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UV_EB研究会リスト

放射線研究会リスト

放射線シンポジウムリスト

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第30回 放射線科学研究会概要概要 (聴講記

平成18年7月14日 於 住友クラブ

1.イオン・固体相互作用におけるクーロン爆発効果(会員ページ )

兵庫県立大学高度産業科学技術研究所・客員研究員  寺澤 倫孝

イオンビームの固体物質中での相互作用において電子的(非弾性)衝突が主役を演じる格子原子のはじき出し現象が報告されている。そのひとつは高エネルギーイオンの照射によって、またもうひとつは多価イオンの衝撃によって起きる。前者は高温超伝導体などで入射イオンビームの軌道に沿って円柱状に格子欠陥が集中的に生じるもので、欠陥部の磁気的性質が変り磁束をピン止めするため、同材料の臨界電流密度を画期的に向上させる。後者は固体表面において激しいスパッタリングを起こすもので、SIMS、表面加工への応用が期待される。両者とも入射イオンの電離作用により一時的に高密度の電離状態を物質中に局所的につくり、クーロン爆発を誘導する結果として考えられる。
  
2.励起ナノプロセッシングの現状と展望(会員ページ )

和歌山大学システム工学部・教授  篠塚 雄三

近年、レーザー光や電子線などの量子ビームを制御しながら物質に照射することで効率的に物質のナノスケール加工・創製を目指す様々な励起プロセスが提案・開発されている。そこでは電子系と格子(原子)系が直接・間接に励起され、それを契機に原子の凝集形態が変化していく。本講演では、「電子的素励起が誘起する原子過程」に関する基礎研究の成果をもとに各励起プロセス研究の現状を紹介し、将来への道を探る。
   
3.重イオンビームを用いた植物の品種改良法の実用化(会員ページ )

理化学研究所仁科加速器研究センター  阿部 知子

重イオンビーム照射により植物に変異を誘発し、その変異植物を用いて品種改良を行うイオンビーム育種技術は、広く市販される育成新品種が5品種を越え、実用化段階にある。理化学研究所仁科加速器センターでの取組みを中心に各種園芸植物に関して、実用化の例を示し、品種改良のための重イオンビーム照射方法や低LET線照射技術との違いなどを紹介する。
  
4.ポリマー前駆体法における放射線利用と、セラミックス微小構造物の形態制御(会員ページ )

大阪府立大学大学院工学研究科・助教授  成澤 雅紀

 有機金属高分子から、成型、焼成を経て、特殊な形状の無機材料を合成する方法は前駆体法と呼ばれ、典型的な応用として超耐熱性複合材料の強化材として知られるSiC系繊維がある。本SiC系繊維の耐熱性向上には、各種放射線の利用が多大な有効性を発揮し、日本の独自技術として、多くの種類が現在市販されている。照射が耐熱性に与える効果を解説するとともに、セラミックスチューブ、パターニングなど、将来の可能性について、現状を紹介する。

  

 

第29回 放射線科学研究会概要概要 聴講記

平成18年4月21日 於 住友クラブ

1.USEFにおける民生部品評価(会員ページ )

(財)無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)  秋山 雅胤、濱 一守、金井 宏

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)  長束 紀夫

USEFでは、経済産業省の監督の下、NEDOからの委託事業として高機能で低価格な民生部品を利用して衛星機器の低価格化・高機能化を図り、日本の衛星機器メーカの競争力強化を目指したプロジェクトを1999年度から推進している。本プロジェクトでは高機能半導体部品を主とした約200品種の民生部品の地上評価試験(放射線耐性試験等)、2度の宇宙実証試験を実施する。その成果をデータベース等に纏める計画である。地上評価試験結果、宇宙実証試験結果及び両結果の相関関係について報告する。                                   

 

2.雷からの放射線発生とそのメカニズム(会員ページ )

()日本原子力研究開発機構敦賀本部・安全品質推進部 環境監視課  鳥居 建男

 日本海沿岸で発生する冬季雷活動時に環境放射線モニタの指示値が上昇することがある。そこで、雷活動による放射線レベルの変動について研究してきた。その結果、雷雲中の高電界領域で逃走電子が生成され、電磁シャワーが発生する可能性が示唆された。さらには、放射線が雷放電を誘発している可能性も出てきた。本講演では、雷雲中での放射線発生機構や放射線による雷放電誘発の可能性について最近の観測事例を交えながら紹介する。

 

3.-アミノ酸で見る老化 −紫外線とストレスによる促進ー(会員ページ )

京都大学原子炉実験所放射線生命科学研究部門  
放射線機能生化学研究分野  藤井紀子

 生物の身体を構成しているタンパク質はL-アミノ酸が重合して立体構造が形成され、様々な機能を発揮している。しかし、近年種々の老化組織(眼の水晶体、脳、動脈、歯、軟骨、赤血球膜、皮膚)でL-アミノ酸の光学異性体であるD−アミノ酸が検出され、その量は老化に伴って増加することが明らかになってきた。L-アミノ酸とD-アミノ酸は左手と右手構造のような関係にあるが、 L-アミノ酸のみから形成されるタンパク質中に右手構造のD-アミノ酸が混入すれば、タンパク質の立体構造に多大な影響を及ぼし、様々な疾病を引き起こす。我々は眼の水晶体の主要タンパク質であるα-クリスタリン中の特定部位にD−アスパラギン酸(D-Asp)が多量に生じていることを見いだし、その反応機構について解明した。又、この反応は紫外線照射によっても促進することが明らかとなった。本講演ではこれらの研究について概説するともに、最近、皮膚の組織中にもD−アミノ酸を発見し、紫外線の照射によってその量が増加することが明らかになったので、あわせて紹介する。

 

会員サロン

  ◇東大阪宇宙開発協同組合:「人工衛星を用いた雷雲観測」 

        河崎善一郎(大阪大学大学院工学研究科電気電子情報工学専攻) 

  ◇「放射線検出器の最近の動向」      平井敦彦    仁木工芸株式会社:

 

 

第28回 放射線科学研究会概要概要 聴講記

平成17年10月14日(金) 於住友クラブ

 
1.コンクリート構造物の非破壊検査(会員ページ )

非破壊検査株式会社・安全工学研究所  藪下 延樹

 ビル、マンションに代表されるコンクリート構造物は、我々の生活を快適なものにしている。しかし、このコンクリート構造物は、開発当初考えられていたメンテナンスフリーの安全神話は崩れて、製造後の維持管理の重要性が増加している。本講演では、コンクリート構造物の維持管理ツールとして適用される非破壊検査技術の現状と金属材料分野での技術思想を取り入れて発展しつつあるコンクリート構造物の新技術の動向について概説する。

 

2.焦電・帯電式X線発生と蛍光X線分析・X線吸収分析から低温核融合まで(会員ページ )

京都大学大学院工学研究科材料工学専攻・教授  河合 潤

 絶縁体の帯電によるX線発生現象のメカニズム,超小型X線発生装置の開発,アンプテック社(アメリカ)で製品化された焦電結晶X線発生源を応用した0.1 ppm分析までの蛍光X線分析,鉄鋼材料,ガラス,セラミックス,環境物質,インク,朱肉,アルミホイルほかプラスチック製品などの日用品,米など農産物の分析やX線吸収分光について解説する.最近の小型X線源の開発動向,さらにそれを応用した蛍光X線分析従来型やレーザー式など小型X線分析装置について述べる.

 

3.小型加速器の医学利用−小型サイクロトロンによるPET用診断薬の製造−(会員ページ )

住友重機械蒲ハ子先端機器事業センター・部長  熊田 幸生

 近年,癌の早期診断として PET(Positron Emission Tomography)が急速に普及し始め,国内では140施設に到達しようとしている。PET診断にはポジトロン放射性薬剤としてFDG(ブドウ糖を18Fでラベリングしたもの)を使用しているが,短寿命の放射性核種を製造するために,院内にサイクロトロン(加速器)を設置し,核反応から薬剤の自動合成,品質検査までを行っている。本講演では,サイクロトロンの加速原理,核反応,合成装置や周辺機器などを紹介する。

 

4がん−なりやすさ・なおりやすさ−(会員ページ )

奈良県立医科大学医学科・教授  大西 武雄

 最近のがん研究の進歩はめざましい。しかし,今日に至っても死因のナンバー1ががんです。最近のがん研究の成果から、がんになりやすい生活様式があること、他の人に比べがんになりやすい人がいること、同じがん治療を受けてもその効果に個人差があることがわかってきました。患者一人ひとりのがん関連遺伝子を調べることによって、どの治療法が患者さんに最も適しているかを検査して、治療法を選択できる時代がくると考えています。 

 

27回 放射線科学研究会概要 (聴講記)

平成17年7月15日 於 住友クラブ

1.高速短寿命RIビームを用いた固体内リチウム拡散現象の研究(会員ページ )

高エネルギー加速器研究機構・助教授 鄭 淳讃

 高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究所が共同研究で進めている短寿命核ビーム加速実験装置から得られる短寿命RIビームの学際的な利用を目指して、リチウムの放射性同位体であるLiをトレーサーとする非破壊的拡散実験手法を開発した。その実験装置と拡散実験手法を紹介しながら、短寿命RIビームの学際的研究における有効性を議論する。 又、その手法により得られたイオン導電体b-LiGa内リチウム拡散実験結果について紹介する。

2.多価イオンビーム、放射光を用いた原子分子研究の世界(会員ページ )

京都工芸繊維大学・工芸学部・物質工学科・教授 川面 澄

 放射線の物質に対する作用は、放射線が物質中の原子分子と衝突し、原子分子を励起・イオン化することから始まります。また、宇宙空間にも極めて大量のイオンが存在することが知られています。このようなイオンの中で2価以上のものを特に多価イオンと呼びます。多価イオンは周期表にない「新しい原子」として注目を浴びるようになりました。今回、この多価イオンの衝突過程や多価イオンの光励起・電離過程に関する研究成果を紹介いたします。

3.高強度レーザー駆動放射線源の現状と展望(会員ページ )

原研・関西研究所光量子科学研究センター光量子シミュレーション研究グループ
・副主任研究員 森林健悟

 フェムト秒パルスの高強度レーザーを固体表面などに照射するとX線、高速電子、高速イオンの放射線が発生する。このような極短パルスレーザー駆動量子ビームは、放射光など他のX線源などに比べてパルス幅を短くできるという長所がある。しかしながら、パルス幅測定は、波長が短かくなるにつれて困難になる。本講演では、原研光量子科学研究センターで行っている研究の全体像の紹介を行うとともに、その中の最新のトピックスとして、短波長に適したX線パルス幅測定法の研究に関して述べる。

4.重水素・水素を含む凝集系の核反応―常温核融合騒ぎから16年が経過して−(会員ページ )

大阪大学・名誉教授 高橋亮人

 “常温核融合”の研究はその後どうなったのであろうか。世界中で細々と続いてきた種々の方法による実験研究により、ますます否定しがたいデータが集積されたのが事実である。主な報告は、@重水素起源のクリーンな核融合、A選択的でクリーンな核変換、が生起することを示していて“常温核融合”という概念を超えたものである。しかしこれは既知の核反応理論では、説明できないものであり、「凝集系の動的・過渡的な秩序・束縛条件下の新しい核反応過程」として説明できうるかどうかが問題である。講演者が提案研究してきた、「正四面体凝縮を種として、重陽子多体核融合やホスト金属原子核との核変換反応が起こるとするシナリオ」から、実験結果と理論結果との首尾一貫性を追求することにより、世界の研究の現状を紹介する。

 

 

26回 放射線科学研究会概要 (聴講記

 

平成17年4月22日 於 非破壊検査ビル

1.構造物の非破壊検査(会員ページ )

非破壊検査株式会社 藪下 延樹

  昨年は原発2次系蒸気配管破断事故が発生し、構造物の非破壊検査(NDT)の重要性が世間に認識された。今後、プラント業界において、スクラップ&ビルド社会から環境に配慮した原発の延命化に象徴されるメンテナンス社会に移行する際には、ますますNDT技術、特にNDTサービスの必要性が増加すると考えられる。講演では、“メンテナンス社会への移行”をキーワードに、実務家から見た最新のNDT技術を紹介する。

2.3D立体ステレオ撮像機能を搭載した小型X線透視装置の開発(会員ページ )

(株)ビームセンス・代表取締役  馬場 末喜

 電子部品の小型化とプリント基板実装の高密度化が進行し、X線透視装置に対する要望が強くなっています。一般の作業者が実物の状態を理解できるようにするために、最新のパソコンの画像処理技術を応用して、短時間で3次元の物体イメージを表現できるステレオ撮像と表示機能を内蔵した小型X線透視装置を開発しました。CTより高速で、正確な3D立体形状を数秒で撮影できるため、X線技術の普及に貢献できるものと期待されます。

3.放射線育種で生まれた二十世紀梨後継品種の特性と栽培技術(会員ページ )

鳥取県園芸試験場果樹研究室・室長  吉田 亮

 「二十世紀」、「おさ二十世紀」、「新水」、昭和40〜50年代の鳥取県の梨産業大発展時代を担ったのが、これらの品種である。しかし、これらはいずれも、ナシ黒斑病に弱いという大きな弱点を持ち、この病害の慢性的な多発傾向が、生産者を悩ませ続けてきた。これらの品種を、黒斑病耐病性品種として生まれ変わらせたのが、放射線育種法であった。この研究会では、これら品種の育成経過と特性、新たな栽培技術の展開について紹介したい。

.原子力利用とその倫理(会員ページ )

京都大学名誉教授  西原 英晃

 原子力は放射線利用とエネルギー利用に分けられるが、どちらも自然と人工の両面から我々の生活環境にかかわりあう。この二月に京都議定書が発効したが、人類の生存のためには原子力を上手に利用していかなければならない。そこで関係者の倫理的振る舞いが重要となる。社会が発達して職業が分化し、専門家集団ができたが、それぞれ守るべき行動規範がある。原子力では、原子力学会を中心に活動が展開されている。これらについて述べる。

 

第25回 放射線科学研究会概要 (聴講記

平成16年10月15日(金) 於 住友クラブ

1.東大阪人工衛星開発プロジェクト(会員ページ )

東大阪宇宙開発協同組合マネージャ 小林 千里

 中小企業が集まる東大阪市。経済不況と後継者不足に悩むこのまちの活性化を目指し、東大阪宇宙開発協同組合は、小型人工衛星の開発に取り組んでいます。
 プロジェクト発案から約3年が経過した今、開発の現状と将来展望についてお話しします。

2.カドミウムテルル半導体放射線検出器の画像検出器への応用(会員ページ )

株式会社アクロラド モジュール開発部 首藤 靖浩

 カドミウムテルル(CdTe)半導体放射線検出器は、放射線阻止能が大きく室温動作が可能で検出器を小型化できるという特長を合わせ持った新しいタイプの検出器である。現在この特長を生かした、医療用、産業用、航空宇宙用検出器の製品開発が進められている。本講演では、CdTe放射線検出器の特長について説明するとともに、その応用製品である画像検出器モジュールについて紹介する。

 

3.自然放射線と地質(会員ページ )

大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎・副校長 柴山 元彦

 自然放射線としての線強度は各地質帯ごとに特徴がある。また深成岩では,種類によってγ線強度に顕著な違いがある.全岩化学組成SiO2量(wt.%)や斜長石のアノルサイト(An)成分とγ線強度に強い相関がある.また,深成岩体の累帯構造とγ線強度分布にも調和的である。これはU, Th,40K がマグマの結晶分化作用の過程で,マグマの残液への濃縮が進む結果であると思われる。

 

4.薬物・爆発物探知のためのRI/放射線の利用(会員ページ )

科学警察研究所 法科学部第3部長 岸   徹

 犯罪・テロに関連しては様々な物質が用いられるが、これらの物質は隠匿して運搬、所持される場合が多い。そこで、これらの物質を非破壊、迅速に探知するため様々な方法が研究開発されているが、透過力の強さからX線、中性子線を利用した方法や感度、選択性の良さからRIを装備した検出器も研究されている。薬物や爆薬の種類とこれらに着目したRI及び放射線の利用について紹介する。

 

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 第24回 放射線科学研究会概要  (聴講記)

         平成16年7月16日 於 住友クラブ

1.RIビームの生成とそれを用いた物質科学研究(会員ページ )

京都大学原子炉実験所   川瀬 洋一

 原子炉などで生成される短寿命のエキゾティックな不安定核を用いて種々の研究を行うため、オンライン同位体分離の手法により、RIをイオンビーム状態で分離抽出する方法について概要を解説する。また、不安定原子核をプローブとした物質科学研究は、物質内の原子レベルの情報が得られる特長があり、イオン注入法と併用することによりユニークな研究が可能である。最近のホットな話題を2、3の例を挙げて紹介する。

 

2.GeVイオンによる固体内高密度励起現象とマテリアル工学への展開(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所   岩瀬 彰宏

 GeV領域のエネルギーを持った重イオンは固体内で高密度電子励起を起し、物質の結晶構造や物性を大きく変化させるが、そのメカニズムについては十分理解されていない。また、その効果はイオンビームパスの周囲数ナノメートルに局在することから、GeV重イオン照射は、物質にナノスケール構造を与える手段としても有望である。講演では、原研、理研、GSIなどの大型加速器を用いて行ってきた実験結果を紹介し、マテリアル工学への応用の可能性を議論する。

 

3.放射光X線の非弾性散乱による物性研究(会員ページ )

日本原子力研究所関西研究所   水木 純一郎

 物質の物性・機能発現には、電子相関を含めた電子が感じるポテンシャルが重要な働きをしている。これを見るためには電子の励起状態をエネルギー、および運動量空間で直接観察することが必要である。X線非弾性散乱はこれを可能にするユニークな実験手法であり、SPring−8のような第三世代の大型放射光源が出現して初めて実験が可能となった。X線非弾性散乱法の概略とそれを利用した強相関電子系物質である遷移金属酸化物の研究を紹介する。

 

4.原子力材料に観る特異な照射効果(会員ページ ) 

東京大学名誉教授(東海大学エネルギー工学)  石野 栞

 照射効果は従来は原子力材料劣化の副次的要因程度に扱われてきたが、最近では照射効果が材料の振る舞いの主役と考えられる事例が多く見られるようになってきた。照射効果も従来の弾性的エネルギー付与に基づく照射損傷のみでなく、電子的エネルギー付与が関与すると考えられる事象も見出されている。このような最近の視点から、軽水炉燃料・燃料被覆材、圧力容器鋼、高速炉炉心材料、核融合炉材料、加速器中性子源用材料などの照射効果を見直してみたい。

 

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第23回 放射線科学研究会概要 聴講記

 

平成16年4月23日(金) 住友クラブ

1.マイナスイオンの発生と工学的応用(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 足立 元明

 マイナスイオンの工学的利用に関しては、ほとんど知られていない。本講演では、マイナスイオンの各種発生法と原理について概説し、次に、ナノテクノロジーや半導体成膜技術への応用について演者の研究を中心に発表する。また、演者らが最近成功したイオンを核としたナノ帯電液滴の合成法とナノ帯電液滴の利用についても触れる。

2.放射線によって誘発される遅延性の染色体異常(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 児玉 靖司

 放射線は急性の染色体異常だけでなく、遅延性の染色体異常も誘発することが明らかになってきた。なぜ被曝後長時間経過しているにもかかわらず、このような遅延性染色体異常が放射線によって誘起されるのかは、現在のところ十分には解明されていない。この現象は、放射線の生体影響を理解する上で極めて重要であるにも関わらず、これまで余り議論されてこなかった。本講演では、被曝した染色体がそれ自身不安定な性質を有し、被曝していない染色体とも相互作用してゲノム不安定化を亢進する可能性について紹介する。また、それを基に遅延性染色体異常が生じるメカニズムについて考察する。

3.培養細胞を用いた低線量・低線量率放射線のリスク評価(会員ページ )

財団法人産業創造研究所生物工学研究部 馬替 純二

 放射線の確率的影響は閾値を持たず線量に直線的に依存するとする直線無閾値理論は現行の放射線防護における基本的理論となっているが、高線量・高線量率における実験的・疫学的データに基づいた理論であり、低線量・低線量率における生物応答への適合性は不明確である。講演では低線量・低線量率放射線のリスク評価で問題となる主要な二つの課題である線量率効果と閾値について培養細胞を用いた実験的データに基づいて議論する。

 

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第22回 放射線科学研究会概要 聴講記

平成15年12月5日(金) 住友クラブ

1.今どきの画像診断 PET(会員ページ )

神戸先端医療センター 映像医療研究部  蓑田 英理

 がんは日本人の死亡原因第1位にあげられ、年間およそ25万人が亡くなっている。近年、がんの画像診断としてPET(Positron Emission Tomography)が注目されている。今まで研究的な要素が大きかったPETであるが、2002年4月より18FDG(18F-fluorodeoxyglucose)が保険適用になり、がん存在の有無、再発・転移などの全身検索等その有用性が注目されている。今回はPETの原理から実際の臨床症例画像まで幅広く紹介したい。

2.放射線照射による生分解性樹脂の改質の試み(会員ページ )

住友電工ファインポリマー株式会社 商品開発部 金澤 進一

 現代社会における石油合成樹脂の利用は、加熱廃棄に伴う地球温暖化や廃棄処理地の確保等、様々な環境問題を抱えている。生分解性樹脂はこれら問題の解決策として注目されてきた。本講演では、放射線照射技術を利用した生分解性樹脂の改質について行ってきた日本原子力研究所との共同研究より、澱粉およびポリ乳酸の放射線照射による架橋反応、その応用例としての熱収縮チューブや耐熱材料の開発について、最近の知見をご紹介する。

3.京都大学原子炉実験所の将来計画について(会員ページ )

京都大学原子炉実験所 教授 三島嘉一郎

 京都大学原子炉実験所では、平成14年度より始まった文部科学省提案公募事業「革新的原子力システム技術開発」の一環として、「FFAG(Fixed Field Alternating Gradient)加速器を用いた加速器駆動未臨界炉に関する技術開発」を開始し、これを足がかりに将来への新たな展開を図ろうとしている。講演では、この研究計画の概要を説明するとともに、原子炉実験所の現状と将来展望について述べる。

4.X線顕微鏡による生物科学・物質科学の発展をめざして(会員ページ )

関西医科大学 教授 木原

 X線顕微鏡は、10nm スケールで大気中のウェットな状態の試料を直接観察できる方法として注目されてきたが、特に光源・光学素子の発展により近年急速な進歩を遂げてきた。我々は、立命館大学SRセンターにビームラインを常置して観測にあたる傍ら、BESSY I, ESRF のビームライン等も利用してきた。研究成果が蓄積されるにつれて,X線顕微鏡の特徴を生かした研究の輪郭がだんだん見えてきた。生物科学では,細胞内物質輸送,染色体内部構造の研究など,物質科学では,高分子,脂質膜などの材料評価等々。特にミクロCT,動的研究などが今後の発展を期待されている。

 

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第21回 放射線科学研究会概要 聴講記

 

平成15年9月19日(金) 住友クラブ

さまざまな放射線が物質にもたらすエキゾティックな照射効果」

1.宇宙塵(ダスト)の計測と加速器(会員ページ )

京都大学大学院工学研究科  柴田裕実

  太陽系の起源を調べるためには、宇宙塵(ダスト粒子)がどのようなもので構成されているのか、また宇宙空間にどのように分布しているかということが重要な鍵となる。宇宙空間においてダスト粒子は高速運動しているため、模擬微粒子の超高速衝突実験によるシミュレーションが不可欠である。今回はヴァン・デ・グラーフ静電加速器を用いた微粒子加速とダスト計測器について紹介する。

2.クラスターイオンビームの非線形照射効果(会員ページ )

姫路工業大学高度産業科学技術研究所  山田 公

 数百から数千個のガス原子や分子の集合体からなるクラスターイオンを固体表面に照射すると、照射原子と基板原子の間におきる多体衝突が優勢になる。このため非線形照射効果が現れる。従来の単原子や分子イオンビーム照射では2体衝突プロセスが主である。本研究会では、超低エネルギー照射効果、ラテラルスパッタ効果、高反応効果などの特異な非線形照射素過程を計算機シミュレーションや実験結果で示す。またこれらの効果を利用する新しいイオンビームプロセスの応用開発を、現在進行中の2つの経済産業省・NEDOのプロジェクト、「クラスターイオンビームプロセステクノロジー」と「次世代量子ビーム利用ナノ加工プロセス技術開発」を例に紹介する。

3.細胞をシングルイオン照射したときに何が起こるか(会員ページ )

日本原子力研究所高崎研究所  小林泰彦

 重イオンマイクロビームで標的細胞の特定部位を照射することによって、直接の照射効果とバイスタンダー効果を明確に区別して解析でき、またイオンのトラック構造による局所的エネルギー付与分布の影響をダイレクトに解析することが可能となる。原研などで進行中のマイクロビーム細胞照射実験の現状を概説するとともに、イオン1個のヒットが細胞に引き起こす現象について最近の成果を紹介する。

4.SPring-8 における風変わりな研究(会員ページ )

兵庫県立先端科学技術支援センター  千川純一

 進歩は必然で、その筋道が定まっている。SPring−8も全体として進歩の大筋の上に乗っている。その中で、X線励起による材料改質(蛍光体の発光効率の向上)、低温核融合、永久寿命の自動車触媒、毛髪分析による健康診断など、風変わりな研究を紹介し、その位置づけを考える。