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1.高速短寿命RIビームを用いた固体内リチウム拡散現象の研究(会員ページ ) |
高エネルギー加速器研究機構・助教授 鄭 淳讃 |
高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究所が共同研究で進めている短寿命核ビーム加速実験装置から得られる短寿命RIビームの学際的な利用を目指して、リチウムの放射性同位体である8Liをトレーサーとする非破壊的拡散実験手法を開発した。その実験装置と拡散実験手法を紹介しながら、短寿命RIビームの学際的研究における有効性を議論する。 又、その手法により得られたイオン導電体b-LiGa内リチウム拡散実験結果について紹介する。
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2.多価イオンビーム、放射光を用いた原子分子研究の世界(会員ページ ) |
京都工芸繊維大学・工芸学部・物質工学科・教授 川面 澄
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放射線の物質に対する作用は、放射線が物質中の原子分子と衝突し、原子分子を励起・イオン化することから始まります。また、宇宙空間にも極めて大量のイオンが存在することが知られています。このようなイオンの中で2価以上のものを特に多価イオンと呼びます。多価イオンは周期表にない「新しい原子」として注目を浴びるようになりました。今回、この多価イオンの衝突過程や多価イオンの光励起・電離過程に関する研究成果を紹介いたします。
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3.高強度レーザー駆動放射線源の現状と展望(会員ページ ) |
原研・関西研究所光量子科学研究センター光量子シミュレーション研究グループ
・副主任研究員 森林健悟 |
フェムト秒パルスの高強度レーザーを固体表面などに照射するとX線、高速電子、高速イオンの放射線が発生する。このような極短パルスレーザー駆動量子ビームは、放射光など他のX線源などに比べてパルス幅を短くできるという長所がある。しかしながら、パルス幅測定は、波長が短かくなるにつれて困難になる。本講演では、原研光量子科学研究センターで行っている研究の全体像の紹介を行うとともに、その中の最新のトピックスとして、短波長に適したX線パルス幅測定法の研究に関して述べる。
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4.重水素・水素を含む凝集系の核反応―常温核融合騒ぎから16年が経過して−(会員ページ ) |
大阪大学・名誉教授 高橋亮人
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“常温核融合”の研究はその後どうなったのであろうか。世界中で細々と続いてきた種々の方法による実験研究により、ますます否定しがたいデータが集積されたのが事実である。主な報告は、@重水素起源のクリーンな核融合、A選択的でクリーンな核変換、が生起することを示していて“常温核融合”という概念を超えたものである。しかしこれは既知の核反応理論では、説明できないものであり、「凝集系の動的・過渡的な秩序・束縛条件下の新しい核反応過程」として説明できうるかどうかが問題である。講演者が提案研究してきた、「正四面体凝縮を種として、重陽子多体核融合やホスト金属原子核との核変換反応が起こるとするシナリオ」から、実験結果と理論結果との首尾一貫性を追求することにより、世界の研究の現状を紹介する。
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