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S63年(第03年) 度耐放射線データベース研究会
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T はじめに
U 調査概要
V
昭和63年度 耐放射線性機器・材料デ一タベース研究委員会委員名簿
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W調査結果(S63)
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1.光ファイバの耐放射線性試験について
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1.1光ファイバの中性子照射試験(会員ページ )
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大阪大学工学部 飯田敏行
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近年、高純度石英をコアに用いる高性能光ファイバの開発が急速に進んでいる。 この種の光ファイバは耐放射線性にも優れ、原子力関係の放射線環境でも積極的に使用され始めている。
それに伴って、光ファイバが放射線にどのように応答するか、つまり、放射線による伝送損失の増加量と放射線束との関係を明らかにすることが重要課題の1つとなっている。
これまでにも多くの研究者によって、様々な光ファイパの放射線照射実験が行なわれてきたが、伝送損失増加の原因である着色中心や構造欠陥に多くの種類が考えられ、また、その生成・回復のメカニズムが複雑な為、光ファイバの放射線応答を定量的に取扱った例は非常に少ないようである。
ここでは、放射線照射によって光ファイバ中に誘導される光吸収欠陥をいくつか仮定し、その密度変化(生成と回復の差で決まる)から、光ファイバの放射線応答について若干の考察を行なっている。
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1.2光ファイバの耐放射線性試験性(会員ページ )
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日本原子力研究所東海研究所 角田恒巳
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最近の計算機技術の導入や画像伝送などに見られるように、情報需要は多彩に増大し、量、質ともに、より高品位の情報伝送が要求されている。
光ファイバは、素材の持つ細径・軽量性に加え、絶縁性、電磁気障害雑音の無誘導性、信号伝送における広帯域・低損失性、さらに耐環境性など数々の特長を有するもので、これらの多彩な要求に答え得る最も理想的な情報伝送媒体の一つであると言われており、通信分野ばかりでなく、各種ブラント計装の分野での利用も急速に高まり、原子力の分野においても積極的にこれを利用してゆこうという機運にある。
光ファイバの持つ特長や利点を十分に活用すれば、原子炉をはじめとする各種の原子力ブラントに於ける計装システム全体の信頼性や性能を現在以上に向上することが出来、さらにコストの低減化が図れるものと期待され、その適用方法や利用形態などの研究開発が盛んに行なわれ、実用化もかなり進められている状況にあり、そのための環境試験なども進められている。
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1.3イメージファイバの耐放射線性 -VADによって合成された純石英ガラス-(会員ページ )
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古河電気工業(株)光技術研究所 飯野 顕 光・通信事業部 熊谷康一
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光ファイパは耐放射線環境下で十分使用可能であることが明かになっており、そのシステムが原子力施設内に漸次導入されている。
光ファイパの耐放射線性は、材料の組成、製造条件、ファイパの構造、放射線の種類、照射条件等によって異なることが知られている。
石英系材料の中で最も優れた耐放射線性を示すものは、石英ガラスであるが、従来VAD法によって得られたものについては十分調べられていなかった。
今回、VAD法で数種の石英ガラスを製作して耐放射線性を調べたところ、他の製法で得られた純石英ガラスより優れた特性を有するものが得られたので報告する。
さらに、VAD法で得られた純石英ガラスを用いてイメ一ジファイバを作製し、その耐放射線性も評価した。
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1.4光ファイバの熱中性子照射効果(会員ページ )
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武蔵工業大学工学部 高田達雄
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原子炉熱中性子を光ファイバに照射したとき生ずる伝送損失に関する研究は、その必要性にもかかわらず進展していない。
なぜならば、実験用熱中性子照射場が多く設置されてないからである。
武蔵工業大学原子炉に医療用の熱中性子照射場が設けられており、この照射場の熱中性子束密度は最大1x109 (n/m2 ・sec)であり、γ(ガンマ)線照射線量率0. 5(Gy/h)と低く押さえられている。
この放射場を利用することによって熱中性子照射の実験が可能となった。
光ファイバの伝送損失はα線、β線、γ線、X線および中性子線等の放射線に影響を受けることが予想される。
特に伝送損失特性に関するコバル卜60γ線照射による研究は数多くある。 しかし、実際の原子力施設においてはγ線のほかに熱中性子も照射されているから、熱中性子照射による光ファイバ伝送損失の研究が望まれている。
また、熱中性子は原子と核反応をおこし、誘導放射線(α線、β線、およびγ線)を放射して光ファイバの伝送損失に大きな影響を及ぼすと考えられる。
これらの誘導放射線が伝送損失にどのように影響しているかをも実験的に研究されなければならない。このように実用面からも、工学面からも本研究は重要な問題である。
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2.半導体の耐放射線性試験について
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2.1MOS構造におけるγ線照射効果のゲート電極依存性(会員ページ )
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宮崎沖電気(株)音居文雄 沖電気工業(株)福永浩之・武藤弘之
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宇宙空間や原子炉において使用されているシステムの開発に伴い、強い放射線環境下においても高性能でかつ高信頼性のVLSIの開発が強く望まれている。 MOSトランジスタの放射線損傷には、しきい値のシフトやチャネル移動度の低下を生じさせるトータルド一ズ効果と、ラッチアップなどの破壊現象を起こすトランジェント効果があり、トランジスタ作成条件との関係が研究されている。
一方、VLSIの高機能化、高速化においてプロセス面で注目されるものとしてゲー卜電極に高融点金属およびそのシリサイドを使用した技術がある。
デバイスの高速化には低抵抗配線が重要であり、ゲート電極として従来のボリシリコンに比べて大幅に抵抗の低い高融点金属およびシリサイドを適用することは非常に有効である。
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2.2第15回半導体の格子欠陥国際会議 (ブダペスト、198年)報告
-陽霜子消滅寿命測定から見た半導体の格子欠陥を中心として-
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大阪大学基礎工学部 大嶋隆一郎
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筆者は1988年8月22日から 2 6日までハンガリーのブダペストで開催された表記の会議に出席し、近年行っているD-T中性子照射シリンの照射欠陥の陽電子消滅寿命測定の研究結果を報告した。
本稿ではその際に得た知見のうち、特に陽電子消滅法、メスバウア一分光、PA C等の核物性的手法による研究について報告する。
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2.3InPデバイスの耐放射線特性とそのメ力ニズム(会員ページ )
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NTT光エレクトロニクス研究所 安東孝止
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V-V族化合物半導体InPをベースにした光素子(太陽電池、LED〉の優れた、耐放射線特性を紹介すると共に、その物理的メカニズムを照射欠陥の電気的、構造的特性より解明した結果について報告する。 主な項目は
(l)InP太陽電池、LEDの高エネルギー電子線、及びガンマ線照射による劣化特性
(2)照射劣化の熱的、電気的、anneal効果、及び素子動作条件での"Se1f- Recovery 効果"
(3)照射欠陥準位(H4-正孔トラップ〉のキャリアー注入アニール効果
(4)欠陥構造、及び楕造遷移の考察(DLTS, ODMR実験)
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2.4耐放射線性半導休デバイス(会員ページ )
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(株)東芝半導体技術研究所 波多野 裕
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人工衛星或は原子力発電ブラントにおいて使用されるエレクトロニクスシステムの複雑化に伴って高性能で、且、過酷な放射線環境下で使用に耐えるVLSIの実現が強く望まれている。
CMOSデバイスはMOSの高集積性という特徴の上に、高ノイズマージン、低消費電力、及び高速性という特徴を備えており、VLSI回路の設計に最適である。
しかし、強い放射線の環境下では、従来のMOSトランジスタは放射線の電離作用により、酸化膜中での正電荷の蓄積や界面準位の生成に起因する、閾値電圧のシフト或はチャネル移動度の低下が生じる。
これらの素子パラメ一夕変化や放射線により誘起されたリーク電流はMO S回路の特性を劣化させ、誤動作の原因となる。
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2.5化合物半導体材料・デバイスの耐放射線性(会員ページ )
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住友電気工業(株)オプトエレクトロニクス研究所 林 秀樹
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GaAsやInP等の化合物半導体材料・デバイスの耐放射線性についてまとめた資料である。 まず2.で、Siと比較したときのGaAsの耐放射線性について述べた後、3.では、LED、PINフォトダイオード等の発光デバイス、受光デバイスの耐放射線性について述べている。
そして4.では、GaAs FETの耐放射線性について考察し、耐放射線性の大きいデバイス構造についての提案を行っている。
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3.有機材料の耐放射線性試験について
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3.1高分子の力学特性に及ぼすイオン照射効果(会員ページ )
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日本原子力研究所高崎研究所 貴家恒男
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ポリマーのイオン照射効果の研究はイオン注入による表面物性の改質に重きがおかれて行われているが、最近になってイオンがポリマー中を完全に通過するエネルギー領域での照射効果の研究が行われるようになってきた。
Foti等はシリコンウェハー上に単分散ポリスチレンをスピンコーテイングし、400keV Ar+ (LET; 860 eV/nm),200 keV Ne+ (450 eV/nm),100 keV He+ (210 eV/nm)の照射による分子量分布の変化から、架橋/主鎖切断の比に及ぼすLET依存性を検討したが、明確なLET効果が認められなかったことを報告している。
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3.2ガンマ線照射ポリエチレンの酸化劣化と残留電圧(会員ページ )
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名城大学 山中三四郎・福田 正
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原子力発電所内に使用される各種ケ一ブル、特に、安全防護系に使用されケーブルには常時放射線にされており、長年月の間には徐々に絶縁部分の劣化が進行する。
また、冷却材喪失事故時には、このような厳しい条件下でも、高い信頼性が要求される。
そのため、絶縁材料の放射線劣化を合理的に評価することが必要である。
絶縁材料の放射線劣化としては各種材料物性の中で電気物性よりも機械的特性の変化の方が先行するといわれており、伸びの変化を判定の基準に用いることが多い。
また機械的特性や電気絶縁特性と深い関連がある酸化の程度を劣化の目安と考え放射線・熱複合劣化を赤外吸収法による力ルボル基の吸収係数の変化から検討した例もある。
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3.3人工衛星用熱制御材料の耐宇宙環境性(会員ページ )
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NTT電子応用研究所 市野敏弘
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高度通信網の中で衛星通信は欠くことのできない重要な役割を果たしている。 そこでは、通信衛星を過酷な宇宙環境で長期間正常に動作させることが大きな技術課題となっている。
衛星内部を機器の動作温度範囲に維持し、衛星を宇宙空間の急激な温度変化からまもる熱制御技術はその一つである。
この技術の中で、各種ペイント、太陽光反射素子、断熱材等が使われている。 これら材料は宇宙空間に直接さらされ、最も厳しい条件で機能を発揮しなければならない。
本報告ではNTTの開発品(ポリエーテルイミド太陽光反射素子、無機白色ペイント)を中心に、熱制御材料の耐宇宙環境性について、とくに耐放射線性およびその評価法を述べる。
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3.4原子状酸素による有機材料の劣化(会員ページ )
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三菱電機(株)生産技術研究所 西川貴生・園田克己
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スペースシャトル以前には、宇宙機と言えば静止衛星(高度約36,000km )で代表されるような高軌道のものがほとんどであったが、スペースシャトルの成功以後、宇宙基地や無人宇宙実験機(SFU:スペース・フリーフライヤ一oユニット〉等の低地球軌道(高度約200〜700km)宇宙機の問発が盛んになってきた。
特に宇宙基地に関しては、初めての大型・長期利用(約3 0年)の宇宙機として、アメリカo曰本・ヨーロッパ・カナダで共同開発o共同利用することが決まり、いよいよ本格的な宇宙利用時代が到来したものと考えられている。
一方、スペースシャトルの飛行も回を重ねるうちに、酸素原子による表面材料の劣化やゴミとの衝突による機体の破損等、低地球軌道宇宙機の長期運行を行っていく上で障害となる重大な問題がいろいろと出てきた。
中でも、酸素原子による宇宙機表面材料の劣化は、材料の熱的・光学的および機械的特性を変えてしまうため、宇宙機の正常な動作に大きな支障をきたすので、その対策が急がれている。
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4.衛星用耐環境性デバイスについて
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4.1各種衛星及びその宇宙環境の特徴
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4.1a技術試験衛星X型(きく5号)(会員ページ )
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郵政省通信総合研究所 近藤喜美夫
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技術試験衛星V型(ETS-V〉は昭和62年8月27曰宇宙開発事業団(NASDA)により種子島宇宙センタからH- I ロケット3段式初号機により打ち上げられ、きく 5号と命名された。
昭和62年10月よりCRL及びENR Iはわが国初の本格的な移動体通信実験を開始し、また郵政省のもとでNTT、 KDDも実験に参加した。
これら実験は現在主に短波帯に依存している洋上の小型船舶や航空機の通信・管制及び航行援助と、さらに最近関心が高まってきた陸上移動体に対する衛星通信を行うための各種基盤技術を確立することを目的とている。
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4.1b放送衛星「ゆり」(会員ページ )
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NHK大阪放送局技術部 益子 豊
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衛星放送システムの概要
放送衛星「ゆり」は当初テレビの難視聴解消を主目的として赤道上36,000kmの静止軌道上に昭和5 9年1月にBS -2aが、ついで、昭和61年2月にBS - 2bが打ち上げられた。
これら衛星よりの電波は上空より届くので、一つの電波で一挙に全国をカバーでき、テレビの難視聴を解消できるだけでなく、電波を途中で遮るものがないので、ゴース卜のない綺麗な映像が得られ、また、ハイビジョン放送、PCM放送など新しい放送ができる特徴がある。
本稿では放送衛星が打ち上げ時、静止時にうける様々な環境条件、衛星本体の機能及び宇宙環境に起因する電源等の劣化の問題、姿勢制御、軌道制御等について概説する。
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4.1c「おおぞら」と「ひまわり」で観測した宇宙環境放射線(会員ページ )
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理化学研究所 河野 毅
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放射線帯下部における放射線強度の分布については、多くの人がそれぞれの研究分野から興味を持ってきた。
磁気圏物理学者は無論のこと、観測の雑音源として関心を持つX線天文学の研究者や、降下粒子による高層大気への影響、さらに搭載機器や生物にとっての宇宙における放射線環境といった、実用的な立場からの興味もある。
今後は、従来の科学観測という立場に加え、宇宙空間環境を構成する、最も基本的なパラメータとしての放射線強度の把握という点で重要な意味を持ってくると思われる。
将来、ますます人類の宇宙活動が広がって行くことを考えると、このような「宇宙の気象観測」が不可欠となろう。
ロケットや衛星による粒子観測は歴史が長く、多くのデータがあるはずだが一般的な分布について出版されたものは意外と少ない。その理由は、上述のように多くの異なった分野の研究者がそれぞれの立場からデータを見ていることにもよるが、粒子強度の分布が複雑で多くのパラメータに依存していることによる。
ここでいうパラメ一夕とはエネルギー・スペクトル、高度、地磁気活動度、地方時、太陽活動度、短期・長期の時間変動、ピッチ角分布、等などである。
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4.2人工衛星の追跡と管制(会員ページ )
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富士通(株)山家 優
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わが国の実用衛星開発の幕開けは、初の静止衛星「技術試験衛星U型(きく2号)の打ち上げ成功(昭和52年)にあるといえる。
その後静止気象衛星(ひまわり)、通信衛星(さくら)、放送衛星(ゆり)のそれぞれのシリーズ衛星が打ち上げられ、これらの衛星は日常生活になくてはならない存在になっている。
これらの衛星を、打ち上げてから楕円軌道を経て静止軌道へ導くことや、軌道上での衛星状態を監視する役目を担っているのが、地上の追跡管制システムであり、その中心は大型コンピュータによるデータ処理にある。
当社はこの追跡管制システムを宇宙開発事業団に対し、きく2号の時代から一貫して関発し、支援してきた。
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4.3宇宙天気予報(会員ページ )
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郵政省 通信総合研究所 富田二三
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人類が宇宙にスブートニクを投入してから30年が経過し、探検や探査で始まった宇宙・開発もいよいよ実用化・商業化の時代へと入りつつあります。
そして、21世紀初頭には産業化を中心とする大規模な宇宙活動の時代へと進み、今日では想像もつかないほど多くの人々が宇宙での活動に従事することになるでしょう。
このように人が宇宙で生活するような時代には、地上の天気予報が日常生活に欠かすことができないのと同じように、宇宙で生活する人々にとって「宇宙天気予報」が必要になります。 郵政省通信総合研究所では有人宇宙活動が盛んになる西暦2000年頃までに宇宙天気予報が出せるようになることをめざして、「宇宙天気予報シスチムJの本格的な研究を開始しました。
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4.4半導体デバィス
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4.4a半導体デバィスに対する宇宙放射線環境の影響(会員ページ )
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曰本電気(株)半導体事業グループ 関戸健嗣
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近年、人工衛星等の宇宙航行システムに搭載する電子システム機能・性能の高度化にともない、メモリ、マイクロプロセッサ、各種論理LSI、高精度アナログIC等の高機能の半導体デバイスの宇宙航行システムへの搭載が必要になりつつある。
しかし、半導体デバイスは一般に放射線により、
A)ハ一ド・ダメージ(卜一タル・ドーズ=総吸収線量による漸次劣化)
B)ソフト・エラ一(シングル・イベント・アップセッ卜:入射粒子によるディジタル情報の反転、ラッチ・アップ)
などの影響を受け、機能・性能上の障害を起こすので、宇宙航行システムが航行する宇宙放射線環境においても正常な電子システム機能を保持するための対策が必要である。
その主要な課題の一つとして「耐放射線半導体デバイスの開発」が問題とされてきている。
本講では、半導体デバイスが放射線によりどのような影響を受けるかの概要とその物理的機構、対放射線強化技術対策、耐放射線半導体デバイスの現状、等を述べる。
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4.4b宇宙における放射線環境と衛星搭載用IC(会員ページ )
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東京電機大学工学部 橋本弘蔵
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宇宙(主として地球磁気圏)における放射線環境およびそこを飛翔する科学衛星に搭載されるICについて述べる。
特に、筆者がプラズマ波動関係の観測機器で関係しているニつの衛星(EXOS-DおよびGEOTAIL)について放射線環境下においてどのような配慮がなされてきたかについて述べる。 EXOS-D衛星はオーロラとそれに関連した現象の究明が主的で、放射線帯を通過するために大きな問題であった。
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5.原子力関連
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5.1原子力デ一夕べ--スに関する最近の状況(会員ページ )
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日本原子力研究所東海研究所 菊池康之
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最近の計算機の進歩にともない、科学的情報の交換はデータベースを介して行われる事が要求されるようになってきた。
しかし、我が国における研究成果がデータベースとして整備され、広く流通しているケースはまだ少なく、ことデータに関しては、日本は輸入超過の後進国であり、既に"デ一夕ただ乗り"の国際非難を受け始めている。
この現状に鑑み、科学技術庁技術振興課は、1986年度の原子力平和利用研究委託費により、(財)未来工学研究所に、"原子力開発利用に係わるデ一夕ベースの整備に関する調査研究"を委託した。
同研究所では、学識経験者よりなる研究委員会を設置して検討を行った。ここでは、その結果を中心に報告する。
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5.2原子力発電所の電気計装機器の信頼性実証試験(会員ページ )
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埼玉工業大学 関ロ 晃
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原子力発電所で使用されている安全上重要な電気機器、計装機器について、使用期間中、および冷却材喪失事故を想定した場合のごとき過酷な条件下での信頼性の実証試験が原子力工学試験センターにおいて昭和56年より実施されてきた。
選定された試験機器としては、すでに公的機関等で実証試験の行われたものを除き、中性子測定装置(SRM/IRM)プリアンプ、中性子測定装置(SRM/IRM)モー夕・モジュール、加圧器ヒー夕端子・ケ一ブル、格納容器内高レンジ・エリアモニタ、計装ラック(圧力伝送器、差圧伝送器)であり、これらの実証試験はほぼ終了している。
本報告ではその試験指針と試験施設、各試験体の試験結果につき概説する。
結果としては、各試験体の要求特性は想定放射線量(最高2X1O8 R)に対し満たされているので、余り問題はなく、むしろエージング試験の実施方法につき参考になれば幸いである。
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5.3曰本原子力研究所(高崎研)における耐放射線性研究の概要(会員ページ )
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日本原子力研究所高崎研究所 川上和市郎
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I.研究テーマ
1.原子炉用電線の経年変化に関する研究
2.有機極限材料の研究
1)有機複合材料の照射効果の研究
2)高分子材料のイオン照射効果の研究
3.半導体素子及び機能材料の耐放射線性に関する研究
1)半導体素子等の照射効果に関する研究
2)機能材料の照射効果に関する研究
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5.4絶縁材料エキスパ一卜システム 調査専門委員会(電気学会)の活動(会員ページ )
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豊橋技術科学大学 小崎正光
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21世紀を迎えるハイテク、高度情報化社会の根底を支える電気エネルギーの安定かつ信頼性高い供給体制は、電気絶縁技術の裏付け無くしては実現され得ない。
従来、我が国の絶縁材料・技術に関する理学・工学面からの研究・開発の成果は極めて高度な水準に達し、世界的にも高い評価を得てきた。
しかしながら、最近、技術革新の動向に関連してこの分野の専門家が手薄になる傾向も否めない。
既に到達した水準を保ちかつ着実な技術の進歩を可能にするためには新しい戦略を展開する必要に迫られている。
近年、知識工学は急速な展開を見せており、大容量メモリ一に蓄えた豊富なデータベースを駆使して、各分野の専門家の有する知識、経験を基にした推論プロセスをコンピュータに実行させる、いわゆるエキスパ一卜システムが、医学、工学の領域で活発に利用されようとしている。
既に、膨大なデータの集積と有能なる専門家に恵まれた絶縁材料・技術の分野におけるデータベースの構築やエキスパー卜システムの導入が、絶縁材料の選択、絶縁設計、絶縁診断などの技術に対して画期的なインパクトを与えることが期待される。
とくに、これから一層の高信頼性を要求される電力機器において、絶縁システムの保守管理はその重要性を強調し過ぎることはない
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S62年(第02年) 度耐放射線データベース研究会
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T はじめに
今日における原子力技術は成熟期を迎え、原子力発電ブラントは種々の経験を蓄積し高稼働率運転の技術を掌中に収め、その技術開発の方向を軽水炉の高度化へと向けている。
また、ダウンストリーム関連では、国家的ブロジヱクトとして、第2再処理工場、高・低レベル廃棄物処理ブラントの建設スケジュールが迫っており、さらに高速増殖炉や核融合といった大型原子力施設の開発も控え、これらに向けての技術開発のテンポが速まっている。
一方、電子技術、光技術、新材料など先端基盤技術の進歩はめざましいものがあり、あらゆる技術分野へ展開が図られ、原子力分野においても種々の放射線m境下において、これらの技術の応用が強く求められている。
また、放射線m境下でのこれらの技術の応用は、人工衛星の製造•打ち上げという宇宙開発に関連した技術分野、さらには各種の放射線利用機器を必要とする医療関連分野など、広範な技術分野における要求とも相通ずるものがある。
このような背景のもとに、各種機器・材料について、耐放射線性に優れたものの抽出のための試験研究や、その向上のための研究開発が、種々の機関で勢力的に進められており、その成果はかなりの量にのぼっているものと思われる。
しかし、その体系的な集積と整理は十分になされておらず、それぞれの分野、機関などで個別的に取上げられているにすぎず、これらの情報を一元的に集約し有効的な活用をはかること、即ちデータベースの構築が望まれている。
また、米国のデータベース(DIALOG社)のうち103E Energy,109Nulear Science
Abstracts,108Aerospace Database, 266FDR Research in Progress,2820NTAP
Aerospace等は日本から使用することはできない。
そこで、大阪ニュークリアサイエンス協会では、これらの技術分野に関係する諸機関の連携をはかり、今後一層この方面で増大するニーズや、より高度化する研究開発に対処するため、昭和61年度より専門家からなる委員会を設置し、耐放射線性に優れた機器・材料に関するデータベースの構築を目的に活動を始めた。初年度は対象分野を、有機系材料、光ファイバ、半導体デバイス、化合物半導体など4つの基盤要素技術を主体とし、試験研究の現状調査等を行った。
本年度は、現状調査の継続とともに集録すべきデータの項目と属性に関するフォーマット概要、内外の研究開発の実績及びデータベース化の動向について検討した。
本調査報告書は、大阪大学工学部教授住田健ニ博士をはじめとする学識経験者からなる委員会の活動をまとめたものであり、下記9社の支援を受けた。ここに関係各位に対し深く感謝の意を表する。
関西電力株式会社
住友電気工業株式会社
三菱重工業株式会社
三菱電機株式会社
株式会社日立製作所
株式会社東芝
日本原子力発電株式会社
富士電機株式会社
三菱電線工業株式会社
昭和63年3月
社団法人大阪ニュ一クリアサイエンス協会
会長 阪本勇
U 調査概要
耐放射線性機器・材料データベース構築のための調査として、本年度は、国外、とくに、米国における有機材料、原子力用機器の耐放射線性試験研究及びデータバンクに関する調査を行った。また、半導体デバイスの耐放射線性試験研究に関しては、米国において関催された国際会議内容及び、今後軽量化が重要な問題となる宇宙開発関連機器の研究に関する調査を行った。
データベース用入出力フォーマッ卜に関しては、プロトタイプ、バソコンレベルのものを作成し、若干のテストランを行った。
有機材料に関する耐放射線性試験データは、米国サンディア国立研究所を始めとして、オークリッジ、パシフィックノ
一スウエスト国立研究所等から、それぞれSAND—、ORNL—、PNL— レポートとして多数公刊されている。
米国電力研究所では、原子力発電所用機器部品・材料について、納品時、機器に添付されている試験デ一夕の収集を行い、データバンクとして蓄積し、それらを有効に活用していることがわかった。
電子部品についても放射線耐性保証に関する試験研究デ一夕の収集、評価が行われており、その成果は、MIL-Standards、AST住友電気工業鰹纐桂ニM-Standardsとなった。
この成果内容は、1985年末までに公表されたものであり、その後の2年間(1987年末現在まで)の進展状況についての調査は次年度以降に行う。
国内の試験研究に関する調査では、光ファイバと半導体素子を対象とした。
前者については、大阪府立放射線中央研究所をはじめとして、他の研究機関、企業において精力的に試験研究が進展していることがわかった。また、材料の開発も急速に進み、現在そのデータの収集、整理、及びその活用が今後の開発に重要であることが明確となった。
後者については、極限作業ロボット用部品・材料としても市販品を使用し、放射線照射下における使用限界等を明確にするとともに、今後の開発のための基礎データの収集が行われている。さらに、世界的には放射線損傷の機構解明のための研究が精力的に行われており、I EEE会議においてその傾向が明確に認められる。
したがってデータ収集も、部品・材料の選択のためからさらに前進して、損傷機構解明に有益なデータの整理方法を見出すことも重要と思われる。
宇宙開発関連研究においては、化合物半導体の開発及び拭験が中心である。これは今後の研究動向の指標ともなる。
人工衛星、宇宙ステーションの開発も急速に進展することも予想でき、電気電子回路以外に構造材料に関する試験データも要求されてくる。また、光通信に関する部品•材料についても、今後ますます試験研究が進展するとともに、データの蓄模、評価、利用が重要となる。
今回の宇宙開発関連研究の調査により、これらの問題点を明確に浮き上がらせることができた。
電気学会、耐放射線誘電•絶緣材料調査専門委員会は、データベース構築に到るまでのデータシートの作成を行っている。
入出力系の内容は、本研究委員会のものとはかなり異なっているが、最終目標はほぼ同一であり、協力閲係の確立が望まれる。現状では、公的な協力、共同体制の確立は不可能であるが、委員間相互の協力関係、委員の重複参加は可能であり、これらを通して本データベースの構築を推進することが確認された。
データベース用入出力フォーマットについては、有機材料、光ファイハ'、半導体素子、化合物半導体の4分野での小委員会で詳細な検討が進められた。
有機材料、光ファイバ分野では、同一の入出力フォーマッ卜を用い、可能なかぎり、図表から数値の読み取りを行い、重要なデータは過不足なく記述することとなった。
半導体素子分野では、試験対象は、製品の場合がほとんどであり、部品•材料の選択のためにデータベースを利用する可能性が大きい。これに対応することを旨として、入出力フォーマットを国政した。
化合物半導体分野では、半導体素子分野の場合とは逆に、開発途上とみることができ、半製品状態での試験データが多い。そこで、データベースとしても、文献内容の全体を見る必要性の高いことに対応して、文献内容が掌握できるような形式を検討した。
その結果、入出力フォーマットをこの趣旨に従って作成すると、前2者とは異った形式のものとなった。
半導体デバイスの製造方法は日進月歩であり、今後も集積度の高い構造のものに進展するものと思われる。サイズが小さく構造が複雑になるほど、試験データの解析には、製造方法の知見が必要となってくる。
そこで将来のデバイス製造技術の一つとなる可能性の高いクラスタイオンビーム法による原子•分子の蒸着と結晶成县に関する調査を実施した。
無機材料、有機材料の両者に適用できる優れた技術であり、その生成機構は試験方法の開発、拭験データの解析に大いに役立つものと思われる。
(順不同)
所 属 氏 名
委員長 大阪大学工学部 住田健ニ
幹事 通商産業省 資源エネルギー庁原子力産業課 大宮正
幹事 通商産業省 機械情報産業局情報処理システム開発課 小紫正榭
幹事 大阪通商産業局商工部 川口義史
幹事 京都大学原子炉実験所 山岡仁史
幹事 京都大学工学部 田丸啓吉
幹事 姫路工業大学理学部 寺澤倫孝
幹事 日本原子力研究所大阪支所 中瀬吉昭
幹事 日本原子力研究所東海研究所 角田恒巳
幹事 動力炉•核燃料開発事業団東海事業所 藤田雄ニ
幹事 大阪府立放射線中央研究所 児子進
幹事 大阪府立放射線中央研究所 平岡英一
幹事 関西電力褐エ子力建設部 田尻義昭
幹事 住友電気工業褐、究開発本部 松原健夫
幹事 住友電気工業 上野桂ニ
幹事 鞄月ナ関西支社電力部 濱勝海
幹事 鞄月ナ原子力技術研究所 亀井久
幹事 鞄立製作所ヱネルギ-研究所 土井彰
幹事 三菱重工業高砂研究所 中村哲男
幹事 三菱電機叶カ産技術研究所 佐藤文彦
幹事 潟iサック 山田修作
幹事 富士電機鞄d力事業部 中野秀男
幹事 日本原子力発電葛Z術開発部 林喬雄
幹事 三菱電線工業鞄d子通信研究部 新谷健
委員 大阪府立放射線中央研究所 北川通治
委員 大阪府立放射線中央研究所 佐藤祐ニ
委員 大阪府立放射線中央研究所 庄野吉彦
委員 大阪府立放射線中央研究所 山上允之
委員 大阪府北河内府民センター 上原利夫
委員 宇宙科学研究所 愼野文命
委員 関西電力褐エ子力設計部 水本敏夫
委員 住友電気工業褐、究開発本部 乾稔史
委員 住友電気工業鞄d力事業部 大島祐之助
委員 住友電気工業渇。浜研究所 渡辺稔
委員 住友重機械工業叶V居浜製造所 田沢修一
委員 住友ベークライ卜鞄崎工場 中川凱天
委員 三菱重工業叶_戸造船所 中村豊和
委員 三菱電機叶カ産技術研究所 園田克巳
委員 木村化工機褐エ子力本部 宮本佳紀
委員 三菱電線工業鰹報通信事業部 田中紘幸
委員 原子燃料工業褐F取製造所 佐藤務
委員 叶_戸製鋼所機械研究所 小松博康
委員 三洋電機葛Z術本部 黒木和彦
委員 潟Vャ-プIC事業本部 若本節信
委員 タッタ電線褐、究開発本部 竹谷千加士
委員 ダイキン工業褐、究所 藤原正典
委員 大和紡績株d磨研究所 野町宗士郎
委員 日新ハイボルテ-ジ葛Z術部 坂本勇
委員 日本原子力発電椛獄ア部 小島信行
委員 日立造船褐エ子力事業部 城吉昭
委員 藤倉電線褐エ子力技術部 八橋元治
委員 ポニ—原子工業梶@中田孝良
委員 松下電器産業樺央研究所 藤原義博
委員 鰹シ村石油研究所研究部 中西博
委員 ヨシザワL D 伊藤厚
事務局 大阪ニュークリアサイエンス協会(ONSA) 古田純一郎
昭和62年度 耐放射線性機器•材料データベース研究委員会小委員会委員名簿
(順不同)
所 属 氏 名
(化合物半導体)
小委員長 大阪府立放射線中央研究所 庄野吉彦
委員 大阪府立放射線中央研究所 北川通治
委員 名古屋工業大学電気工学 中嶋堅志郎
委員 大阪大学工学部 白藤純嗣
委員 住友電気工業褐、究開発本部 多田紘一
委員 住友電気工業褐、究開発本部 白川 二
委員 三菱電機LSI研究所 津上真理
(光ファイバ)
小委員長 曰本原子力研究所東海研究所 角田恒巳
委員 住友電気工業渇。浜研究所 渡辺 稔
委員 大阪大学工学部 飯田敏行
委員 三菱電線工業鰹報通信事業部 田中紘幸
委員 動力炉•核燃料開発事業団東海事業所 藤田雄一
委員 大阪府立放射線中央研究所 山本孝夫
(半導体素子)
小委員長 三菱重工業轄mサ研究所 中村哲男
委員 動力炉•核燃料開発事業団東海事業所 藤田雄—•
委員 鞄月ナ原子力技術研究所 田井—•郎
委員 鞄立製作所ヱネルギ-研究所 坂上正治
委員 住友電気工業褐、究開発本部 村上一仁
委員 三菱電機叶カ産技術研究所 園田克巳
(有機材料)
小委員長 京都大学原子炉実験所 山岡仁史
委員 日本原子力研究所大阪支所 中瀬吉昭
委員 住友電気工業鞄d力事業部 上野桂二
委員 三菱電機叶カ産技術研究所 園田克巳
委員 タッタ電線褐、究開発本部 竹谷千加士
委員 鰹シ村石油研究所研究部 中西 博
委員 大阪府立放射線中央研究所 山上充之
事務局 大阪ニュークリアサイエンス協会(ONSA) 古田純一郎
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W調査結果(S62)
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1.米国における耐放射線性試験(会員ページ )
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日本原子力研究所大阪支所 中瀬吉昭
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米国では,耐放射線性実験,とくに品質認定試験について精力的に研究が進められている。ここでは、最近の資料から得られた情報を基に、これらの研究成果を紹介する。
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1.1サンデア国立研究所におけるEPRの耐放射線性試験デー夕(会員ページ )
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住友電気工業 上野桂ニ
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EPRの耐放射線性試験に関する報告害を5件簡単に紹介する。
1)Response or Rubber Insulation Materials to Monoenergetic Electron Irradiation W.H.Buckalew,F.J.Wyant and G.J.Lockwood(NUREG/CR-3532,SAND83-2098)
原子炉での冷却材漏出事故(L0CA)における、照射場のシユミレージョンに対するコバルト60線源使用の妥当性評価に関する研究の一環として、単一エネルギー電子線照射によるエチレン一プロピレンゴム(EPR)絶縁体中の電荷挙動について研究した。
2) The Effect of LOCA Simulation Procedures on Ethylene Propylene Rubber's Mechanical and Electrical Properties
L.D.Bustard (NUREG/CR-3538, SAND83-1258)
通常の電線用絶縁に用いられる、数種のエチレン一プロピレンゴム(EPR)の電気及び機械特性について、原子炉の老化及び事故ストレスの三種のシュミレ一シヨンに関しモニターした。
3) Superheated-Steam Test of Ethylene Propylene Rubber Cables Using a Simultaneo us Aging and Accident Environment
P.R.Bennett, S.D.St.Clair, T.W.Gilmore (NUREG/CR-4536, SAND86-0450)
種々のEPRゴムの吸湿性に影響を与える成分の同定を行った。
4) First Results From Electron-Photon Damage Equivalence Studies on a Generic Ethylene-Propylene Rubber
W.H.Buckalew (NUREG/CR-4543, SAND86-0462)
通常のEPRゴムに対する、電子と光子の損傷効率を比較した。
5) Correlation of Electrical Reactor Cable Failure With Materials Degradation
O.M.Stuetzer (NUREG/CR-4548, SAND86-0494)
原子炉装置用電線の回路損傷(shortcut)について研究した。
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1.2オークリッジ国立研究所における原子力用機器の耐放射線性試験データ(会員ページ )
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タッタ電線 竹谷千加士
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ORNL(Oak lidge National Laboratory)では、NRC(Nuclear Regulatory Commission)によって始められたNPAR(the Nuclear Plant Aging Reseqrch)ブログラムに従って、原子力用機器の劣化に関する研究を行っている。 目的は次のようである。
・発電所の安全性に重大な影響を与える電気・機械部品、インタ一フェース、システムの老化と使用中の摩耗の影響を、確認し特徴付けること。
・電気o機械部品とシステムの点検、監視、コンディション・モニタリング方法を、確認し、推奨すること。電気o機械部品とシステムのコンディション'モニタリングは、重大な老化の影響を安全性機能が損なわれる前に、有効に検知出来るためと、メンテナンス、修理あるいは交換がタイムリ一に、実施するために必要である。
・老化の影響を和らげ、老化や使用中の摩耗による劣化の程度と進行度を減少させることが出来るように、許可されたメンテナンスを、確認し推奨すること。
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1.3電力研究所、パシフィックノースウェスト国立研究所における
有機材料の耐放射線性試験データ(会員ページ )
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三菱電機渇田克己
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最近、原子力安全性機器、部品、材料などの耐放射線性に関するデータベースの開発がUSAなどを中心として、実施されつつあり、それにつれて、試験方法の統一化および最適化に関する議論が高まりつつある。
本報告では、こうした状況を踏まえ、データベースの構築といった観点から電力研究所(EPR I)、パシフィックノースウェスト国立研究所(PNL)における有機材料の耐放射線性試験の動向を述べるとともに、試験結果についても若干紹介する。
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1.4米国における電子部品の耐放射線性の保証:成果と計画(会員ページ )
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動力炉・核燃料開発事業団東海事業所 藤田雄二
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米国では過去10年に渡って電子部品について耐放射線性試験を行い、大きな成果をあげた。
ここではこの成果をまとめた文献の紹介を行う。
・半導体デバイスの放射線効果の測定方法及び基準の改良
・放射線m境下での耐性が保証された半導体デバイスの入手方法の確立
・耐性機器の開発、製造、設置に対する契約者の指導などが実施された。
耐性保証委員会(The hardness assurance community)によって作られた代表的なものは、ASTMの電気テスト及び線量測定方法に関する基準、部品及びシステムの耐性保証に関する指針、Militaryハンドブックの試験に関する基準、及び耐性保証部品の仕様である。
ここでは、放射線耐性保証がどのように達成されてきたのか、すでに開発されたガイドラインや基準・規格及びハンドブックの概要、関連する委員会及びその目的、ブログラムのアウトライン、耐性保証ブログラムの今後の計画等について述べる。
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1.5米国の耐放射線性データベース調査報告(会員ページ )
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大阪大学工学部 住田健二
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原子力発電所で使用される機器は、高度な信頼性、健全性が要求され、工業規格、規制指針等が制定されている。これらに基づき機器等については、品質保証の試験・解析結果を提出する必要がある。
これらの機器の多種多様性から、過去の試験解析データを検索することはむづかしい。
そこで米国では、試験済の機器等のデータの整理を行い、できるだけ試験の重複をさけ、共通した方式を確立するため、電力中央研究所(EPRI)が中心となってデータバンク構築の可能性調査を1978年より開始した。(EPRI NP-1340,1980)
次に、EPRI (Electric Power Research Institute)がスポンサーとなり、Format,Software, Initial data baseを完成し、EQDB(Equipment Qualification Data Bank)を構築した。
本EQDBの内容につき調査した結果を示す。
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2.大阪府立放射線中央研究所における耐放射線性試験研究(会員ページ )
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大阪府立放射線中央研究所 山本孝夫
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各種の機器・材料の耐放射線性試験の遂行には下に示す様々な要素が求められ、単一の機関・企業のみでは効率的な実施が難しい面が多い。
大阪府立放射線中央研究所では設立以来30年弱の間に、民間企業などと協力して主に照射技術の面から耐放射線性試験データの蓄積に貢献してきた。 以下に大放研のこの分野に於ける最近の活動を纒めて示す。
耐放射線性試験遂行上に求められる要素は次の4項目である。
〇機器・材料の耐放射線性ニーズ
〇機器・材料の選択、製造技術
〇照射試験技術
〇照射効果の評価技術
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3.光ファイバの耐放射線試験デ一タ(会員ページ )
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三菱電線工業株式会社 田中紘幸
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光ファイバは低損失、広帯域、無誘導性、細径、軽量等、情報伝送線路として極めて優れた特徴を有しており広く実用に供されている。 しかし、特殊な環境、特にここで述べる放射線環境下では優れた特徴の一つである損失特性に劣化が生じる。
しかも、放射線環境下での損失特性の劣化は多くのパラメータ、光ファイバの種類、線源の種類、線量、線量率、環境温度、伝送する光の波長とパワー等により大きく変化し、その振舞は複雑である。
本報告では上述した各種のパラメータと損失特性に関する代表的な測定結果例を示し、光ファイバの耐放射線性データベースを構築するための資料としたい。
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4.ロボット用部品・材料の耐放射線技術の研究(会員ページ )
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鞄立製作所 エネルギー研究部 上村博
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実用原子力発電施設作業ロボットの作業する原子力発電所内、特に格納施設内では放射線レベルが高くかつ、温・多湿な場合が予想される。このような環境下で作業するロボッ卜の部品・材料は高い耐放射線性を必要とする。
従来から種々の部品・材料について放射線照射実験が行われているが、ロボッ卜に必要な部品の耐放射線性評価用データベースとしてはまとめられていない。
本研究ではロボットに用いられる部品を照射し、その耐放射線性を評価するとともに、ロボッ卜の設計に必要な部品・材料の耐放射線性を容易に検索できる基本的なデ一夕ベースの構成を検討し作成することを目的としている。
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5.エレクトロニクスの放射線効果-IEEE会議報告(会員ページ )
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宮崎大学工学部電気工学科 中村孔治
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筆者は、"1987 IEEE 24th Annual Conference on Nuclear and Space Radiation Effects, Snowmass Village, Colorodo, July, 28だん31,1987 " に出席した。 これは大阪府立放射線中央研究所第1部長北川通治氏と連名で、"Comparative Study of Gamma ray-irradiation Efrects on GaAs and InP Crystals"なる題目で発表を行うためである。
筆者らの論文は、新しい放射線効果であるのか、短時間の口頭発表では表現が困難であるかで、Poster Paperと判定され、ポスターセッションで発表を行った。
我々の論文については別途、IEEE Trans Nuclear Science及びAnnual report of the Radiation Center Osaka Prep.で見ることができると思われる。 従って、IEEE会議における、Paperの主たるものと共に、要点のみ記述する。世界におけるこの分野の研究に関する現伏の一端を把握して頂ければ幸いである。
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6.宇宙開発関連研究について(会員ページ )
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大阪大学工学部 住田健ニ
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宇宙開発関連分野では、将来、人工衛星の大型化、さらに宇宙ステーションの開発と共に、使用される大量のLSIの長期間にわたる信頼性確保に関し、これらの耐放射線性デ一夕の欠如は深刻な問題となりつつある。 また、電気、電子回路以外に構造材料に関する試験データも要求されてきている。
人工衛星に搭載されたトランジスターの宇宙での放射線損傷が最初に報告されたのは、1963年である。これは通信衛星テルスターが放射線帯を通過の際に発生したものである。
これより先の1962年に、MOSトランジスタ一の製造工程で論理スレッシュホ一ルド電圧の大きな変位を生ずることが知られ、これがアルミニウムのゲート電極を電子ビーム蒸着で製作する際のX線による影響であることがわかった。
一方、1975年には一次宇宙線中の重粒子がトランジスターの空乏層を通過する際の電離電荷によってパルス信号が発生し、論理レベルを反転し得ることが指摘された。
また、集積度が高くなるのに比例して、そのような故障が報告されるようになった。これは今日、ビットアップセットまたはソフトエラ一と呼ばれているもので、将来高集積度のLSIが大量に使用される時には大きな問題になる。
また、高エネルギー宇宙線は遮蔽物で防ぐことはできないので発生率を予測してシステムの冗長性によって避けることが必要である。
半導体の放射線性に関する問題は、衛星技術の先進国アメリカで大規模の研究が行なわれており、損傷の発生機構、放射線の耐性試験、耐放射線性ICの開発等が進められている。
日本では衛星搭載部品の照射試験が小規模で行なわれていたが、最近になって耐放射線性ICの開発や、原子力用の組織的な耐性試験が行なわれるようになった。
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6.1光衛星間通信に関する研究開発(会員ページ )
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晦TR光電波通信研究所 安川交ニ
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近年の宇宙活動の活性化とともに、低・中高度の気象衛星、地球観測衛星等との大容量データ通信あるいは宇宙基地・宇宙機関でのデータ伝送など衛星間、衛星・宇宙飛しょう体間での通信の大幅な増大が予想される。
また、著しい発展をみている衛星通信の分野においても、相互接続の柔軟性、サービスエリアの拡大、静止軌道の有効利用等多くのメリッ卜があるため、静止衛星間での中継実現に大きな期待がよせられている。このような衛星間通信を実現するにあたっては、
(1)システム間干渉の問題がない。
(2)小さなアンテナによる大容量通信が可能である。
などの理由により、今後は、半導体レ一ザを用いた光衛星間通信が有望であると考えられるようになってきた。
米国では、NASAジェット推進研究所が深宇宙探査に用いる光通信システム研究を進めている他、MIT Lincoln Laboratory が NASA と共同で Advanced Communications Technology Satellite(A CTS)による光衛星間通信実験の計画を進めている。
また、ヨーロッパでは、欧州宇宙機構(ESA)を中心に半導体レ一ザ、C02レ一ザ、Nd: YAGレ一ザを用いた光衛星間通信の研究が活発に行われている。
日本では、1992年にEngineering Test Satellite-VI号(ETS-VI)の打ち上げが予定されており、これには小規模な光通信装置の搭載が計画されている。
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6.2高出力半導体レーザの開発(会員ページ )
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松下電子工業株式会社 電子総合研究所 杉野 隆
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半導体レーザの研究開発課題の一つは高出力化である。
コンパクトディスク(CD)用光源として光出力5mWのALGaAsレ一ザが実用化され、引き続き、プリンター用、光ディスク用光源として10mW、30mWの光出力を有するレ一ザの開発が行われてきた。
これら光情報処理機器の分野で特に、光ディスクはライトワンス型から消去可能型へと開発が進められており、今後益々、コンピュータ一と共に普及するものと考えられている。このため、半導体レ一ザに対してもさらに50mW〜100mWへの高出力化が強く要望されている。
光通信分野に於いては光ファイバー通信以外に空間直接通信や衛星通信用等の光源とし
て高出力A1GaAsレーザの導入が検討されている。
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6.3長波長光デ一タリンク用発光素子・受光素子の耐放射線性(会員ページ )
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住友電気工業株式会社研究開発本部 半導体デバイス開発部 奥田ェ
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近年光ファイバ通信の長波長化に伴い長波長帯での発光・受光素子の開発が国内外で盛んに行われている。 今回長波長光データリング用に開発した発光素子InGaAsP発光ダイオード(LED)および受光素子InGaAs PINフォトダイオ一ド(PIN-PD)において耐放射線性を調べたのでその結果を報告する。
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6.4人工衛星の開発と問題点(会員ページ )
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宇宙開発事業団 地求観測衛星グループ 下平勝幸
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人工衛星及びそれに搭載する電子機器は、多くの部品や材料によって構成される。
それら部品,材料は、受ける各種の環境条件に耐えなければならない。そして目標とする期間所要の要求条件を満足していなければならない。 即ち人工衛星システムとしての機能が欠陥なく維持できるよう設計するために、使用する部品や、材料を、宇宙環境に耐えるものを採用するか、または耐えるよう使用することになる。
そこで、受けるであろう環境条件を完璧に把握し、それに耐える部品,材料を準備することが宇宙開発を進める上で必要な条件である。
この報告では、宇宙環境について述べ、それに耐える部品についての必要条件を説明する。
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6.5宇宙用部品の耐放射線性試験(会員ページ )
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宇宙開発事業団筑波宇宙センター 久保山智司
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人工衛星は通信、放送、気象情報収集などに利用され、今日では必要欠くべからざるものとなっている。
利用拡大に伴い、より高度な機能を有し、かつ、長寿命を有する人工衞星の開発が要求されるようになってきている。このような要求に応える上で解決しなければならない重要な問題の1つに宇宙放射線環境による電子部品の損傷がある。
この問題を解決するためには
(1)人工衛星がその軌道上で逍遇する放射線環境を予測する技術
(2)人工衛星内の部品取付け位置における被曝線量を予測する技術
(3)耐放射線性を強化した部品を製造する技術
(4)部品の耐放射線性を確認し、人工衛星が確実に機能することを保証する技術
というようなかなり広い分野に渡る技術を他との関係を充分に配慮しつつ、システマティックに確立しなければならない。
宇宙開発事業団(以下「NASDA」という)では、これらが近い将来欠かせない技術になると考えて昭和53年度から取り組みを始め、現在は1990年代を担う2トン級の衛星に使用するための耐放射線性部品として16ビットMPU、64 k SRAM、4 kゲート・ゲートアレイ等のLS Iデバイスの関発o評価を進めている。 本稿では、NASDAにおける部品の耐放射線性試験法の現伏と今後の課題について述べる。
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6.6GaAs ICの耐放射線性(会員ページ )
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三菱電機貝SI研究所 石原 理
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近年、電子機器の応用分野が拡がるにつれ、通常の環境条件下だけでなく、人工衛星、深宇宙探査機、宇宙基地、原子炉等の過酷なm境条件下で安定に動作し得る電子機器の実現が望まれてきている。
そのため、特にこれらの条件下では耐放射線性を高めた集積回路(IC)が要求されるようになってきている。このような目的のため、GaAsを素材としたI Cが注目され内外各所で研究が進められている。 ここでは、アナログおよびデジタルのGaAs I Cについて行った耐放射線(ガンマ線)性の実験結果について述べる。
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6.7宇宙放射線の観測(会員ページ )
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神戸大学教養部情報学科 園田浩一
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宇宙には電波からガンマ線に至るすべての輻射線および、熱的エネルギ-から1019eVに至る粒子線が存在する。 ここでは、電離能力の大きい、MeV程度以上の粒子線とエックス線、ガンマ線に限ることにしよう。
これらの放射線は空気にさえぎられて、直接地表に達することができないので、これらの研究は主として気球、ロケッ卜、人エ衛星などの飛翔体を利用しなければならない。
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7.電気学会 耐放射線性誘電・絶縁材料調査専門委員会の活動状況(会員ページ )
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早稲田大学理工学研究所 浜義昌
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標記委員会は電気学会絶縁材料委員会に設けられた調査専門委員会であり昭和61年3月に終了した「放射線複合劣化調査専門委員会」の後を受けて、昭和61年4月より発足したものである。 前記査専門委員会については住友電工・井之上昭彦氏より前年度に紹介された。標記委員会の活動については、次の項目にそって現在までの活動状況を紹介する。
1.委員会概要
2.現在までの活動状況
3.データベース化について
4.ONSAラドバード研究委員会との対応について
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8.耐放射線性機器・材料データベース用フォーマット(会員ページ )
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京都大学原子炉実験所 山岡仁史
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本年度の目標は、本格的なデ一夕ベース構築のためのブロトタイブを作成することであり、パソコンレベルを想定してインブット(入力)及びアウトブット(出力)フォーマッ卜を作成することである。
本データベースの利用者は、機器の設計技術者、材料開発研究者レベルとし、原子炉周辺、宇宙等の各種放射線環境下で使用される機器・部品・材料に関する試験データを収録する。
データの収録開始は本年度(昭和62年度)が最初であり、公刊資料の文献を対象とする。
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9.クラスタ・イオンビーム蒸着と結晶成長(会員ページ )
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京都大学工学部 イ才ン工学実験施設 山田公
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新材料、高機能デバイス開発には低エネルギ一(数eV〜百eV、特にlOOeV程度まで)で等価的に大電流を輸送する技術の開発が重要である。
原子状あるいは分子伏のイオンを20eV以下低速で500μA以上輸送することはイオンによる空間電荷効果にもとずく障害のため、磁界で集束させることも不可能で、事実上困難である。
そこで、100〜2000個の原子がお互いに緩く結合した塊状原子集団を作り、これに電子のシャワーを浴せてクラスタ構成原子のうちの一個の原子をイオン化してクラスタイオン(Ionizeed-Clustor Beam-ICB)とすれば、10kV加速でクラスタに10keVのエネルギーを与えても個々の原子の持つエネルギ一は5〜100eVとなり、1mAの電流は、もしクラス夕の構成原子数を平均1000個とすれば、1Aに相当することになって、等価的に、膜形成に適した低速、大電流輸送が実現できる。
そのうえ、クラスタはお互いに緩く結合した原子集団であるため、基板射突時にこわれて個々の原子となり入射エネルギ一は基板表面上でのマイグレ一シヨンエネルギ(吸着原子のモビリティ)を自由に制御できる。
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S61年(第01年) 度耐放射線データベース研究会
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T はじめに
今日の原子力関連産業界を見ると、原子力発電ブラントは種々の経験を蓄積し高稼働率運転の技術を掌中に収め、その技術開発の方向を軽水炉の高度化へと向けている。ダウンンストリーム関連では、国家的なプロジェクトとしての第2再処理工場、高•低廃棄物処理プラントの建設スケジュ一ルが迫っており、これらに向けての技術開発のテンポが速まってきている。
さらに高速増殖炉•核融合といった技術開発課題もその後に控えている。一方、今日の電子技術.光技術•新材料等の進歩は目をみはるものがあり、あらゆる方面への展開が精力的に図られている。
原子力分野においても、種々の放射線環境下でのこれらの技術の応用が強く求められている。これらの放射線環境下での応用は人工衛星の製造•打ち上げという宇宙開発に関連した分野での要求とも相通ずるものである。このような背景のもとに、様々な電子デバイスや新材料について、耐放射線性の優れたものの抽出やその向上のための照射試験や研究が進められている。
また、各機関•企業で得られてきたこれらの貴重な財産とも言うべきデータはかなりの量にのぼっていると思われるが、その体系的な集積•整理はなされていないのが現状である。
しかし、今後一層この方面でのニーズが増大•高度化するのは間違いなく、より高度な照射試験•研究の計画のために、また重複した試験•研究の実施によるマンパワ一•経費の無駄を避けるために情報の一元的な集約、即ちデ一夕べ一スの構築が望まれる。
本調査報告書は、大阪大学工学部教授住田健ニ博士をはじめとする学識経験者からなる委員会の活動をまとめたものであり、下記6社の支援を受けた。ここに関係各位に対し深く感謝の意を表する。
関西電力株式会社
住友電気工業株式会社
三菱重工業株式会社
三菱電機株式会社
株式会社日立製作所
株式会社東芝
昭和62年3月
社団法人大阪ニュ一クリアサイエンス協会
会長 阪本勇
U データベース構築の意義
私達の周囲を取り巻く科学・技術の世界の最近の進歩は誠に急速なもので、自分の専門分野を少しでも離れた所になると、どのような技術革新がおこりかけているのか、うっかりしていると見逃し兼ねない状況にある。
ましてや、実用的な設計のためのデータを求めて他分野の文献の山にさ迷い込んだ経験がある者なら、よく整備されたデータベースの存在の有難さは骨身にしみてよくわかるものである。
自分の所には、世界中の必要な資料が揃っていると自負されている機関でも、所要のデータを短時間内に引き出しうる所まで整備するのは容易なことではない。ただし、現状では誰かが整備してくれるのを待っていては、何時の日のことか分からないので、必要とする立場の者が協力しあって着手し、賛同する人の輪を拡げて次第により完全なものに整備してゆくのが常道である。
一方、視点を変えてみると、現在のハイテクを要約すると、情報•材料・エネルギーの三つの流れになるとされているが、本委員会が目指している分野の仕事はまさにその三者の接点となる「かなめ」にあたる。たとえば、原子炉のような高放射線場での計測で、所要信号を光ファイバーで伝送したいと考えた場合をとりあげると、そこに使用される各種の電子部品、光学素子の耐放射線性特性が問題になるのは自明であろう。
しかし、同じ問題が医療用の放射線利用機器の設計にも、宇宙へ飛立つロケットの制御系の場合にも生じるのである。これらを、それぞれ別個の問題として取り組むことの無駄は自明だが、もし互いの協力が不可能なら’狭い範囲のサーベイのまま経験主義的な試行錯誤で無駄をかさねる危険性が高くなる。
恐らくこのような広い範囲と多角的な利用を意識した本分野でのデータ•ベースの作成は世界に類のないものであろうが、曰本の技術が直面する将来の発展を意識すれば、この種の知的蓄積こそその背景となるべきものであるといえよう。また、海外との連携、国際協力も将来は必要になろう。
V 調査内容
前述の目的を達成するため国内における耐放射線性に関する試験研究の実情及びデータベース化の動向、並びに国外の一部について調査を行なった。
本調査にあたっては、原子力分野で使用される機器、部品及び材料に限定するが、半導体、光ファィバ等は宇宙用としても使用可能である。そこで現状調査の段階では、宇宙環境を対象とした耐放射線性試験研究の調査も含めた。
国内において、耐放射線性試験研究は日本原子力研究所(原研)で主に実施されている。また、実用原子炉等具体的な機器•材料についての試験研究については動力炉•核燃料開発事業団(動燃)にデータの蓄積がある。
そこで原研及び動燃における試験研究の全般的な調査を行ない、次により詳細な研究成果の調査を行った。
大阪府立放射線中央研究所(大放研)では有機材料、半導体等に関する耐放射線性試験研究が精力的に行なわれている。また、宇宙用衛星にも半導体、太陽電池が多数使用されている。これ等は宇宙環境を対象としたものであり、原子炉周辺の環境と異なるが、耐放输線性試験にほかならない。これ等についても調査を行った。
国外においては、米国(EPRI(電力研究所)等)、欧州(CERN等)において耐放射線性試験データの集積が積極的に行われている。
そこで本年度はEPRI及びCERNにおける試験研究の一部について調査した。
また、国内では電気学会において主に絶縁材料の耐放射線性について活発に調査が行なわれているので、積極的に連携をしながら調査を行なった。
本調査では主として国内における耐放射線性に関する試験研究の実情及びデータベース化の動向並びに国外の一部について調査したが、今後は海外における試験研究、デ一タベース化の調査を行なうとともに本論とも言うべきデータベースの基本概念、すなわち、着手項目、フォーマット作成等の検討を行い、プロトタイプのデ一タペースの構築を図る予定である。lang=EN-US>
W 委員会名簿
昭和61年度 耐放射線性機器•材料デ一タベース研究委員会委員名簿
(順不同)
所 属 氏 名
委員長 大阪大学工学部 住田健ニ
幹事 京都大学原子炉実験所 山岡仁史
幹事 日本原子力研究所大阪支所 中瀬吉昭
幹事 日本原子力研究所東海研究所 角田恒巳
幹事 動力炉•核燃料開発事業団東海事業所 樫原英千世
幹事 大阪府立放射線中央研究所 児子進
幹事 大阪府立放射線中央研究所 平岡英ー
幹事 関西電力 川勝 理
幹事 住友電気工業褐、究開発本部 松原健夫
幹事 住友電気工業 井之上昭彦
幹事 鞄月ナ関西支社電力部 濱 勝海
幹事 鞄月ナ原子力技術研究所 亀井 久
幹事 鞄立製作所エネルギー研究所 山田周治
幹事 三菱重工業轄mサ研究所 遠藤丘
幹事 三菱重工業轄mサ研究所 中村哲男
幹事 三菱電機叶カ産技術研究所 佐藤文彦
幹事 潟iサック 山田修作
委員 動力炉•核燃料開発事業団東海事業所 阿部則雄
委員 大阪府立放射線中央研究所 北川通治
委員 大阪府立放射線中央研究所 佐藤祐ニ
委員 大阪府立放射線中央研究所 庄野吉彦
委員 大阪府立放射線中央研究所 山本孝夫
委員 大阪府立放射線中央研究所 山上允之
委員 大阪府立看護短期大学 上原利夫
委員 宇宙科学研究所 稹野文命
委員 関西電力褐エ子力設計部 岡本光雄
委員 住友電気工業褐、究開発本部 乾稔史
委員 住友電気工業 大島祐之助
委員 住友電気工業渇。浜研究所 渡辺稔
委員 住友重機械工業叶V居浜製造所 田沢修一
委員 住友ベークライト鞄崎工場 中川凱天
委員 三菱重工業叶_戸造船所 藤原秀之
委員 三菱電機叶カ産技術研究所 園田克巳
委員 木村化工機褐エ子力本部 宮本佳紀
委員 三菱電線工業褐、究開発本部 寺崎和憲
委員 原子燃料工業褐F取製造所 佐藤務
委員 叶_戸製鋼所機械研究所 小松博康
委員 三洋電機葛Z術本部 黒木和彦
委員 潟VャープIC事業本部 若本節信
委員 タッタ電線褐、究開発本部 竹谷千加士
委員 ダイキン工業褐、究所 藤原正典
委員 大和紡績潟Jンバス部 野町宗士郎
委員 日新ハイボルテージ 坂本勇
委員 日本原子力発電椛獄ア部 小島信行
委員 日立造船褐エ子力事業部 山田毅
委員 鞄立製作所日立工場 鈴木一道
委員 藤倉電線株゙覆線事業部 八橋元治
委員 ボニー原子工業 中田孝良
委員 松下電器産業樺央研究所 藤原義博
委員 松下電器産業 山下忠興
委員 松下電器産業 橘田義弘
委員 鰹シ村石油研究所研究所 中西博
委員 芳沢機工西部 伊藤厚
事務局 大阪ニュークリアサイエンス協会 古田純一郎
昭和61年度 耐放射線性機器•材料データベース研究委員会小委員会委員名簿
(順不同)
所 属 氏 名
(化合物半導体)
小委員長 大阪府立放射線中央研究所 庄野吉彦
委員 大阪府立放射線中央研究所 北川通治
委員 名古屋工業大学 中嶋 堅志郎
委員 大阪大学工学部 白藤純嗣
委員 住友電気工業褐、究開発本部 多田紘二
委員 住友電気工業褐、究開発本部 矢島国光
委員 三菱電機LSI研究所 中谷正昭
(光ファイバ)
小委員長 日本原子力研究所東海研究所 角田恒巳
委員 住友電気工業渇。浜研究所 渡辺 稔
委員 大阪大学工学部 飯田敏行
委員 三菱電線工業鰹報通信事業部 田中紘幸
委員 動力炉•核燃料開発事業団東海事業所 阿部則雄
委員 大阪府立放射線中央研究所 山本孝夫
(半導体素子)
小委員長 動力炉•核燃料開発事業団東海事業所 阿部則雄
委員 鞄月ナ原子力技術研究所 田井一郎
委員 三菱重工業轄mサ研究所 中村哲男
委員 鞄立製作所エネルギー研究所 鈴木一道
委員 住友電気工業褐、究開発本部 村上一仁
委員 三菱電機叶カ産技術研究所 佐藤文彦
(有機材料)
小委員長 京都大学原子炉実験所 山岡仁史
委員 日本原子力研究所大阪支所 中瀬吉昭
委員 住友電気工業鞄d力事業部 井之上昭彦
委員 三菱電機叶カ産技術研究所 園田克巳
委員 タッタ電線褐、究開発本部 竹谷千加士
委員 鰹シ村石油研究所研究部 中西 博
委員 大阪府立放射線中央研究所 山上充之
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X調査結果(S61)
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1. 日本原子力研究所における耐放射線性試験研究(会員ページ )
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曰本原子力研究所大阪支所
中瀬吉昭
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日本原子力研究所(原研)における耐放射線性試験研究は、主として高分子絶縁材料を中心とした試験研究が高崎研究所でおこなわれている。また、東海研究所においても原子炉の計測・制御に関連して計測ケーブル、光ファイバケーブル等に対する試験研究が実施されている。
本講では、これら試験研究の成果の概要を紹介する。 耐放射線性試験研究においても、他の一般的試験と同様に短時間でしかるべき結果を得る必要があり、先ず加速試験法の研究が行われた。
一般的加速試験法では、加熱法が公知であり、規格ともなっている。一方、耐放射線性試験では、単なる熱劣化以外に放射線劣化、酸化劣化等が起こっているので、本試験に対する加速条件の開発は重要である。
基礎研究として劣化機構の解明も、試験条件の設定のために重要であり、加速条件の妥当性を検証するためには不可欠の研究である。
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2.動燃における耐放射線性機器材料の開発.(会員ページ )
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動力炉核燃料開発事業団
東海事業所技術開発部建設室 阿部則雄
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本資料は、動力炉核燃料開発事業団の再処理工場、技術開発部(以下、東海事業所)、機器構造開発部(大洗工学センター)にて、それぞれ開発、検討してきた放射線環境下で使用する各種装置について、耐放射線性試験に着目して概要をまとめたものである。
各装置について、一枚の表と数葉の説明図を用いて説明した。
以上の内容は(注)に示す図書をまとめなおしたものであり、不明な点はこれらの図書を参照願う。
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3.LOCA模擬環境下における電線・ケーブル絶縁材料の劣化(会員ページ )
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日本原子力研究所高崎研究所技術開発課 日馬康雄
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原子炉の想定事故であるLOCA(Loss of Coolant Accident:冷却材喪失事故)時には、格納容器内の電線oケーブル類は放射線と高温の水蒸気、スブレイ、空気などからなる環境に暴される。
安全系に使用される電線・ケーブルはこのような環境条件下においてもその機能が維持されていることを予め確認しておく必要があり、各国で品質認定試験が行なわれている。
わが国においても昭和57に電気学会より「原子力発電所用電線・ケーブルの耐環境試験法ならびに耐延焼性試験方法に関する推奨案」が出されているが、LOCA時に想定されるような複合環境下における絶縁材料の劣化挙動についての研究は未だ不十分であり、複合環境を構成する放射線、高温の水蒸気、スブレイなどを同時に与えた際の相乗性の有無や、線量率効果などについて、また、原子炉の寿命とされている40年間の通常連転の際に生じる劣化をどのように評価するか、さらにこれを短時間で与えるための促進劣化の方法について、熱、放射線を与える際の順序の問題などが重要であることが指摘されている。
一方、現行の試験法は、装置上の制約などから放射線と蒸気環境を順次与える逐次法で行なってよいとされているが、同時環境における劣化を模擬する際の妥当な試験条件の確立が必要である。
本報告ではこれまで行なってきた同時環境下ならびに逐次法による絶縁材料の劣化挙動について報告する。
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4.耐放射線性潤滑油及びグリースに関する試験研究(会員ページ )
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鰹シ村石油研究所
中西博
日本原子力研究所高崎研究所 荒川和夫
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現在、国内で運転中の原子力発電所の商業用原子炉は33基、約2,500万KWであり、今後原子力エネルギーへの依存度はますます増加すると予測ざれる。また原子炉1基当りの出力も大きくなっている。
他方、スリーマイル島原子炉事故以来、炉の安全性の確保が必要とざれてきており、炉周辺で使用ざれている各種有機材料についても、信頼性の高い性能を長期にわたり維持できることが求められている。
原子力施設およびコバルト照射装置、電子加速器等の照射施設で使用ざれている有機材料として潤滑油oグリース等がある。
これらの潤滑剤は経年劣化に加えて放射線による劣化を受けるので、潤滑剤には優れた耐放射線性を有するものが必要となる。この目的のため種々の潤滑剤を真空中および酸素雰囲気中でガンマ線照射し、その耐放射線性を評価した。
また、この成果を応用して耐放射線性潤滑剤を開発した。
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5.集積回路の放射線損傷(会員ページ )
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宇宙科学研究所 槙野文命
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近年、強い放射線環境の中で電子機器を使用する必要が多くなり、電子部品、特に半導体の耐放射線性が問題となっている。
放射線耐性が問題となる分野は、人工衛星、原子力および高エネルギー物理学実験である。特に宇宙関係では将来、衛星の大型化と共に、大量のLSIが使用される見込みで、深刻な問題になりつつある。
ここでは宇宙用を中心に、放射線損傷、放射線耐性の現状、耐放射線性ICについて述べる。
人工衛星に搭載されたトランジスタ一の宇宙での放射線損傷が最初に報告されたのは、1963年である。これは通信衛星テルスターが放射線帯を通過の際に発生したものである。
これを契機として、半導体の耐放射線性の測定が行われるようになった。
そして、ただちに各種半導体のうちでMOSの耐性が最も低いことが明らかになった。これより先の1962年に、MOS卜ランジス夕一の製造工程で論理スレッシュホ一ルド電圧の大きな変位を生ずる事が知られ、これがアルミニウムのゲ一卜電極を電子ビーム蒸着で製作する際のX線による影響であることがわかっていた。
このことから、MOSの低い放射線耐性の原因が製造工程でのX線照射と同じ原因であることがわかり、ゲ一卜電極を絶縁しているゲート酸化物の帯電機構が詳しく研究されるようになった。
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6.電気学会放射線複合劣化調査専門委員会の活動状況(会員ページ )
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住友電気工業
井之上昭彦
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最近における原子力施設の拡充、宇宙空間の利用の発展などに伴い、これらに用いられる絶縁・誘電材料は多様化し、高度の信頼性がますます要求ざれるようになっている。
このような趨勢に応じて電気学会では掲題の調査専門委員会を設置し、内外の研究の状況の調査o研究を行なった。その活動の概要をご紹介する。
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7.大放研における半導体の照射効果の研究(会員ページ )
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大阪府立放射線中央研究所第1部 北川通治
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大阪府立放射線中央研究所(大放研と略す)における半導体の放射線照効果の研究は、当初、半導体中に残存して様々な影響をもたらす格子欠陥の性質や生成消滅過程を調べ、欠陥の同定を行なう研究のために、試料中へ直接格子欠陥を導入する手段として放射線照射を用いたものである。
格子欠陥の導入は、高温からの急冷等によっても行なうことが出来るが、その場合には新たな不純物の拡散や、欠陥と不純物との結合、解離、凝集、あるいは、それに伴う転位ループの発生等、複雑な反応が激しく起こるため、欠陥種やその特徴の分離、解析はより困難となり、基本的な欠陥に注目しようとするような研究には適当でない。
これに較べて放射線照射による格子欠陥の導入は、任意の温度で行なうことができるうえ、放射線の線種、エネルギー等を選ぶことによって、いろいろな種類の格子欠陥を発生させることが出来るので、格子欠陥の基礎的研究のためには適した方法と言える。
しかしながら、近年になって、人工天体や原子力施設における使用機材と関連して、半導体素子が一時的な放射線被曝を受ける可能性にとどまらず、放射線環境下で連続的に使用し続けることさえ考慮しなければならない状況になってきている。
このため、大放研の格子欠陥の研究グループは現在"半導体の耐放射線性に関する研究"のテーマについても、これを分担して行なう体制をとっている。従って、研究内容としては、半導体の基礎的な特性についての研究が中心という傾向をもっている。
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8.耐熱性高分子の耐放射線性試験研究(会員ページ )
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日本原子力研究所高崎研究所
貴家恒男
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機械的,電機的特性に優れており,150℃以上の高温でも優れた特性を発揮する全芳香族系ポリマーが実用化段階に入り、高性能エンジニアリングプラスッチクとして注目を集めている。
芳香族系の有機物は一般に放射線に対して安定であると信じられているために、これらのボリマーは将来,核融合炉m境や宇宙m境下で使用するのに適した有機材料として有望視されている。
しかし、比較的初期に実用化されたポリイミド"Kapton"以外のポリマ-についての系統的な研究は少なく、材料を選択する上で必要な耐放射線性に関する知見が非常に不足しているのが実情である。
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9.光ファイバの耐放射線特性(会員ページ )
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住友電気工業株式会社 渡辺稔・大江将元
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石英ガラスがエックス線照射により着色することは、古くから知られており、その程度は、ガラスの合成時の雰囲気が、還元雰囲気か酸化雰囲気かによって大きく異なることが報告されている。
また、ガンマ線でも同様の着色が見られ、中性子の照射結果も報告されている。さらに、アニールによって透明度が回復することも知られていた。
光ファイバの放射線照射の研究は、アメリカのべル研究所が、低損失光ファイバの試作に成功した頃には、NRLのFriebeleらによって、すでに研究が行われていた。 そしてその後、主にNRLと日本のNTTおよび電線メーカーによって、光ファイバの放射線特性の研究が行われた。
その内容は
1. 光ファイバに放射線を照射した時の損失増加量のガラス組成、製造条件、照射条件の依存性と寿命推定
2.損失増加のメカニズム解明
の2つに大別できる。
本稿では、この2項目について、現在発表されているデータ一を整理する。
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10.耐放射線性電気絶縁材料等の開発(会員ページ )
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日本原子力研究所原子炉計測研究室 角田恒巳
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原研原子炉計測研究室に於いて進めている電気絶縁材料等の耐放射線性に関する研究は、種々の原子力施設を対象に、それらの[計装システムの開発]をメインテーマとする中で、そのコンポーネントとなる耐放射線性材料・機器等の開発研究という形で取り上げ実施している。
従って、その内容も申に電気絶縁材料にとどまらず多岐にわたっており、歴史的にも原研創立当初にさかのぼるほど早くから着手してきた。
また、対象となる原子力施設も研究用原子炉をはじめ、高速増殖炉、高温ガス炉、核融合施設など広い範囲にわたっている。
これら、当研究室の進めてきた酎放射線性材料o機器等の開発研究に関連し、本委員会からの耐放射線性ケーブルo絶縁材料等についての依頼をはじめとし、最近各方面から、放射線などの厳しい極限環境下で使用する計装機器の信頼性向上、ロボットなど遠隔操作機器に代表されるような新しい作業機器の開発などを目的として種々の要望や問い合せが多く寄せられている状況にある。
そこで、本委員会が目的としているであろうと思われるデータベースの構築という観点から捉らえて、酎放射線性ケーブル・絶縁材料等に関する部分について、研究の概要及びデータの一部を紹介し参考に供したい。
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11.パソコンを用いたデ一夕ベースについて(会員ページ )
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株式会社ナナック 山田修作
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採用したパソコンデータベースシステム DIALBASE
DAIALBASEは世界的に利用者の多い商用データベースDIALOGの検索方式の踏襲,検索応答速度の向上を目的としR:BASE 4000をベースとして作成されたパソコン用データベースシステムであり、以下の基本機能を有する。
DIALBASE (R:BASE40000)の基本性能
*レコード長:最大3060バイト(書誌部1530バイト,抄録部1530 ;バイト)
*レコード数:最大21万件
*フイ一ルド数:最大80
*使用文字:英数,カナ,漢字
*索引ファイル:DIALOG方式(基本索引部と付加索引部)のインパ-テッドファイル
キーワード切り出し方式(プレ−ズデリミタ,ワ−ドデリミタ,ビックワ-F,和文に対するアルゴリズム処理) ストッブワ一ド(最大100まで)
レコードの追加・更新が可能
*検索コマンド:DIALOGコマンドおよびR:BASEの編集コマンド
*照合方式:ワード,フレーズ,フリ一テキスト(W,nW),トランケ一シヨン(?)
*記事出力フォーマット:ライン出力(T)で8通りを任意に指定できる。
R:BASEの画面フォーマット(FORMS,REPORTS)を使用できる。
*検索応答速度:単語,句ならばレコード数によらず3〜5秒以内。
トランケーション(?)と検索方式の複雑さで遅くなったとしても20秒以内
*移植性:Multiplan,Visicalc,LOTUS 1-2-3,WordStar, dBaseU,RIMを用いる大型コンピュータ
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12.CERNにおける有機材料の照射データ(会員ページ )
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京都大学原子炉実験所 山岡仁史
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スイスのジュネーブにある CERN (欧州合同原子核研究機関)は、英、仏、西独など西欧13ケ国が共同出資して運営している素粒子物理学の研究機関である。
ここには、スーパ一陽子シンクロ卜ロン(Super Proton Synchrotron、 SPS)という大型加速器があり、最近は、円周が30kmにもおよぶ大型電子o陽電子衝突実験装置(Large Electron-Positron
Collider、 LEP)の建設が開始されている。
このような大型装置には、膨大な量の電線ケーブルをはじめ種々の有機材料が放射線環境下で使用されるために、諸材料の放射線劣化に関する知見が必要とされ、Health and Safety Division やTechnical
Inspection and Safety-Commission などの研究グループによる有機材料の照射デ一夕が長年にわたって蓄積されてきた。
これらの実験データは、すべてCERNからの刊行物として公表されているので、ここではその概略を紹介する。
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13.EPRI(Electrical Power Research Institute)における有機材料の耐放射線性データ(会員ページ )
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日本原子力研究所大阪支所
中瀬吉昭
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米国電力研究所(Electrical Power Research Inst itute-EPRI)は、USDOEの品質認定試験(QTE)計画に従って、原子炉で使用される安全系機器の品質認定試験研究、すなわち、通常運転期間中の低レベル放射線に曝された場合と、仮想事故の高レベル放射線に曝された場合のどちらか、あるいは、その両者において,安全系機器がその機能を発揮することを確認するための試験研究を進めている。
これらの機器の内外には、絶縁材、気密材等として有機材料が用いられているが、放射線によりそれらは劣化する。 この劣化が機器の寿命を決定することが良く知られているにもかかわらず、このように重要な材料の劣化状況が、報告書によって必ずしも一致していないのが実状である。
そこで、EPRIとしては、これらの劣化状況の比較検討が可能なように、各種有機材料に関して放射線損傷の始まる最低線量と、一般的に認められている機械的性質の25 %低下する線量と、を評価することを試みた。
本報告は、現在まで報告された文献を調査した結果である。これらの評価結果が、機器の設計、製作のために有効であること、また、品質認定試験を行う場合の支援になることを期待する。
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14.核融合診断装置の耐放射線性(会員ページ )
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Work Suported by Department of energy
Cotract DE-AT03-76ET51011 J.F.Baur
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This
section gives an overview of the range of sensitivities Co radiation
effects of materials and components for fusion diagnostic equipment.
The major effects considered are those caused by
energetic neutron and gamma radiation.
Additional effects from electrons, ions,
neutrals, and alpha particles are not discussed because their influence is
localized near the first wall of the reactor.
Similarly, effects of heat deposition by
radiation, of tritium, and of activation are mentioned but not considered
extensively because they require a more careful design analysis.
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