第6回放射線利用総合シンポジウム概要
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平成9年1月29日 於 大阪府教育会館
“たかつガーデン”
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1.暮らしに役立つ放射線装置の産業利用と放射線装置の進歩(会員ページ )
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日新ハイボルテージ 水澤 健一
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放射線は、その放射線の性質に従っていろんな形で暮しに役立ち、溶け込んでいる。放射線を発生する装置が材料の付加価値を上げるために、産業用として初めて利用されたのが電子線発生装置である。
電子線発生装置は、電線・発泡ポリエチレン•自動車タイヤ•食肉包装フィルム等ブラスチィクスの改質、フロッピーディスク•離形紙等塗布剤の硬化、医療器具の滅菌や殺菌、ボイラーの排煙の淨化と多岐にわたって利用され、装置自体も利用分野に応じた対応をとってきた。
近年、イオンビームについてもLSIの製造用として半導体産業に数多く用いられている以外に、分析用や医療用としての用途も広がってきており、これらの用途についても装置自体の対応がなされている。
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2.機能している脳の生化学イメージング(会員ページ )
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大阪バイオサイエンス研究所 渡辺 恭良
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PETを用いて、脳の活動部位や、様々な神経伝達系のニューロトランスミッ夕一やその受容体の様態を計測することが可能になった。精神神経疾患でも、病状の把握や治療効果に関し、PETによる研究成果が有用な情報を提供している。
一方、分子生物学的研究の進展により受容体の多くのサブタイプが実体をともなって明らかになり、それぞれに特異的に作用する化合物もみいだされ、一部はPET用に標識されたものもある。しかし、PET用ポジトロン標識{匕合物の開発とその評価は不十分で、多数の基礎研究がである。
本講演では、PETによるニューロ卜ランスミッ夕一や受容体の計測の現況をレビュ一し、我々の科学技術振興事業団•国際共同研究プロジェク卜を中心に、新規ポジ卜ロン標識化合物のデザイン・開発・評価の実際について触れ、PETの有利な部分を生かすため、マルチ卜レーサーPET研究や他の技術との複合的研究の進展を紹介する。
さらに、PETによる疾患、のニューロ卜ランスミッタ一•受容体の研究の先進例について概説し、最終的に我々が目的とする患者自身の病態の個性を捉え、個々の病状の治療に反映させるためデータべ一ス作りを含め研究の道筋を述べる。
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3.イオンビーム技術の現状と将来展望(会員ページ )
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株式会社イオン工学研究所 高木 俊宜
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極低エネルギー(約100eV以下)による蒸着、結晶成長、多層膜形成:低エネルギ一(数十eV〜数keV)によるエッチング、ミ一リングなど微細加工技術:低•高•超高エネルギ一(数百eV〜数MeV)によるイオンビームモデフィケーシヨン(半導体pn層制御、無機•有機の表面物性制御、ミキシング)など、殆ど熱攪乱エネルギーに相当するO.OleV程度から数MeVまで、電流はp Aからアンペア級まで、ビーム径は1μm径のようなFIBから60〜80cmの大口径まで利用範囲は多彩である。
原子状、分子状、クラスターのイオン、多価イオン、負イオンなど各種イオンが利用され、イオン種は無機から有機まで多種多様である。基板の形状も固体(無機、有機)、粒状物質、粉末、さらには複雑形状面の裏表の同時処理技術など、最近のイオンビーム技術の進展は目覚ましい。
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4.若狭湾エネルギー研究センター構想(会員ページ )
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若狭湾エネルギー研究センター 垣花 秀武
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若狭湾エネルギー研究センターは、1994年9月1日国の許可を得て発足した「地域型研究機関」である
若狭湾地域の特性を十分に活かし、人間の存在自体(精神も物質も)を豊かに安全にするような研究開発、また地元の福祉、学術、産業へ貢献するとともに、地域並びに国内外の人々の多様な交流の拠点を形成することを目指している。なお、施設の建設、整備については、福井県が1998年を目標に敦賀市長谷地区で進めており、完成後は当財団が運営に当たる。
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5.食中毒菌の放射線による殺菌(会員ページ )
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日本原子力研究所高崎研究所 伊藤 均
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わが国の食中毒はここ数年、従来の腸炎ビブリ才菌が中心だったのに対し、サルモネラ菌や病原大腸菌による食中毒が急増している。これらの食中毒は海外で多発しており、今後とも新手の食中毒の多発が予想される。
病原大腸菌はO-157以外にも多種類が知られており、放射線による殺菌線量は一般の非病原大腸菌と大差がない。
大腸菌の殺菌線量はサルモネラ菌など多くの食中毒菌より少なく、鶏肉などでは1kGyでも十分に殺菌され、10℃以下の低温貯蔵と組み合わせれば6曰以上にわたり増殖が抑制される。腸炎ビブリオ菌などは大腸菌より少ない線量で殺菌できる。細菌性の食中毒に対し、カビ毒による中毒は殺菌剤と同様に急性ではないが発ガン性のあるものがある。力ビ毒は放射線に対し著しく安定であるが、力ビ毒を産生する糸状菌は乾燥食品の腐敗菌であり1〜5kGyで殺菌でき、20℃以下の貯蔵と組み合わせれば0. 2〜0. 5kGyでも糸状菌の発生を抑制できる。
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6.ここまで来た日本の宇宙開発(会員ページ )
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宇宙開発事業団筑波宇宙センター 菊山 紀彦
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平成8月17日、種子島宇宙センタ一からH —Uロケッ卜4号機で打ち上げられた地球観測衛星「みどり」は搭載した8種類のセンサーで宇宙から地球の砂漠、熱帯雨林、オゾン層などを観測し、地球環境の保全に役立てる。
また昨年1月、スペースシャトルに搭乗した若田光一宇宙飛行士は、一昨年3月にH—Uロケット3号機で打ち上げられた人工衛星『SFU』を回収した。
このような精緻なランデブー&ドッキングの技術は21世紀初頭の完成をめざす国際宇宙ステ一シヨンの建造にも活かされ、ここでも若田宇宙飛行士は重要な役割を果たすと期待されている。
宇宙ステ一シヨンに日本が提供する実験室『JEM』の製作が進むのと並行して、筑波宇宙センターでは宇宙ステーシヨンで活動する宇宙飛行士を訓練する施設や、宇宙ステ一シヨンを地上から管制•運用する施設が完成し、運用がはじまつている。
昨年2月には超高速再突入実験機『HYFLEX』の実験が行なわれ、引き続いてオース卜ラリアで行なわれた自動着陸実験機『ALFLEX』の実験も順調に終了し、地上と宇宙を往復する無人の再使用型宇宙往還機『HOPE』の開発も着々と進んでいる。
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7.わが国におけるエネルギー事情と原子力(会員ページ )
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大阪大学工学部 宮崎 慶次
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最近のアジアの石油消費増大や中東情勢の現実を認識しつつ、資源小国の我が国は、適度な経済成長、資源とエネルギー源確保、地球規模の環境問題の調和を図らねばならない。エネルギーのベストミックスの観点を踏まえて、化石燃料、太陽などの自然エネルギー、核融合を含めた原子力などの将来性について考える。
原子力発電の安全確保は異常や事故を防止する予防保全と万一の事故を想定して影響緩和を図る深層防護が基本である。日本の既存炉は、「世界がこれから新設する炉に対する国際的な目標」を既に越す高い水準にある。一方、他のエネルギ一源にも相当のリスクやマイナス要因があることを冷静に考えるべきである。
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