。本講演では、疾病に関わるある種の酵素の放射光を用いた構造解析について報告する。
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2.有機結晶の紫外線・X線・γ線照射による固相反応:反応制御と材料設計 (会員ページ)
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大阪市立大学大学院工学研究科 教授 松本章一
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有機結晶の固相反応は、溶液中やアモルファス固体の反応と異なり、反応経路や生成物の構造が厳密に制御された生成物を得ることができるという特徴をもつ。出発物質の結晶構造から反応性や生成物の構造を予測でき、また反応中の結晶構造変化を追跡することによって、反応を直接観察することも可能である。ここでは、ジエンモノマーのγ線照射によるトポケミカル重合や低分子化合物の固相光異性化反応の研究を中心に、演者が取り組んできた有機結晶の固相反応設計や材料設計について講演する。
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3.オーロラのしくみ (会員ページ)
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大阪市立大学複合先端研究施設 特任教授 南 繁行
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天空に光る美しい光のカーテンであるオーロラは、太陽から吹き出すプラズマ流によって地球の周りで発電が起き、日本で使用している約1億kWに匹敵する電力で作られる壮大な放電現象です。そのしくみや最近の話題等を解説するとともに、観賞用のオーロラ発生装置についても説明します。
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