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放射線シンポジウムリスト

 

73 UVEB研究会概要 (聴講記)

2019年1122日 於 非破壊検査本社ビル

1.小型電子加速器の開発(会員ページ)

金属技研株式会社 技術本部 加速器応用部 吉田昌弘

 金属技研では、ろう付けや拡散接合など異材接合技術をベースとし、研究機関や大学に向けた加速器・核融合関連機器に関するエンジニアリング事業を行っている。2016年からは、褐子発生技術研究所と技術提携し、マイクロトロンを用いた小型電子線照射装置の実用化開発を開始した。本講演では、金属技研のエンジニアリング事業および小型電子加速器開発について紹介する

 

2.低エネルギー電子線による卵殻の殺菌技術と内部線量の評価(会員ページ)

東京都立産業技術研究センター 環境技術グループ 片岡憲昭

 低エネルギー電子線は加速電圧を調整することで任意の厚さを殺菌・処理することが可能であり、近年では食品の表面殺菌の手法として利用されつつある。日本では、食品の製造工程又は加工工程において、その製造工程又は加工工程の管理のために照射する場合であって、食品の吸収線量が0.10グレイ以下であれば照射は認められる。本講演では卵殻に電子線が十分照射され、可食部の線量が0.10Gy以下となるような照射条件や処理工程を紹介する。

3.次世代リソグラフィのための材料開発
― sub-10nm幅を目指す高分子ブロック共重合体リソグラフィ材料の開発 ―
(会員ページ)

東京工業大学 物質理工学院材料系 早川晃鏡

 次世代半導体リソグラフィ技術開発を目指した高分子薄膜における微細加工研究の一環として、ブロック共重合体リソグラフィについて概要から先端研究までを述べる。本分野は高分子ブロック共重合体薄膜におけるナノドメインの配向・形態制御、また選択的分解が鍵を握っている。分子構造設計の指針から精密合成、薄膜における特異な自己組織化挙動を踏まえながら紹介する。。


4電子ビーム照射による金属ナノ粒子を含有した微細パターンの直接形成(会員ページ)

量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所 山本洋揮

 EUVリソグラフィの実現により半導体産業における電離放射線の利用拡大が現実的なものになった。電離放射線へのシフトに伴って、革新的な材料・プロセスの研究・開発が求められている。本講演では、還元剤を使用することなく、金属イオンを含有したポリマー薄膜に電子ビーム照射後、加熱するだけで金属ナノ粒子を含有した微細パターンの直接形成、および放射線化学的な観点から反応機構を研究することで得られた知見を紹介する。

 

72 UVEB研究会概要(聴講記)

2019年927日 於 サンエイビル

1.超小型・低加速電子線照射装置(会員ページ)

ウシオ電機株式会社 技術統括本部 パワー・システム部 小池一宇

 電子線は樹脂の硬化反応、架橋、容器の滅菌、排ガス処理など多くの工業用用途で利用されている。超小型・ 低加速の電子線源Min-EB は真空チャンバーや排気システムを必要としない画期的な電子線源である。 本講演では、Min-EB および超小型・低加速電子線照射装置について、特徴や利用例などを中心に紹介する。

 

2.文化財の修復材料開発への電子線照射利用(会員ページ)

国立文化財機構 東京文化財研究所 佐野千絵

 文化財修理においては虫損や焼失部分を現代の修理材料で補強するが、物性がオリジナル材料と大きく異な ると、温湿度変化に伴い修理材料がオリジナル材料を引っ張り、修理後に文化財を傷める要因となることもある。かつての修理では、古裂をあてて修理されてきたが、現在では電子線照射で修理材料を劣化促進し強度を合わせる技術が採用されている。本講演では、文化財修理の現状と合わせて紹介する。

3.銅ドープ酸化物ガラスにおけるラジオフォトルミネッセンス挙動(会員ページ)

京都工藝繊維大学 工芸科学研究科 材料創製化学専攻 角野広平

 ラジオフォトルミネッセンス現象(RPL)を利用したドシメータ材料としては、Ag 活性リン酸塩ガラスが実用化されている。一方、当研究室では、銅を少量(0.005 mol%程度)ドープした酸化物ガラスにおいても良好なRPL を見出した。銅ドープガラスにおけるRPL の基本的なメカニズムとしては、放射線照射によって、ガラス中のCu2+イオンが発光性のCu+イオンへ変化することによるものと考えられる。ここでは、銅ドープ酸化物ガラスにおけるRPL 現象の特徴と今後の研究課題等について紹介する。


 

4植物と放射線(会員ページ)

量子科学技術研究開発機構 量子ビーム科学部門 関西光科学研究所 田中 淳

 生命の誕生から、植物は紫外線と深い関係を持っている。植物にはヒトにはない、紫外線に耐えるメカニズムを備えている。その上、放射線にも強く、なぜそのような機能を持っているのか、興味深い。 一方で、いかに放射線に強い植物でもDNA 損傷を起こし、突然変異を起こす。これを利用して、様々な 品種改良も進められている。今回の講演では、これらの研究で得られた知見をトピックス的にお話しし たい。

 

71 UVEB研究会概要(聴講記)

2019621日 於 住友クラブ

1.柔軟性に優れる多官能アクリレート〜ポリグリセリンアクリレートモノマー〜(会員ページ)

阪本薬品工業株式会社 研究所 栗山重平

  光硬化性樹脂の1つであるアクリレートは、硬化に熱を必要とせず、短時間で硬化できることに加え、無溶剤化が可能であることから、省エネルギーで環境負荷が少ない材料である。当社では、グリセリンの重縮合物であるポリグリセリンを主骨格に用いた多官能アクリレートを開発している。柔軟なポリグリセリン骨格により、硬化物は硬化速度が早い、柔軟性が高い、硬化収縮が低いなど多くの特徴を有する。本講演では、ポリグリセリンアクリレートモノマーについて、その基礎物性と応用例を紹介する。

 

2.深紫外線LED光を用いた作物ウイルス病害の抑制技術の開発(会員ページ)

広島県立総合技術研究所 農業技術センター 生産環境研究部 松浦昌平

  トマト苗に波長280〜290nmの深紫外線LED光を1日あたり0.7〜1.4kJ/m2で照射することで,トマトモザイクウイルス病(ToMV)の発病を,少ないUV障害で抑制できる技術を開発した。さらに,より実用的な育苗施設で作業者のいない夜間に低照射量(1日あたり0.3〜0.4J/m2)でトマト苗に照射することで,同様の効果が得られることを解明した。

3.ブルーテクノロジーとしての電子加速器の産業利用(会員ページ)

()ebeam Technologies(Japan) Tan Phong Phan

  イービーム技術は既に長年にわたり使用されており、架橋結合や滅菌などの応用で知られている。近年開発された完全密封式電子加速器は、数年前には不可能だと思われたシステム設計において小型化を可能にした。イービームは、エネルギー効率が非常に高く、環境への負担が小さいため、今後ますます厳しくなる環境規制への対応に最適な技術である。


4.イオン液体中での電子の反応およびセルロース複合材料への電子線照射効果(会員ページ)

金沢大学 理工研究域 高橋憲司

  イオン液体とは、陽イオンと負イオンから構成される有機塩である。食塩は、無機塩であり、その融点は800℃近傍であるが、イオン液体の多くは100℃以下で液体である。液体であることは化学反応プロセス上とても重要である。最近は、量子ビームをイオン液体の研究に用いる研究例が急激に増えてきた。 例えば、イオン液体は真空下でも揮発しないという特徴を生かして,X線や電子ビーム照射によるファブリケーションやスパッタリングによる微粒子生成などへの応用が展開されており,荷電粒子とイオン液体との相互作用が関与する応用分野がたくさん出現してきた。

 

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