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UV_EB研究会リスト

放射線研究会リスト

放射線シンポジウムリスト

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第20回 放射線科学研究会概要

平成15年5月16日(金) 住友クラブ

1.放射線の産業利用-身の回りに見る放射線利用(会員ページ )
財団法人放射線利用振興協会高崎事業所 八木 国光

 放射線利用の経済規模は、約8兆6千億円と言われている。私達は何も感じずに放射線を利用した多く製品を利用し快適な生活をエンジョイしている。放射線は危険であると広く知られているが医療機関では何の危惧も無く使用されている。“放射線はいくら弱くても危険”とか“放射線が当たったものは危険“ などの概念をうち破るべく、工業・農業・医学分野など我々の身の回りで放射線がどのように利用されているか実例を報告する。

 

2.高自然放射線地域の疫学研究-裏方一年、調査のあれこれ(会員ページ )
財団法人体質研究会 中村 清一

 低線量放射線の生体影響について、ICRPはいわゆるLNT仮説を採用している。一方、これを見直すべきであるとの考えも示されているが、低線量放射線の健康影響に関する人でのデータは職業的なものあるいは事故例など、ごく限られたものである。体質研究会は、世界に散在する高自然放射線地域に注目し、ここに住む住民の健康調査を実施してきた。出生時から高レベルの自然放射線に曝されている住民を対象とした調査は、上記の問題に対して貴重な資料を提供するものである。研究の裏方を務めて一年、調査のあれこれを紹介する。

3.放射線リスクをどう理解すればよいのか?(会員ページ )

大分県立看護科学大学

甲斐 倫明

放射線リスクは、微量な放射線でも健康影響をもたらす可能性があることを意味しているために、ゼロリスクを志向しがちな公衆にとって放射線は恐れるに十分な対象となる。本当に、微量な放射線でも健康影響をもたらすのか。この疑問とリスクという概念が生まれてきたこととは深い関係がある。リスクをどのように理解し、少ない線量の放射線をどのように受け止めればよいのか、社会におけるリスクマネジメントと個人のリスク理解について考える。

 

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第19回 放射線科学研究会概要

平成14年12月13日(金) 住友クラブ

1.放射線適応応答研究から出てきた骨髄死回避の謎(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 米澤 司郎

   予め少量のX線を照射したマウスは一定期間後に高線量のX線を再照射したときの骨髄死が減ることを発見した。骨髄死は血球を造る造血組織が破壊されることにより生じると考えられている。高線量照射後の血球数の回復が事前照射で促進されていると考えて確認実験をおこなったが、回復はほとんど無かった。一方、造血幹細胞数は増えていた。骨髄死が回避される理由は何か?この謎は未だ解明されていない。

2.高自然放射線地域の放射線測定(会員ページ )

近畿大学原子力研究所  森嶋 彌重

   高自然放射線地域として、世界では、中国・広東省陽江地域、温泉堆積物によるイラン・ラムサールおよびブラジル・ガラパリ、インド・ケララ州などのモナザイトに由来する海砂地域などがあります。それらの地域では、K-40、Th-232、U-238、Ra-226などの含有量が多く存在し、それが原因で放射線レベルが変動します。調査に入った地域で、最高はイラン・ラムサールの大地放射線で73μGy/hありました。日本においても山梨・増富温泉近くの鉱泉湧き出し口付近で最高8μGy/hとスポット的に高い所もあり、自然放射性核種の挙動と分布が、大きく線量分布に影響します。世界各地の高自然放射線地域における放射線の被ばく評価を正確に実施することにより、放射線影響研究の一環を担っていますが、これらの概略を報告します。

3.電力中央研究所における低線量放射線研究への取り組み(会員ページ )

(財)電力中央研究所低線量放射線研究センター  酒井 一夫

   電力中央研究所では早くから低線量放射線生物影響に着目し、1988年以来国内外の研究機関の協力を得て研究を進めてきた。2000年10月には、より一層の研究の推進と研究成果の情報発信を目的として低線量放射線研究センターが設立された。同センターでは、独自の低線量率放射線長期照射設備を用いて低線量・低線量率放射線による発がんの抑制等の研究を進めている。本講演では同センターの研究および広報活動の一端を紹介する。

 

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第18回 放射線科学研究会概要

平成14年10月18日(金) 住友クラブ

1.小型X線源・手のひら/グローブサイズX線装置の開発(会員ページ )

非破壊検査株式会社 安全工学研究所

藪下 延樹

   我が国最大のユーザ集団である弊社のニーズを集約して、NDIC-X75 四台/NDIC-X120 一台を開発し現場で供用して約2年間、好評を得た。NDIC-X75と市販同等機との仕様比較:運転率2倍で限界値、本体重量約1/4 、本体嵩寸法約1/12、焦点寸法約1/3、エージング不要で限界値。NDIC-X75/120透過写真の識別度比較(鋼板9t):Ir線源比約3倍、Yb比約2倍良好、マイクロフォーカスX線比約1.25倍良好。今回の開発で、透過写真の像質向上には低エネルギーで強力な線源が最も効果的であることが明らかになった。

 

2.卓上型シンクロトロン“MIRRORCLE”の世界(会員ページ )

立命館大学理工学部

山田広成

   常電導シンクロトロン(軌道半径15cm、電子エネルギー20MeV)の開発に成功した。軌道長が短いために新しいビーム入射法を開発して成功した。高輝度X線を発生しているが、軌道内に設置した微少ターゲットから制動放射又はトランジション放射を発生して放射光並の高輝度を達成している。臨界波長は遠赤外線領域である。光蓄積リングレーザー原理に基づき、レーザー発振をさせようとしている。この2年、X線利用研究も進展した。このX線は、或る意味で放射光以上の特性と使い勝手を示している。

 

3.ニューヨーク・テロと放射線照射利用(会員ページ )

千代田テクノル開発企画部

永倉邦男

   昨年のニューヨークにおける貿易センタービルのテロ攻撃を契機として放射線照射の利用を一般市民に知ってもらう機会が有った。空港に置いては、手荷物の検査、航空貨物の包装内部検査に多くのX-線検査装置が急遽増設され、港湾における警備の不備が指摘された。また、手紙に同封された炭疽病の殺菌には放射線滅菌技術が応用され、食品照射として準備していた加速器が多数、それに転用された。テロの危険性も生物兵器の利用も以前より予測されていたが、放射線照射利用の普及を願っていた立場としては複雑な心境である。1年を経過したあの事件を振り返って見たい。

  

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第17回 放射線科学研究会概要

平成14年6月28日(金) 於サイエンスサテライト

1.放射線と光による育種法の開発(会員ページ )

静岡県農業試験場

牧野孝宏

 

放射線突然変異育種では、目的とする個体を効率よく選別することが極めて重要である。また、遺伝子の機能解析においても同様である。我々は、植物がストレスに対して放射するごく微弱な光(バイオフォトン)や近赤外線のスペクトルを解析することによって、非破壊で効率的な選別法を開発した。本法を育種の初期段階に適用すれば、大量個体の選抜が可能となり、育種効率の大幅な改善が期待される。

 

2.イオンビームの生物影響(会員ページ )

京都府立大学

井上雅好

 

ガンマ線やエックス線よりも線エネルギー付与(LET)が高く、収束性や深度制御に優れているイオンビームの生物影響が明らかにされつつある。植物材料を中心に、イオンビームのLET効果と損傷の修復ならびに交雑不親和性の打破や誘起突然変異の特徴について述べる。 また、イオンビーム照射により得られた新奇な突然変異の植物育種への利用ならびにイオンマイクロビームの生物機能分析への利用や細胞加工技術への展開についても述べる。

 

3.ラドン温泉の効用に関する研究(会員ページ )

岡山大学医学部

山岡聖典

 

  ラドン温泉は不老長寿の湯とも言われ,古今東西,多くの患者が治療に利用している。このラドン温泉が種々の所謂,活性酸素病に対して有効であることは概ね明らかになってきたが,その機構解明については未だ十分ではない。最近,低線量放射線の生体機能影響に関する動物実験やラドン療法に関する臨床試験から,その謎を解くヒントがみつかりはじめている。本講演では,東の三朝(鳥取県),西のバドガスタイン(オーストリア)におけるラドン療法の機構解明に関する最新の研究動向を中心に,その謎解きに迫りたい。

 

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第16回 放射線科学研究会概要

200111月9日()  於住友クラブ

1.生体分子を含むバイオ医用材料の放射線滅菌(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 古田雅一

   酵素や細胞組織などと人工材料を複合化したハイブリッド医用材料は、再生医療にとって大変重要な材料として注目されている。これらに不可欠な滅菌法として放射線滅菌の可能性を明らかにするために種々のタンパク質分解酵素及びムコ多糖類、ポリアミノ酸類などの生分解性材料とハイブリッド化した酵素の放射線抵抗性、また放射線滅菌の指標菌、Bacillus pumilusに対する滅菌効果について検討してきた。本講ではこれらの検討結果を含め、再生医療用材料の殺滅菌について論じる。

 

2.自由電子レーザーのライフサイエンスへの応用 新展開 (会員ページ )

大阪大学大学院工学研究科 粟津邦男

  光による生体作用は、レーザー工学のめざましい発展などによって従来にも増して基礎から臨床における幅広い医学分野に用いられつつある。特に、最近利用可能となった自由電子レーザー(FEL)は、その波長変性とピコ秒のパルス特性により、レーザーと対象になる生体組織との間にさまざまな効果を自由に制御できる可能性を持つ。そこで、本講演では自由電子レーザーを用いた工学と医学の接点としての生体作用とその医療応用の可能性について述べる。

 

3.核燃焼実験段階に入った核融合研究の最新動向(会員ページ )

電力中央研究所狛江研究所 岡野邦彦

   1980年代初頭に運転が始まった3つの大型実験機(JT-60・日本,JET・欧州,TFTR・米国)を中心に,核融合の研究は大きく進展し,そこで得られたデータベースに基いて熱出力50kWという本格的な核融合の連続燃焼をめざす実験炉「ITER」(International Tokamak Experimental Reactor)を国際協力で建設しようとする段階に達した。本講演では,核融合研究の現状と,日本に建設される可能性もあるITERとはどういう装置かを紹介する。

  

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第15回 放射線科学研究会概要

20017月27日()  於住友クラブ

1.ガンマ線による環境ホルモンの分解、無害化(会員ページ )

名古屋大学理工科学総合研究センター 吉田 朋子

   現在問題となっている内分泌撹乱物質(環境ホルモン)は、既に環境中に広く拡散しており、低濃度でも生体系に悪影響を与えるためその対策が急がれている。本講演では、γ線照射が水溶液中に存在する環境ホルモンの分解、無害化に有効であることを示すと共に、γ線−固体金属相互作用を利用してガンマ線を化学反応に見合ったエネルギーの光や電子に変換し、分解効率を向上させる試みについても詳しく説明する。

 

2.低線量放射線照射による植物生理機能刺激効果(会員ページ )

大阪大学大学院工学研究科原子力工学専攻 吉田 茂生

   今日放射線は、医療、工業、農業、環境保全等の幅広い分野において研究・開発が進められ、重要な技術として応用されています。また、放射線はどんな量であれ有害であるとするパラダイムに対し、低線量の放射線では、むしろ有益な効果を及ぼすといった放射線ホルミシス効果に関しても強い関心が寄せられています。今回、植物(カイワレダイコン)の乾燥種子に様々な放射線を照射し、その後の栽培による発芽・生育過程において、どのような影響(効果)を生じるかを観察・分析することから、非常におもしろい結果を得ることができましたので、ご紹介いたします。

 

3.低線量放射線連続照射による発がん抑制(会員ページ )

国立がんセンター研究所 田ノ岡 宏

   低線量の放射線をあらかじめマウスに与えておくと、放射線抵抗性ができ致死量の放射線でも死に難くなるという「米沢効果」が学界の注目を集めている。この理由は非常に奥が深く、生命の維持機構に関わるものと思われる。関連する現象として、ヒトのリンパ球で見られる適応応答、低線量で増強されるDNA損傷修復能、リンパ球でみた免疫反応の増強などがある。電力中央研究所では、いろいろな線量率のガンマ線を照射しつつマウスを長期間飼育できる新しい研究施設で研究を始めている。第一回実験では線量率の異なる3つの場所で、8週令の雌マウスを35日照射の後、メチルコラントレンを皮下注入した。発がんは3カ月目あたりから始まり、約直径1cmになった時にがんを切除し、Kapan−Meier法で蓄積発がん率を求めた。線量率の高い場と低い場のマウスは、非照射対照群との間に有意な差はなかったが、中程度の線量率(0.16Gy/week)の点において発がん率が有意の差(63%vs.86%92日間)で減少することが認められた。現在、新たにメチルコラントレンの量を変え観察を続けているが、ほぼ同様の結果を得ている。以上のことから、低線量率生涯照射によって化学剤による発がんが抑制されることが分かってきた。

 

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第14回 放射線科学 / 第17回 UV/EB 合同研究会 

    平成13年5月15日() 於 住友クラブ

1.パルスプラズマ脱臭装置とパルス電界殺菌装置について(会員ページ )

日新電機株式会社  加藤 茂

 

弊社では、環境保全や衛生殺菌分野の非熱プロセスのために、電子線照射装置に加えて、パルスプラズマ脱臭装置(プラズマデオ)とパルス電界殺菌装置(フレッシュパルス殺菌)を開発・製品化した。パルスプラズマ脱臭は、非平衡プラズマ生成ラジカル類による酸化分解を脱臭原理とし、特に低濃度複合臭気の高脱臭性能と低ランニングコストの特徴を有する。パルス電界殺菌は、高電界印加による微生物細胞膜破壊を殺菌原理とする非熱・物理的殺菌で、液体食品等の熱的品質劣化を低減できる。本講演では、これら新型装置について報告、説明する。

 

2.日本電子照射サービスの現状と展望(会員ページ )

日本電子照射サービス株式会社  桂 一郎

 

日本電子照射サービス()は日本照射サービス()のつくば電子照射センターと西日本照射サービス()関西電子照射センターの2施設を併せ31日に発足した。両施設とも世界で最大の実績をもつ米国RDI社のダイナミトロン加速器(5MeV 150kW)を使用し、照射製品の互換性をはかっている。製品は医療用具、医薬品容器、試験検査器具、バンソウコウ等の滅菌から半導体の照射まで多岐にわたっている。近い将来には香辛料を皮切りに、食品照射への展開や、輸入切花の検疫といった新分野が開拓されることが期待されている。今回は施設と照射製品の展望につきご紹介しようと考えている。

 

3.包装材料の環境対応状況と法律的背景(会員ページ )

()東洋紡績パッケージングプラン  井 坂 勤

 

略称容器包装リサイクル法は分別収集及び再商品化を促進する目的で施行され、省資源、廃棄物の減量など循環型経済社会の構築をはかるものである。再資源化のための分別収集を円滑に進めるため強制規格として識別表示が本年4月から施行され、任意規格として材質表示が求められる。  これらの要点を解説すると共に国内外における包装材料及び包装設計の最近の対応動向について、流通及び消費者志向も含めて紹介したい。

 

4.生薬の微生物汚染における規制の現状(会員ページ )

大阪薬科大学  木村 捷二郎

 

近年、O-157汚染給食による集団感染や黄色ブドウ球菌汚染乳製品による中毒事故、医療分野における院内感染や微生物汚染医薬品による事故などが多発している。特に、合成原料に比べると、生薬を含む天然物医薬品原料(例えば、生物学的製剤や抗生物質など)は微生物汚染が著しく、その法的規制と対策法の開発が急がれている。今春、日本薬局方が改正され、非無菌製剤の微生物限度基準値が収載される予定である。本講ではこれらの規制の内容と対策技術の一つとしての放射線法の適用と問題点についてお話ししたい。

 

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第13回 放射線科学研究会概要

200012月8日() NTT大阪内本町会館

1.エネルギー弁別を行う放射線イメージング装置(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所   谷口良一

   放射線を粒子として2次元計測すると、放射線の位置、数と言った情報以外に、放射線の種類、エネルギー等の情報も得られる。筆者らは、以前より、この2次元計測データをデジタル的に集積することで放射線画像を得る装置の開発を行ってきた。放射線の位置以外の情報も利用することで、放射線画像のS/Nが向上し、画質、感度が飛躍的に向上するとともに、エネルギー情報を利用することによって、試料の元素弁別、3次元計測等、これまでにない機能を放射線イメージング装置に導入することができるようになった。

 

2.古くて新しい放射線治療−血管への応用−(会員ページ )

三重大学医学部放射線科   加藤憲幸

   従来から放射線治療は悪性腫瘍に対する局所療法として重要な役割を担ってきた。近年、放射線治療が良性増殖性疾患に対しても有効であることが着目され、治療困難な血管形成術後の再狭窄に対して応用されるようになり、その有効性が認識されつつある。本講演では、血管形成術後の再狭窄に対する血管内放射線照射の基礎について解説し、この技術の開発・実施状況についての現状を述べる。

 

 3.東海村臨界事故での医療(会員ページ )

三菱神戸病院外科   衣笠達也

   平成11年9月30日に起こった東海村ウラン加工施設における臨界事故は、多くの原子力関係者のみならず医療関係者をも巻き込み、さらには国民にも大きな衝撃を与えた。事故のニュースは全世界に発信され、世界もまた強い関心を寄せた。講演では、臨界事故に対する医療の流れと3人の高線量被ばく患者に対する医療内容の概略、今回の医療を通じて明らかになった高線量被ばく患者の医学的課題を述べる。さらには、わが国における被ばく時緊急医療のシステム構築状況と今後の展望等に関しても言及する。

  

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第12回 放射線科学研究会概要

2000年10月20日(金) 於NTT大阪内本町会館

1.陽電子消滅法による金属疲労破壊の前駆現象の検知(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所   堀  史説

  材料の疲労による亀裂の発生部位を予測するのは極めて困難である。つまり微小でも亀裂が実際に発生しなければ疲労破壊は検知のしようが無いというのが現状である。しかし疲労による亀裂発生以前の原子レベルでの結晶欠陥の挙動と亀裂発生の相関を解明することによりその予測は可能であると考えられる。本研究では特に原子空孔(原子の穴)に敏感な陽電子消滅法を用いた疲労中の微小欠陥検出を試みており、陽電子消滅法による疲労破壊の予知の可能性などについて述べる。

 

2.小型中性子源を用いたコンクリート構造物検査(会員ページ )

宇宙開発事業団安全信頼性管理部   宮本 宏

  中性子線の水素原子に対する大きな散乱・減速効果、鋼板を透過し易くコンクリートに散乱され易い性質、並びに中性子吸収による即発ガンマ線の放出等の特異な現象を利用し主にコンクリート構造物に対する非破壊検査技術の研究を行った。こでは、小型で運搬管理が比較的容易な3.7MBq以下の252Cf(カリフォルニウム)中性子線源を用い高架橋、トンネル等の社会資本への適用を考えた。

 

3.放射線を利用した植物研究(会員ページ )

東京大学大学院農学生命科学研究科   中西 友子

   生きている植物が示す情報を試料が生きている状態で取り出すことは可能だろうか。いわゆる「死んだものの科学」ではなく、「生きたものの科学」を調べるためには、どのような手法があるのだろうか。生きている植物がどのように情報伝達を行っているかを調べるためには、植物を生きたまま解析できる非破壊手法を開発する必要がある。そこで、植物体中の水に着目し、中性子線を用いて植物試料中の水のイメージングを行ったので紹介する。またポジトロン放出核種を利用したリアルタイムでの水分動態についても紹介したい。

  

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第11回 放射線科学研究会概要

2000年7月14日 於NTT大阪内本町会館

1.放射線利用技術の普及・移転─放射線利用技術、原子力基盤技術データベース(会員ページ )

放射線利用振興協会   鈴木伸武

   科学技術庁が、明日の地場産業の振興に放射線利用技術を役立てるために、平成7年度から実施している「放射線利用技術移転事業」について紹介する。この事業は、工業、農業、医学の分野を中心に、データベースの整備・提供、セミナー開催、技術指導の3つの活動をとおして、地域の研究者・技術者等に放射線利用技術について理解してもらうとともに、これらの技術の普及・移転を支援している。この制度の活用とこれまでの活動状況・成果等について紹介する。

 

2.低線量放射線影響よもやま話(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所   米沢司郎

 放射線はどんなにわずかでも健康に有害か?マウスにトリチウム水を飲ませて発がんを調べる実験で、ある濃度以下では発がんが観察されないという結果が、大阪ニュークリアサイエンス協会の昨年の講演会で紹介されました(広島国際大学山本修先生)。低線量放射線影響のその他の事例についてお話しします。
Radiation, Science, & Health Inc.
は世界中の情報を集めてデータベースを作成しているので、これについてもご紹介します。

 

3.輸血用血液製剤の放射線照射の必要性-輸血後GVHDの病態と予防策

株式会社千代田テクノル   石井俊一

  輸血後GVHD(移植片対宿主病:Graft Versus Host Disease)は、わが国が世界に先駆けて貴重な報告をおこなった疾患である。1996年4月12日、厚生省は輸血後GVHDに関する緊急安全情報を発表した。輸血後GVHD発症後の対策については、有効な治療法が確立していないことから、現在唯一の方法としては、発病を未然に防ぐ予防対策しかなく、その最も確実な方法が輸血用血液に対する放射線(X線・γ線)照射である。又、日本輸血学会からは平成8年12月に、(輸血によるGVHD予防のための血液に対する放射線照射ガイドラインV)(現在は、ガイドラインWが発刊されている)で放射線照射量をきめている。これらの内容についての詳細を当日述べる。