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UV_EB研究会リスト

放射線研究会リスト

放射線シンポジウムリスト

データベース目次

 

 

 

 

 

H08年(第11年) 度耐放射線データベース研究会   

 

T はじめに

 

U 調査概要

 

V  平成08年度 耐放射線性機器・材料デ一タベース研究委員会委員名簿

W調査結果(H08)

1.原子力発電・燃料再処理関係材料に関するもの

1.1イオン照射損傷における電子励起効果(会員ページ )

姫路工業大学工学部 寺澤倫孝

 金属に高エネルギー粒子を照射すると結晶格子点から原子の弾き出しが起こり、格子欠陥(格子間原子と空格子点)が生成される。
  また、生成された格子間原子の一部は、照射粒子から伝達されたエネルギ一により空格子点と再結合し消滅する。この現象はアニーリングと呼ばれる。
  金属における弾き出しや照射アニーリングは専ら照射粒子との核的弾性衝突によって起こされ、そこでは照射イオンによる電子励起は無視できると考えられてきた。
  これは、一般に電子励起課程で格子原子へエネルギーおよ運動量を与え、直接弾き出しを起こすことは少なく、特に金属では自由電子間の緩和が極めて早く起こるからである。
  最近、電子励程が原子の弾き出しおよび照射損傷に顕著な効果を示ことが判かってきた。
  本講演では、電子励起による照射アニーリング、格子欠陥の生成、酸化物超伝体の欠陥生成およびスパッ夕リングにおける電子励起効果について紹介された。

1.2原子炉構造材料の放射線に関わる劣化と損傷--特に、炉内における複合環効果--(会員ページ )

日本原子力研究所東海研究所 塚田 隆

 軽水炉を初めとする各種原子炉に用いられる構造材料(主にステンレス鋼及び低合金鋼)は中性子及びガンマ線に曝されるため、一般の工業ブラントとは異なる劣化・損傷を生じる。
  現実に軽水炉で発生した問題の多くは材料の損傷に起因する。
  ここでは、原研における原子炉材材料研究、特に講演者が^行っている炉内放射線・高温水の複合環境下での材料損傷研究を中心に関連する研究課題と状況について紹介された。
 

1.3高エネルギー粒子による材料の照射損傷構造の研究 (会員ページ )

京都大学原子炉実験所 義家敏正

 高工ネルギ一粒子を材料に照射すると、材料中に欠陥が導入され、その物性に変化を引き起こす。
  それらの構造及び物性の研究は、原子炉材料等の耐照射材料の開発、あるいは照射効果を積極的に利用して新しい性質をもつ材料の閧発を目的として長年行なわれている。
  本講演では主に照射による欠陥構造についての最近の研究を紹介された。

2.宇宙環境関係材料に関するもの

2.1宇宙用太陽電池の構造と放射線(陽子・電子)照射効果(会員ページ )

宇宙開発筑波宇宙センター 久松 正

 単結晶シリコン太陽電池は信頼性カ高く、低価格であり、宇宙用太陽電池として衛星への搭載実績が最も大きい。
  このためさらに変換効率・耐放射線性の改善、軽量化、大面積化が検討されている。
  ETS-Yの不具合をきっかけとして、高線量領域(lMeV電子線:1Xl017e/cm2付近)でセルの特異な劣化現象が認められた。
  劣化したセルの特性解析及び劣化メ力ニズムの解析が行なわれているが、生成された多くの照射欠陥が少数キャリアトラップ、多数キャリアトラップとして働くことが確認された。

2.2半導体デバイスの耐放射線性試験-GaAs素子のガンマ線照射効果--(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 藤野隆弘

 宇宙開発あるいは原子力関連施設における半導体の耐放射線性はきわめて重要な問題である。
  市販の素子中で最も放射線の耐性が高いと思われるGaAs系の素子に関するガンマ線照射効果の実測データから105〜106Gyの被ばく量まで使用可能であることを示した。
  また、さらに高い耐放射線性を得るための理論及び試作素子の結果について、実例を示し107Gyの耐性の可能性を示した。

2.3重粒子イオンとBeam Blankings SEMとのSEUの比較(会員ページ )

宇宙開発事業団筑波宇宙センター 阿久津亮夫

 NASDA認定部品の64kbitSRAMについて、走査形電子顕微鏡によるBeam Blanking (BBSEM)を用いてソフトエラーを測定し、その場所を特定した。BBSEMと重粒子イオンによる試験結果から、ビーム電流および重粒子イオンビームの線エネルギー付与(LET)とシングルイベン卜(SEU)の発生断面積との関係をそれぞれ求めて比較した。
  その結果、BBSEM電流と重粒子イオンのLETとの間に比例関係があることが分かった。
  本講演ではBeam Blanking SEM装置、SEUが起こっている顕微鏡写真等も紹介された。
  この成果は平成8年夏のNSRECにて発表された。

2.4ここまで来た曰本の宇宙開発(会員ページ )

宇宙開発事業団筑波宇宙センター 菊山紀彦

 8月17日、種子島宇宙センターからH-Uロケット4号機で打ち上げられた地球観測衛星「みどり」は搭載した8種類のセンサーで宇宙から地球の砂漠、熱帯雨林、オゾン層などを観測し、地球環境の保全に役立てる。
  また、昨年1月、スペースシャトルに搭乗した若田光一宇宙飛行士は、月にH-Uロケット3号機で打ち上げられた人工衛星『SFU』を回収した。
  このような精緻なランデブー&ドッキングの技術は21世紀初頭の完成をめざす国際宇宙ステーションの建造にも活かされ、ここでも若田宇宙飛行士は觀な役割を果たすと期待されている。
  宇宙ステーシヨンに日本が提供する実験室『JEM』の製作が進むのと並行して、筑波宇宙センターでは宇宙ステーションで活動する宇宙飛行士を訓練する施設や、宇宙ステーションを地上から管制・運用する施設が完成し、運用がはじまっている。
  昨年2月には超高速再突入実験機『HYFLEX』の実験が行なわれ、引き続いてオーストラリアで行なわれた自動着陸実験機『ALFLEX』の実験も順調に終了し、地上と宇宙を往復する無人の再使用型宇宙往復機『HOPE』の開発も着々と進んでいる。
(第6回『放射線利用総合シンポジウムJと合同関催)

3.材料の電子線照射効果・線量分布に関するもの

3.1超高圧電子顕微鏡による電子線照射効果の研究(会員ページ )

大阪大学超高圧電子顕微鏡センター 森 博太郎

 阪大の3 MV電子顕微鏡は試料の透過能力が大きく、lOOkVのものに比べ十数倍厚い試料の観察が可能であり、電子の波長が短いので分解能が向上する。
  また試料構成原子の弾き出しとその観察が同時にできる利点がある。
  その上、試料への単位時間・面積当たりの電子線照射量が桁違に大きい。
  これを利用して高速電子と物質との相互作用を観察しながら調査し、材質改善や微細加工の研究へと拡大可能である。
  この講演では次のような研究成果の一部が紹介された。
  @LSI材料への応用として、複合化された多層構造試料の透過観察、構造解析、シリコン基板と夕ングステン配線とのコンタクト部分の断面観察、シリコン基板へのタングステン食込量の評価、LSIのアルミ配線が通電で断線や内部にボイドが発生する様子(エレクトロマイグレーション)の観察
  A電子照射効果を用いた非平衡相の生成条件に関する研究
  B金属・半導体・セラミックス・高分子など新素材の研究
  C異種原子の固体内注入

3.2電子線深度線量分布の簡易アルゴリズム-電子線治療計画のために-(会員ページ )

大阪府立大学 多幡達夫

電子線の照射利用が増大してきている中で、中の吸収線量を正確に評価することが重要な課題になっている。
  かなり以前からモンテカルロ法、輸送方程式を用いる法、半実験式による方法が検討されてきている。
  半実験式法が最も実用的であるところから、加速電圧、加速管内電流、有効照射面積、コンベア速度等のパラメー夕から吸収線量を評価する計算式を開発し、実験値と比較しながら、物質中での電子線のエネルギー変化、後方散乱の寄与等を考慮して、多重層を照射した場合の深さ方向の吸収線量分布を評価できる計算式を完成させた。

3.3低エネルギー電子線吸収線量の理論的評価(会員ページ )

大阪府立大学 多幡達夫

低エネルギー電子線の照射利用が年々増大している中にあって、試料中の吸収線量の正確な評価法に対する要求も高まっている。
  低エネルギー電子の物質中での飛程が短いため、実測による線量評価には困難が伴う。
  そこでわれわれは、加速電圧、加速管内電流、有効照射面積、コンベア速度などのフィールド・パラメータから吸収線量を評価するための基礎となる、多層吸収体中における深度線量分布計算用の半経験的アルゴリズムを開発し、その改善を進めてきた。
  このアルゴリズムの基本的な考え方と改善の可能性については、先に解説を書いた。
  本稿では、その後、行った同アルゴリズムの精度向上と拡張に関する研究について述べる。
 また、最近他のグループによって進められている、多層吸収体における吸収線量計算の別の方法についても簡単に紹介する。

 

H07年(第10年) 度耐放射線データベース研究会   

 

T はじめに

 

U 調査概要

 

V  平成07年度 耐放射線性機器・材料デ一タベース研究委員会委員名簿

W調査結果(H07)

1.民生部品の耐放射線に関する評価(会員ページ )

宇宙開発事業団筑波宇宙センター 阿久津亮夫

 宇宙機において半導体デバイスは必要不可欠な存在である。 しかし、宇宙空間は放射線環境という特殊性をもち、容易に修理等が行なえない。
  従って、半導体デバイスには耐放射線性と高信頼性が求められる。
  このため、宇宙機で使用する殆どの部品は放射線対策を施した高信頼性の専用部品として開発してきた。
  従って、製造工程が増えるためコス卜が高くなる。近年、人工衛星等の開発においてコス卜の低減、軽量化、小型化が求められ、民生部品の利用要求が高まってきている。
  民生部品を人工衛星等で使用する場合に問題になる信頼性と耐放射線性のうち、耐放射線性について評価したので報告された。
 

2.γ線照射下における硝酸溶液中の金属材料の腐食挙動(会員ページ )

動力炉・核燃料開発事業団東海事業所 永井崇之

 使用済核燃料再処理プラン卜用装置材料の選定に当って、確酸環度下における装置材料の耐食性を評価する必要があり、再処理プラン卜環境特有の放射線による影響についても評価しなければならない。
  そこで、本研究では、放射線としてγ線に着目し、γ線照射下において硝酸溶液を用いた材料腐食試験を電気化学的手法により実施した。
  その結果、(1) 硝酸中のPt電位は低下する、(2) 硝酸が分解され、亜硝酸が生成する、亜硝酸中の金属イオンが還元される、(4)金属イオンを含む硝酸中のステンレス鋼の腐食が抑制される。
  これらの数年にわたる研究の成果を報告された。
 

3.高分子材料の劣化評価とモルホロジーの関与(会員ページ )

京都大学大学院工学研究科 西本清一

 高分子北学におけるモルホロジーは、高分子の凝集形態の顕微鏡観察による結晶や他の高次構造の研究分野として発展した。
  「モルホロジーは高分子材料の物性を支配する」との命題から「モルホロジーを変化させて高分子材料物性を制御する」アイデアが生れた。
  高分子加工プロセスは1次物性を形成させ、その後2次プロセスを加えれば、2次物性が新たに発現するので、高分子固体材料は改質される。
  多様なモルホロジーを形成するポリプロピレン固体の放射線劣化挙動に関する研を紹介し、放射線が化学的構造変化と物理的構造変化を誘起して材料物性を変化させる過程、およびその様相が、照射前に形成していた1次モルホロジーの影響によって、著しく異なることについて説明された。
 

4.ニュクリアマイクロプローブによる分析技術の開発(会員ページ )

大阪大学基礎工学部 高井幹夫

 半導体の超大規模集積回路化に伴い、従来、生物医学試料・環境学・考古学試料・冶金学試料に用いられていたマイクロプローブ技術を超高密、度化・超高速化の半導体デバイスの開発プロセスに導入し、次世代デバイスの開発を促進させるための、新しい3次元非破壊分析技術を開発し、非破壊分析診断を可能にして、16メガビッ卜メモリー素子の開発指針の一つを明らかにした。
 

5.陽電子消滅法からみた鉄一銅合金の照射脆化の素過程(会員ページ )

大阪府立大学先端科学究所 堀 史説

 従来の原子炉圧力容器の照射脆化の研究は、そのほとんどが実験結果からの脆化予測のみで、脆化機構を解明するには至っていない。
  このような研究においては照射脆化の素過程と考えられる照射促進析出形成のメ力ニズムを解明することが重要である。
  ここでは照射により過剰に導入された原子空孔と銅原子との相互作用に着目し、原子空孔に敏感な陽電子を用いた実験結果について報告された。
 

6.原子力分野における放射線計測の動向(会員ページ )

日本原子力研究所東海研究所 八木秀之

 最近の原子力での放射線計測の動きを、ニュークリアサイエンスの研究の方向性とあわせて報告された。
  原子力・放射線をはじめとするニュークリアサイエンスの研究開発は、国家的にみても、民間レべルでも低調になりつつある感は否めず、長期的な見地からは憂慮される。
  科学技術庁におけるニュークリアサイエンスの研究の計画・指針を基本に過去10年を振り返りつつその変遷を説明された。
 

7.原子力分野における放射線計測の動向(その2)(会員ページ )

日本原子力研究所東海研究所 八木秀之

 今回は原子力委員会第4分科会(技術開発)報告書「新たな可能性を拓く原子力研究開発の多様な展開」について、放射線利用、核融合などにおける新しいビーム利用技術、発生技術、基礎研究、原子力施設における人工知能、ロボット、レーザー技術の開発等について行政の考え方、指示が具体的に説明された。
  現実には原子力関連のテーマは少なく、研究者の高齢化とともに、層が薄くなってくることが憂慮される。
 

8.検出器の放射線損傷(会員ページ )

大阪大学工学部 飯田敏行

 CCDカメラ素子にDT中性子(14MeV)を照射すると、完全遮光状態でも、大きなスポット状および棒状の画像雑音と非常に細かい斑点が観測される。
スポッ卜状および棒状のものはSiとの核反応によるα線、陽子線によるものと思われる。
細かい斑点は照射による損傷である。
これらにより核融合中性子環境でのSi半導体素子の問題点は、
(1) 中性子反応による偽信号、
(2) 特性劣化が蓄積する照射損傷
である。
このほか種々劣化特性について述べられた。
 

9.医療器具材料の耐放射線性(その2)(会員ページ )

日本原子力研究所高崎研究所 吉井文男

 ポリプロピレンは成形が容易で、安価・強靭で透明性に優れ、ディスポーザブル医療器具に多用されているが、放射線滅菌の際の照射中、照射後の保存中に酸化劣化により機械的強度が低下するなど、耐放射線性に問題があった。
  本研究では酸化劣化機構を明らかにし、ポリプロピレンの耐放射線性への原料ポリマー組成と添加剤の影響、成形条件および照射条件等、様々な因子と放射線劣化との関係などについて報告された。
 

10.UV硬化樹脂・技術の最近の動向(会員ページ )

日本化薬株式会社 化学品研究所 石井一彦

 紫外線を利用した硬化技術は、溶剤や熱を利用した硬化樹脂を使用するシステムに比べ、省エネ、省スペース、省時間等の利点を有する。
  最近は、光硬化樹脂、光重合開始剤、高出力紫外線ランプなどの進歩により、塗料・印刷・接着・電子工業を中心に多くの生活用品や工業製品の表面加工技術として発展がめざましい。
  光硬化技術は、環境保全・安全衛生・資源保護の面からも社会的に、その重要性が高まっている。
(『第5回放射線利用総合シンポジウム』と合同開催)

11.日本原子力研究所関西研究所構想ー光量子研究を中心にー(会員ページ )

日本原子力研究所関西研究所 中野正文

 日本原子力研究所関西研究所はSPring-8の開発利用研究のほか、光量子ビームの高品質化をめざしてX線レーザ等の新しい光源開発と、スーパーコンピュータを利用した光量子シュミレーション研究と計測データの高度解析技術の閧発など、光量子研究を総合的に展開する。
  本講演ではレーザ研究を中心に、関西研究所における光量子科学研究の進め方について紹介された。
(『第5回放射線利用総合シンポジウム』と合同開催)

12.医療用材料と放射線(会員ページ )

京都大学 生体医療工学研究センター 筏 義人

 人工臓器や手術用材料をはじめとして、現在、人工材料が広く用いられている。
  これらの生体用材料が通常の工業用材料と異なる最大の特長は、滅菌処理を必要とすることである。
  この滅菌法として、今後さらに重要であると考えられているのが放射線法であり、生体用材料は、もはや、放射線抜きでは考えられない。
  放射線滅菌では材料によって問題点を含むものもあり、例えば、人工関節の措動部に必ず使われている超高分子量ポリエチレンである。
  照射後に摩耗しやすくなる問題を含んでいる。
(『第5回放射線利用総合シンポジウム』と合同開催)

13.食品照射の現状と展望(会員ページ )

農林水産省 食品総合研究所 林  徹

 放射線による食品照射は、健康や環境に危害を加える化学薬剤による燻蒸の代替の殺菌・殺虫技術として注目されている。
  海外では既に35国で何らかの食品照射が許可されており、28国で実用化されている。
  しかし、食品照射はPA (Public Acceptance)に問題があり、かならずしも有効には利用されていいない。
  従来は、食品照射にはコバルト60のガンマ線が用いられていたが、今後、電子線による食品の処理が普及するものと思われる。
(『第5回放射線利用総合シンポジウム』と合同開催)

14.放射線に極めて強い細菌から学ぶこと(会員ページ )

日本原子力研究所高崎研究所 渡辺 宏

 放射線抵抗性細菌について次のような講演をされた。
(1)この細菌は、銀河宇宙線と同じ性質をもつイオンビームで照射しても、生じるDNA損傷を全て修復することができる。
普通の生物では修復できないのに、なぜ修復できるのだろうか?
(2)この細菌のDNA修復能は、地上より宇宙のほうが高い。
(3)この細菌の蛋白質と、耐熱性菌の蛋白質を比較すると、蛋白質化原因がわかる。
(『第5回放射線利用総合シンポジウム』と合同開催)

15.半導体デバイスへのシングルイオン照射効果(会員ページ )

早稲田大学理工学部 大泊 厳

 静電加速器から射出されるHあるいはHeイオンビームをミクロンオーダーにコリメイ卜し、そこからさらにイオンを1個づつ抽出して、半導体デバイス等の特定部位に照射できるシングルイオンマイクロプローブを(SIMP)を用いて、界面特性と照射イオン個数の相関も明らかになりつつある。
  市販の集束イオンビームシステムを改良し、0.1μm以下の極微小半導体領域にドーパン卜を1個づつ、任意の個数までイオン注入でき、Siデバイスの高集積化の限界の一因であった不純物個数ゆらぎを解消できる可能性がある。
(『第5回放射線利用総合シンポジウム』と合同開催)

16.顕微鏡で見た古代漆工技術(会員ページ )

京都造形芸術大学文化財科学研究所 岡田文男

 次のような項目の講演があつた。
1)漆塗膜のプレパラート作製法
2)漆塗膜の顕微鏡観察法
3)中国古代漆器の塗装技術
4)平安時代前期の漆器の塗装技術
5)中世漆器の塗装技術
6)蒔絵の塗装新面の観察
7)忘れられた塗装技法復元の試み(漆工技術の将来にむけて)
(『第5回放射線利用総合シンポジウム』と合同開催)

17.半導体デバイスの耐放射線性研究の現状と展望(会員ページ )

曰本原子力研究所高崎研究所 梨山 勇

 人工衛星用太陽電池で、陽子線と電子線による照射劣化の結果、発電能力が1/2以下になると突然発電しなくなる現象(突然死現象)が発見された。原因は今後の課題である。
  NASDAと協力して、メモリ素子、MPU、パワーMOSトランジスタのシングルイベント耐性評価を実施中である。
  今後は民生用半導体部品の耐性評価技術開発を行なう。
  炭化ケイ素は低原子番号で、バンドキャップが広く、良質なSi02膜が得られるので、耐放射線性・耐熱性の優れた素子の開発・製造に向け研究を進める

18.エルビウムドープファイバーとその応用----光増幅等----(会員ページ )

三菱電線工業株式会社 光電子工業 吉田 実

 希土類元素、特にエルビウムドープした石英系ファイバ(EDF)は通信波長である。
  1.55μm光励起により増幅できる小型低電力実用装置が開発され、通信・情報処理分野に変革をもたらしはじめている。
  人工衛星間通信用の増幅技術について述べられた。
  Ndドープ石英ファイバの照射特性およびこれを利用した多点同時測定出来る分布型放射線センサーが紹介された。