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放射線研究会リスト

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23回 中性子ラジオグラフィ利用技術研究会   

 

 平成8年度

 

0.まえがき(会員ページ )

委員長 藤代正敏

 中性子ラジオグラフィは水素含有量の多少によってコン卜ラス卜を得るところに 特徴を有するため、X線等の放射線透過試験にない技術的な長所を有し、ある 種の構造物についての欠陥検出能は評価すべきものがある。
しかし、一昨年度の本研究会のパネルディスカッションでも大きな話題となり、研究的手法から工業的に広く活用されるために
*ポ一夕ピリティ一を有する装置の開発
*製品の品質保証コス卜としての適正な額
が解明されていなく、実用化への途はロケッ卜・人工衛星に用いられる火エ品の品質 保証に用いられているにすぎないといっても過言ではない。
当研究会でも、原子炉施設、あるいは加速器による中性子発生装置のような、いわば実験室の場から、ブラン卜・中性子ラジオグラフィ中性子ラジオグラフィ機器類の据え付けられている、あるいは製作されているフィ一ルドに持ち出せるような装置・試験方法の研究調査を指向したが、いまだ、果たされていない。
将来の中性子ラジオグラフィを考えるとき、前述の装置の携帯性、リーズナブル な検査コス卜のほか、超高感度な受像装置とコンピュータ画像処理の組合わせが期待 されるし、これが果たせなければ実用化への途が閉ざされてしまう。
我が国で中性子ラジオグラフィの研究の緒についた1968年より数えてまもなく 30 年を経過しようとしている。
技術的には熟成したものであり、今後の研究会での研究 発表o討論でも、如何に工業的に実用化をはかるか、"Must技術"への転換はどう図るかについてを重点指向としなければならない。

1. 5回中性子ラジオグラフィ国際会議に出席して(会員ページ )

大阪府立大学 谷□良一

 1996617日から4日間ドイツ、ベルリンで開かれた中性子ラジオグラフィ国際会議に参加しました。
この会議は1983年以来、3年に一度開かれているもので、今回で5回目となります。筆者は、第2回(パリ)、第3回(大阪)に続いて、3回目の参加となりました。
会議には約23力国から200名近い参加者があり、大変盛況でありました。

 

2.中性子ラジオグラフィの定量定量性向上をめざして(会員ページ )

名古屋大学 玉置昌義

 中性子ラジオグラフィ(NR)技術は、ここ数年の間に大きく高度化が進み、それを応用することによって、それぞれの学問分野における新たな研究が開けるところまで来た。
学問分野における科学研究手段への応用はまだ端緒についたばかりであり、確立されたNR法の応用は時間遅れを伴いながらも密接な関係をもって進み始めている。
その紹介を若干の研究例について行なう。しかし、学問分野に応用されたとは言え、それ自身が学問的評価に耐えうるレベルに到達しているかということとはかならずしも一致しているわけではない。
NR
技術にとっては、これからが研究に使える手段として個別学問分野で展開されるかの正念場である。

このため,中性子ラジオグラフィを利用した冷媒の可視化が,田沢らにより検討されているが,冷凍サイクルの用途により作動原理・作動流体の種類が異なるため,線吸収係数などの基礎デ一夕,実部品の撮影ノウハウなどの蓄積は十分と言えない。
そこで,今回,中性子ラジオグラフィを利用した冷媒の可視化を力一エアコン用冷凍サイクルについて検討したので,線吸収係数測定などの基礎検討結果と,実部品撮影における利点,問題点ならびに今後の課題を報告する。

 

3.NRGPRGによる微細流管内の冷媒挙動の検出(会員ページ )

豊田中央研究所 掛布光孝

 新しく開発されるカーエアコンでは,熱交換器などの部品が小さく複雑となり,直径1mm前後の流路が採用されるようになった。
このため,部品構造がその性能に強く影響するようになり,部品の高性能化において,実部品内部における冷媒挙動の理解がますます重要となってきている。
そこで,今回,液膜の厚さが1mm以下となる微細流管内の冷媒挙動の検出につき,中性子ラジオグラフィと陽子線ラジオグラフィによる実時間観察の可能性を検討したので,その概要を報告する。
±0.05.

 

4.中性子ラシオグラフィ高速度撮像法の開発と流体計測への応用(会員ページ )

  京都大学原子炉実験所 三島嘉一郎

 エックス線あるいはガンマ線ラジオグラフィと相補的な特長を有する中性子ラジオグラフィ(Neutron RadiographyNR)は当初、航空機産業や自動車産業における非破壊検査法として発達してきた。
また、近年、高中性子束炉が中性子源として利用できるようになりNRは非破壊検査の一手法から中性子を積極的にプローブとして用いる有力な可視化o計測法の一つとして発展しつつあり、熱流動研究への応用はその一例である。

5.RI中性子源によるNRG(会員ページ )

  大阪府立大学先端科学研究所 藤代正敏

 For practical utilization and diffusion of neutron radiography(NRG) it seems indispensable to establish a high-sensitive imaging technique with a portable neutron source. From this point of view, we tried NRG.

 

6.放射線透過試験におけるデジタルラジオグラフィの現状(会員ページ )

  (財)ファインセラミックスセンター 池田泰

 放射線透過試験は非破壊検査に大きなウェイ卜を占めている技術であり、その歴史は最も古いといえる。
この放射線透過試験を担ってきた技術はいわゆるX線銀塩フィルムであるが、最近のフィルムを使用しないデジタルラジオグラフィの技術の進歩もめざましいものがあり、検査現場では多用化されつつある。
しかし、日本の現状の検査規格には銀塩フィルムによる方法しか存在していないために、このデジタルラジオグラフィの検査の実用化にとり、大きな傷害が生じている。
一方でフィルム法にとっても、画像デ一タ保存をはじめデジタル化技術の採用は時流ともなりつつあり、より低コスト、高信頼性、良好な仕事環境の非破壊検査技術の実現のために、情報処理技術の進歩にタイアップした手法であるデジタルラジオグラフィ技術への期待は大きい。
既に、医療分野では従来のフィルムの他、透視撮影、CTMRIその他各種のデジタル検査法が発達しており、データ処理にデジタル法を使わざるを得ない状況にあり、データ保存に加えて、それらのデータの他診療機関での共通利用も含めて、幅広くデジタル法の規格化が検討され、実現されようとしている。

7.NDTラピッドフィルムの感度及び像質特性(会員ページ )

大阪府立大学 谷□良一 辻井幸雄

 Dupont NDT Rapid Filmは、半透明のポリエステルベースの片面乳剤の工業用インスタントフィルムであり、専用のプロセッサーでの乾式熱現像処理によって、約10秒で黒色金属銀のインス夕ン卜プリン卜が得られ、透過光、反射光どちらでも観察可能な乾式フィルムである。
これらの特徴をふまえて、中性子ラジオグラフィ(NRG)に対する感度及び解像度を調査したところ、X線フィルムに比べて低感度であるが、解像度は十分得られる事がわかった。

8.メスバウアー分光法による2相ステンレス鋼の熱脆化評価(会員ページ )

非破壊検査株式会社安全工学研究所  宮本宏

 高度成長期からほぼ30年を経過しようとする今日,当時建設され,今なお稼働している発電プラン卜や化学プラン卜などの大型プラン卜においては,装置材料の経年変化による材料特性の劣化に起因して,その安全性に対する懸念が高まりつつある。
また,低速安定成長期に入った経済活動は,大型設備への新設ニーズを減らし,現有設備の長期使用を求めるようになってきている。
こういった状況の中で,経年プラントの長期間にわたる健全性と信頼性を確保し,長寿命化を図るためには,プラント機器材料の使用中の材料特性の変化の把握,そのメカニズムの理解,材料劣化の早期検出に対する技術開発が必要である。
大型プラントには種々の鉄鋼材料が使用されているが,その内,2相ステンレス鋼は,その優れた耐応力腐食割れ性および耐粒界腐食性から,原子力プラント,油井管,石油化学プラントなどに広く用いられている。
原子力プラントでは,この2相ステンレス鋼は1次冷却材配管,バルブ,ポンプケーシングなどに使用されており,280℃〜330℃の温度範囲で数十年間以上の長期にわたって使用されている。
2
相ステンレス鋼はこのような条件下で長期間保持されると,オーステナイト/フェライト相境界へのM23C6型炭化物の析出,粗大化をはじめ,スピノーダル分解(Cr-richなα相とFe-richなα相への2相分離)による材料特性の劣化が起こる。
この微細組織の変化による劣化現象は,経年プラントの健全性評価にとって重要,近年特に注目されている。

9.熱流動現象の可視化とアニメーシヨン(会員ページ )

神戸大学工学部 竹中信幸

 日本原子力研究所のJRR-3 M熱中性子ラジオグラフィシステムを用いて以下の熱流動現象の可視化を行い、画像処理ソフトNHHmageを用いてアニメ一シヨンを作成したので報告する。

 

  

22回 中性子ラジオグラフィ利用技術研究会   

平成7年度

0.まえがき(会員ページ )

委員長 藤代正敏

1252Cf中性子源を用いた中性子ラジオグラフィ (会員ページ )

武蔵工業大学 持木幸一

 中性子ラジオグラフィ(NRG)の応用分野を広げる上で、原子炉や加速器ではなく、可搬性のある中性子源としての252Cfの有効な利用が課題となっている。
そこで、日本原子力研究所大洗研究所の252Cf中性子線源を用い、武蔵工業大学が開発したNRG 用実時間信号処理装置(MDIPS: Musashi Dynamic Image Processing System)を使用して、低中性子束NRGのための信号処理法を実験的に検討している。その中間結果を報告する。

2.光ファイバー中性子検出器を用いた水ステッフの透過度測定(会員ページ )

京都大学原子炉実験所 米田憲司

  中性子ラジオグラフィの基礎実験として、フィルム法を用いた各種試料の中性子透過度測定が行われ、散乱線の影響について話題になってきた。
しかしフィルム法では黒化度の幅が狭く、ガンマ線のカプリの補正が必要など散乱線を評価するには問題があった。
小型の中性子検出器を使って散乱線を除去するには、入射口径が小さくて長いコリメータが有効である。
本研究では、光ファイバ中性子検出器を使ってE-2実験孔における水の標準ステップについて、コリメータ有無の場合の透過度比較実験を行った。

3.京都大学原子炉による中性子ラジオグラフィの透過度計識別度の評価(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 辻井幸雄

 中性子ラジオグラフィの像質評価の尺度として、NRTIndicatorASTM E545「」線質計(BPI)、識 別度計(SI) 」で規定されている。
このIndicatorによる透過写真から透過像の濃度及び像の分解度か ら像質評価を行っている。
実験はナイロン及び鋼線を用いた線型Indicatorを試作し、ASTM E54581 版)で規定する許容値と線型Indicatorの識別できる最小線径(検出限界径)との相関関係について検討した。

4.低中性子束による中性子ラジオグラフィ技術の開発(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 谷□良一

 [要旨]
-
最大中性子流束1.3×104 n/cm2/secの近大原子炉NR設備で、イメージインテンシファイアとSIT管カメラを組み合わせた装置を用いて実時間中性子画像、および動画像の撮影に成功した。
-
画像の部分統計による分析と評価を行い、撮像系の評価を行った。S/Nに関しては、改善の余地がある。
-2
次元光子計数装置を用いて、静止画像を撮影した。S/Nに関しては、大変優れているが、検出効率に改善の余地がある。

5.パネルディスカッションの提言を受けて(会員ページ )

神戸大学 小野厚夫

 ディスカッションの集約(抄)
パネルディスカッションで出たいろいろな発言については、藤代委員長が集約しておられるので、そのメモを次に引用する。
1.
テクニカルな問題
1.1
可搬型中性子線源の開発
現状では小型の加速器、252Cfなどが用いられているが、強度が不足しており、実用器として出力が1〜2桁高い、可搬型の中性子線源が必要である。
1.2
高感度面像検出技法の開発
高感度フィルム、高感度シンチレ一夕一、画像処理法、イメ一ジングプレ一ト等の開発と実用化が必要である。
2.
設備機器の問題
2.1
センターの設立
基礎研究、実用試験に自由に利用できる設備がほしい。原子炉または加速器を備えた、公立または第3セク夕一のNRGセンターの設立が望まれる。
2.2
施設の遊休時間の活用
独立した、強力なNRT施設の確保は困難と思われるので、例えば放射能消滅処理施設や放射光施設などへのぶらさがりを検討してみてはどうか。
3.
規格化の問題
3.1 JIS- ISO

日本ではNRTの規格化はまだ進んでいない。実用化には必ず一定の規格が必要で、規格制定に向けJNDI協会へ働きかけをする必要がある。
3.2 Must
技術としての確立
Must
技術とするためには、ニーズと基礎デ一夕が必要であり、さらにその技術を裏付ける法律が必要である。そのために国家機関へ働きかけをする必要がある。

6.中性子ラジオグラフィによる3次元ボィド率分布と液体金属流れの可視化(会員ページ )

神戸大学工学部 竹中信幸

 Thermal hydraulics studies are important for the safety considerations of  nuclear reactors. Two-phase flow in a rod bundle is especially important for the safety considerations of water cooled nuclear reactors.

7. 2次元光子計数装置を利用した超高感度中性子ラジオグラフィ(会員ページ )

大阪府立大学先端科学研究所 谷□良一

 高感度撮像装置として、近年注目されている、2次元光子計数撮像システム(P1AS-TI、浜松ホトニクス社製)を中性子画像化装置として検討した。
この装置の検出部は、低雑音の光電陰極とMCP (マイクロチャンネルプレート)で構成されている。
MCP
に入射した光電子は増幅され、ビーム状の電子として陽極に入射する。陽極は、半導体の2次元(X-Y)位置検出器で構成されており、ここでビーム位置を検出する。
このように、光子を11個を数え、その位置を測定することができる。
また、データの処理と蓄積によって、画像化することもできる。
感度は従来の超高感度フィルム、超高感度テレビカメラの数千倍に相当すると言われている。

8.数学的モルフォロジーによるCCD画像の星状雑音の除去(会員ページ )

神戸大学大学院自然科学研究科 木村康哲

 冷却CCDカメラは、低暗電流特性や広いダイナミックレンジ、線形特性の良さ等の理由から画像計測の多くの分野で用いられており、最近では中性子ラジオグラフイにおいてもフイルムの代替として利用されつつある。
ところで、CCD素子は、放射線(中性子線.エックス線.ガンマ線等)の影響を受けやすく放射線に起因する突発性(星状)雑音が画像上に形成される。
一般に、こうした突発性雑音の除去は、順序統計フイルタ(中央値フイルタ、最小値フイルタ)で除去することが多いが、最小値フイルタは雑音以外の急峻なエッジ部分に対しても平滑化を行うために細部を保存することができない。
また、中央値フイルタではフイルタ領域の半分以上を突発性雑音が占める場合はその雑音を除去しきれない。
除去するためにはフイルタ領域を拡大する必要があるが、その結果として演算量が増大し、平滑化が広い領域に及ぶ。

  

21回 中性子ラジオグラフィ利用技術研究会   

 平成6年度

0.まえがき(会員ページ )

委員長 藤代正敏

1.高速中性子テレビジョン用蛍光コンバータ(会員ページ )

東京大学 原子カエ字研究施設 吉井康司

 平成23月に開催された第11回本研究会で、CR39を用いたトラックエッチ法による撮影方法の応用結果を示し、以前より他の実験者が取得した画像と比較して、より高画質像が得られたことを示した。
しかし、CR39を利用した高速中性子ラジオグラフイ(FNR)において、画像を得るまでにかなりの時間が必要である。「弥生」での撮影時間として2時間、エッチングに約3時間かかり、その後、乾燥と転写および焼付けなどにより約1日後に画像が得られるのが普通である。
よって、短時間に画像を取得する目的で、世界的にも例がない高速中性子を光信号に変換する蛍光コンバータを(株)アスクとの共同研究により開発した。
それを用いての高速中性子テレビジョン法(FNR-TV)を構築し、テレビジョン撮影に成功した。

2.工業用X線フイルムの現状と展望(会員ページ )

富士写真フィルム株式会社産業材料部 伊庭功明

 放射線透過試験は非破壊検査の中で重要な検査方法で、富士工業用X線フイルムは、検査に要求される高品質、スピード化を満足するような特性を備えています。
フイルムにはノンスクリーンタイプIX-25, IX-50,IX-80IX-100,IX- 150、スクリーンタイプIX-400,X線用IX-FR7種類があり、それぞれのフイルムは感度、コントラスト、鮮鋭度、粒状性など優れた性能を持ち、被写体の材質、厚さ、使用目的に応じ選択できるようになっています。

3.パネルデイスカツション(その1) 『産業界からみた中性子ラジオグラフィのあり方と将来展望』 -(会員ページ )

座長 神戸大学国際文化学部 小野厚夫、パネラー 産業界代表6

 この研究会はNRTの利用技術の研究を通じて、産業界へ普及させたいとの目標で始められた。
今迄に、NRTの利用は種々考案され、利用技術の改良・開発が行なわれてきた。
しかし、現状ではNRTを産業界で積極的に利用しようという機運に恵まれず、研究会は発足当初の意気込みとは裏腹に、次第に沈滞傾向が目立ってきた。
そこで、NRTの研究会を活性化するためには、何といっても産業界で大々的に利用していただくことが先決であると考え、「普及しない理由は何か」「利用面は本当に無いのか」「費用が高価であるためか」などについて、産業界がどのように考えておられるかを話していただこうということで、本日のパネルディス力ッションを開いた次第である。

3a.パネルデイスカツション(その1)資料a CORROSION(腐食)NRT(中性子ラジオグラフィ)(会員ページ )

全日空整備(株)大久保利夫

 航空機整備の中でDOCK整備に於ける不具合の大半は、構造に発生するCRACK(割れ)及びCORROSION(腐食)である。
CRACK
の発生は、航空機製造時に行う疲労試験で事前に予測出来、又X-RAY等非破壊検査で検査可能であるが、CORROSIONの発生は、材料,環境,飛行回数,防食処置等の違いにより相違し、事前予測は出来ない。
更に現行の非破壊検査装置では検査不可能である。
従って、"NRT"によるCORROSIN検査法が確立されれば、航空機整備が効率的に行える。

3b.パネルデイスカツション資料(その1)資料b−航空機宇宙分野での中性子ラジオグラフィ (会員ページ )

三菱重工業竃シ古屋航空宇宙システム製作所 安井富雄

 航空宇宙機器分野では材料・加工プロセスの高度化、複雑多様化にともない各種の非破壊検査(Nondestructive Inspection:以下NDIと称す)法を適用して部品や材料、機体構造部位等の健全性を評価している。
航空機におけるNDIの適用段階としては、材料・部品の製造加工プロセス途上や機体組立等新機製造時の検査とユーザーにおける機体運用中の定期検査の二つに大別される。。
NDI
法として各種の手法が適用されているが、ここでは中性子ラジオグラフィ(Neutron Radiography:以下NRTと称す)のあり方と将来展望について、その一端を述べる。

3c.パネルデイスカツション資料(その1)資料c−宇宙分野から見た中性子ラジオグラフィのあり方と将来展望− (会員ページ )

日産自動車(株)宇宙航空事業部 間庭孝男

 宇宙産業のトレンド
−衛星打ち上げ→宇宙インフラ→宇宙利用
−国際協力と国際競合
−ロケットの大型化/自主開発化/低コスト/バージョン分化

3d.パネルデイスカツション資料(その1)資料d−軽水炉燃料の検査における中性子の利用− (会員ページ )

原子燃料工業(株) 甲斐 洋

検査の目的
軽水炉燃料における濃縮度の多様化(特にBWR燃料)に対応するため、中性子線を利用した非破壊検査法により製品燃料棒内の濃縮度配列等を確認する。
また、IAEAによる査察におぃて、中性子線を利用して燃料集合体中の235Uを検証する。

3e.パネルデイスカツション資料(その1)資料e−荷電粒子放射化分析法(CPAA〉とは− (会員ページ )

住重試験検査梶@中新威男

 荷電粒子放射化分析法(CPAA)は、サイクロトロンで加速した陽子・重陽子、3Heなどの荷電粒子を分析試料に照射して、分析対象の元素を放射化(人工放射性同位元素を生成)する方法を採用しており、この時生成した短寿命同位元素をトレ一スすることにより分析を行います。
そのため、次のような利点があり、酸素o炭素.ホウ素o窒素の軽元素の微量分析に適して おります。
1.
環境からの軽元素による汚染の影響を容易に除去できます。(従来の分析方法、例えばSIMS(二次イオン質量分析法)等では汚染の影響は避けられません)
2.
放射線計測を行うために感度・精度ともに優れた分析結果が得られます。
また、組成の明らかな標準物質と比較するため正確度の高い分析ができ、10億分の1(ppb)台の分析感度が得られます。

3f.パネルデイスカツション資料(その1)資料f−産業界からみた中性子ラジオグラフィのあり方と将来展望− (会員ページ )

非破壊検査株式会社 宮本宏

 中性子ラジオグラフィの適用
中性子ラジオグラフィ技術は、その適用する対象物が極めて限られており、その有用性に反して一般の産業界では殆ど利用されていません。
現状での適用対象物は
@H-IH-n ロケッ卜の火エ品(点火o分離系と指令破壊系)
A原子燃料用として製造時と燃焼後の検査(高速増殖炉、新型転換炉用燃料他)
B航空機ハニカム部材中の水分量、腐食検査(USAF)
Cその他試験研究
となりますが、放射線(X線、ガンマ線)透過試験などに比較すると、その適用範囲が非常に限られたものとなっていることが判ります。

4.中性子よる鋼中水素量の測定(会員ページ )

非破壊検査株式会社技術本部 宮本宏

 石油精製ブラン卜のリアクタ一等では、水素侵食による劣化が起こる。この水素侵食によって鋼中の残留水素量が増加する。
水素侵食による衝?値の低下は、この水素量と密接な閲係があり、鋼中水素量の非破壊的計測によつて劣化の程度が評細出来る可能性がある。
鋼中に残留する水素量をシュミレ-卜した試験片に対し、中性子線を用いて計測し、水素含有量と中性子線計測値に良い相関を得た。

5.中性子ラジオグラフィに関するISOの動向(会員ページ )

大阪府立大学附属研究所 藤代正敏

 中性子ラジオグラフィに関する規格については、国際規格であるIS0はもちろん、我が国のJISでも規格化されていない。世界的にはアメリカのASTM (米国材料試験協会規格)に、僅かながらその片鱗を見るのみである。
一方、前回のパネルディスカッションにも見られるごとく、航空・宇宙機器等では、既にかなりな実績を積み、今後この技術の発展を促進するためにも、JIS (日本工業規格)に規格化されるのが待たれる。
 

6.パネルデイスカツション(その2) 『産業界からみた中性子ラジオグラフィのあり方と将来展望』(会員ページ )

座長 神戸大学国際文化学部 小野厚夫、パネラー 産業界代表6

 「開会にあたり」------委員長 藤代正敏
中性子ラジオグラフィがどうして実用化し普及しないのか、本当にポテンシャルのある技術なのか、それとも研究者の遊びに終ってしまうのか、その辺りのことが本研究会の存在意義にも関わってくる重大な問題である。
従って、本日は忌憚のない意見と建設的な提言を願いたい。