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第36回UV/EB研究会報告(聴講記)

今回は、毎年夏休み中に開催される「みんなのくらしと放射線展」に協賛する形で、その会期初日の8月14日に、同展が開かれた扇町キッズパーク3階のサイエンスサテライト 多目的ホールをお借りして開催した。そのため、講演のタイトルは放射線利用の普及に焦点を合わせたものに主体が置かれ、午前中に前原子力委員の前田肇氏に、「原子力政策におけるエネルギー及び放射線利用について」のタイトルで話して頂き、さらに午後からは()日本原子力研究開発機構の久米民和氏と()高輝度光科学研究センターの堀江一之氏に、それぞれ下記の標題で話して頂いた。

1.原子力政策におけるエネルギー及び放射線利用について(会員ページ)

関西電力(株)顧問・前原子力委員会委員・

前ONSA会長 前田 肇

原子力委員会が平成17年10月に定めた新しい原子力政策大綱について、日本の政策において放射線利用がどのように位置づけられているかに力点をおいて話された。日本の原子力利用を進めるための原子力基本法は50年以上前に制定され、民主自主及び公開の三原則のもと、平和利用に限られている。2004年6月に今後10年程度の間に各省庁が推進する施策の基本的方向性を示す「原子力政策大綱」を策定するため、原子力委員のほか、幅広い分野の方に参加していただく画期的な方法で、42回の会議を開き100時間超の、毎回200〜300人が傍聴する公開による審議をした。その間、国民からの意見募集をし、約3000件の意見が寄せられた。パブリックコメントを得るため、「ご意見を聴く会」を開催するなど国民からの意見を伺う機会を設けた。2005年10月11日に原子力委員会で決定され、同月14日に閣議決定された。今までの長期計画は一度も閣議決定されていない。

大綱では基本目標を定めて現状認識し、五つの取組を決めた。ここでは原子力利用の推進について述べる。原子力利用はエネルギー利用と放射線利用に分けられる。

エネルギー利用(原子力発電)

現状はエネルギーの安定供給と経済性の確保に貢献している。原子力は国内の総発電量の1/3を供給している。二酸化炭素排出量は太陽光、風力と同程度で、二酸化炭素削減の国際義務の達成に寄与し、地球温暖化対策に貢献している。世界的には原子力発電が見直され新増設の動きがある。特に米国では30年間新規のプラント発注がなかったのが再認識され30基以上の建設が計画されている。ロシアでも2015年までに高速増殖炉を含む10基の建設が計画されている。経済発展のすさまじい中国とインドでは電力不足が深刻で、2020年までにいずれも4000万kWhを原子力発電で確保しようとしている。その他今まで原子力発電をしていなかったベトナム、インドネシアなど10ヶ国が建設を計画している。日本では現在55基の原子炉が運転中であり、2基を建設中、11基が計画中である。発電量は4958万kWhでアメリカ、フランスに次いで第3位である。今後の取組としては二酸化炭素排出量を半分以下にすることを目指し、省エネルギー、化石エネルギーの効率的利用に努める。そのためにも原子力発電が2030年以降も総発電電力量の30〜40%という現在の水準かそれ以上の供給割合を維持しなければならない。そのためには既存プラントの寿命40年と言われているが、安全確保を大前提としながら60年に延ばさなければならない。老朽化したプラントは順次、大型炉を中心とした改良型軽水炉で置き換えることとし、効率のよい炉の開発が進められている。

高速増殖炉は研究開発を着実に進め、2050年頃から商業ベースの導入を目指す。そのために実証施設は2025年頃に実現させる。メーカーは護送船団方式でなく、卓越した技術を持ったメーカー(三菱重工業)を中心に開発する。今後、人材を育成・確保する目的で、また、原子力と国民・地域社会の共生をはかるためにさまざまな効果的取り組みをする。

エネルギー利用に関する今後の課題として重要なのは、原子力発電所の稼働率が世界平均で90%であるのに、日本では70%しかない。トラブルや事故に対しては事業者が反省すべき点がある。もうひとつは規制の合理化をやる必要がある。ここ数年はそういう動きがあるが、実際には国の規制が逆に厳しくなり、現地での運用はプラントを動かしにくくしている。さらにマスメディアが原子力に対して厳しく報道するため、国民が不信感を持つようになっている。原子力安全確保システムに対する国民の信頼を得るには事業者、国、マスメディアに大きな責任がある。

中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の被害についていろんな報道がされているが、耐震設計については安全上重要な建屋や放射線防護設備については原子炉の直下に活断層があるものと仮定して、想定される大きな震度に耐えられるよう求められている。具体的には建築基準法で決められた耐震強度の3倍を必要としている。原子炉本体と冷却系には損傷がなく、運転中の原子炉は揺れを感じて自動的に停止し、耐震安全性は確保されていることが証明された。漏れた放射性物質の量はごく微量で自然放射能の1000万分の1以下と無視できるほどであったが、新聞では大きく報道され風評被害が広がった。阪神大震災のあと、安全審査指針の見直しが行われて、各電力会社は活断層の再調査を行い地震に対する安全性を再確認しようとしている。このような災害が起こった場合には、電力会社が説明しても受け入れてもらえず反発されるだけなので、早い段階で国の規制当局がはっきりと安全性を説明すべきである。

放射線利用

放射線は学術、工業、農業、医療、その他の分野で適切な安全管理の下で利用され、社会に大きな効用をもたらしている。利用現場においては、安全確保のあり方について絶えず見直し、今後とも厳格な安全管理体制の下で、効果的で効率的な利用に向けて努力がなされることを期待する。食品照射などでは放射線の怖さを正しく理解していないのでオーバーに怖がるような理解不足を解消していくことが重要である。

放射線利用の市場規模は年とともに増大している。平成9年度の半導体加工分野の実績は5.4兆円で平成15年度には6.3兆円に増加している。平成9年度における農業、医療等を含めた合計は8.6兆円でエネルギー利用の7.3兆円を上回っている。科学技術・学術分野における放射線利用で注目されているのは見る機能と作る機能を併せ持った、量子ビームテクノロジーである。大型放射光施設SPring-8と先端的レーザー技術を扱う関西光科学研究所は既に稼動しており、大強度陽子加速器を持つJ−PARC

(図1)が東海村に建設中である。

工業分野での利用は半導体の製造が多く平成15年度で6.3兆円、ラジアルタイヤの製造で1兆円規模である。最近グラフト重合で導電性を持たせることにより電池用隔膜の製造が行われ、世界で使用されているボタン型電池全てに採用されている。今後有望な利用法として、グラフト重合でイオン伝導性を高めた燃料電池用膜の開発と放射光を用いる高密度ナノ記憶素子などのナノデバイスの開発が有望視されている。放射線を利用している企業は放射線を使っていることを購入者に知らせていないのが現状であるが、今後は堂々と公表して欲しい。

図1 J−PARCの完成予想図

 

医療分野における放射線利用は大きく変わってきた。従来のX線CT装置からPET−CT装置に変わり、がんの診断が容易になった。重粒子線がん治療は平成18年3月末には2600人を超えている。リニアック等の放射線を用いてがん治療をする場合、過剰な被曝で患者が死亡したり、過小な照射で効果がないなどの医療過誤を防ぐためには、他国と比較して少ない状況にある医学物理士の数を増やさなければならない。食品照射については久米先生の講演で紹介されるのでここでは省略するが、多くの国で広く活用されているのに日本では遅れていると指摘された。

環境分野では電子線を用いてダイオキシンの分解除去や窒素酸化物や硫黄酸化物を除去する排煙処理が日本で開発され、中国・ポーランドで実用化されている。資源分野では放射線グラフト重合で、特定の有用金属のみ選択的に捕集できる新しい材料が開発され、海からウランを回収したり、温泉からレアメタルであるバナジウムを捕集できるのであるが、いずれも濃度が薄いため実用化にはいたっていない。国はこれらの技術の高度化を進めるとともに、その実用化に取り組むものを適切に支援していくべきである。

今後の課題としてテロリストがダーティー爆弾に使用できないよう、厳格な安全確保体制をとることと、放射線利用の効用と安全性について正確な理解を広げるために、医・農・工学等の分野が連携し、事業者・国民・研究者間のネットワークを整備して、活発な相互交流活動を進めることが大事である。

2.食品照射 −なぜ今必要か−(会員ページ)

(独)日本原子力研究開発機構

高崎量子応用研究所 久米民和

香辛料の滅菌に放射線を利用することに対して原子力委員会は2006年10月に推進の決定をした。あとは各省庁が食品衛生法及び食品安全基準法と関連する法令の改正を待つ段階に来ている。平成9年度の放射線利用の経済規模8兆6千億円のうち工業利用が85%の7兆3千億円、医学、医療利用が14%の1兆2千億円、農業利用は1%の1167億円でその内、食品照射はじゃがいもの芽止めに使われているだけで19億円と非常に規模が小さい。

食品照射は病原菌や寄生虫の殺滅による食品の衛生化と腐敗菌、食害昆虫の殺滅、発芽防止や熟度調整による食料の損耗防止に役立つ。馬鈴薯、タマネギ、ニンニクなどの発芽防止には0.15kGy以下の線量でよく、穀類、果実、豚肉(寄生虫)の殺虫には1kGy以下の線量、冷凍魚介類、肉類、香辛料、乾燥野菜の殺菌には10kGy以下の線量を照射する。

食品照射の利点は、@薬剤を使用しないので、残留毒性の問題がない。A温度上昇がほとんどなく、成分変化が他の処理法に比べて小さいので、スパイスなどの風味の劣化が少ない。Bオゾン層破壊につながるとして2005年から使用が禁止されているメチルブロマイドによる燻蒸処理の代用となる。C包装したままで処理でき、再汚染の心配がない。Dコンベヤで連続的に処理でき、大量の食品を短時間で処理できることにある。

食品照射で問題になるのは照射食品の安全性で、照射食品の健全性(毒性学的安全性、微生物学的安全性、栄養適性)を確認しなければならない。一般の人が最も心配しているのは、放射線をあてると放射化して放射能を持つのではという疑問であるが、食品照射に用いる放射線について最高エネルギーが決められていて、誘導放射能を生成しない条件を用いているので安全である。健全性を確認するための試験はその他に、毒性物質生成の有無、発ガン性物質生成の有無、栄養価の破壊の程度、子孫に及ぼす影響の程度、生残微生物の有害性の有無がある。

国際的には1980年のFAO/IAEA/WHOの合同専門委員会で「総平均線量10kGy以下で照射された食品の毒性学的な危険性は全く認められない」と結論している。1983年のFAO/WHO合同のコーデックス委員会で「10kGy以下の照射食品についての一般規格」を採択された。また2003年のコーデックス委員会で「技術的必要性があれば10ky以上の照射を認める」との規格を採択している。ただし、10kGyを超えると費用もかさむし、成分変化も増えてくるので、闇雲に10kGy以上の照射を薦めているわけではない。

日本でも1967-1983年にかけて7品目について食品照射特定総合研究が実施された。馬鈴薯とタマネギについては発芽防止、米と小麦については殺虫、ウィンナソーセージと水産練り製品については殺菌、みかんについては電子線照射による表面殺菌に関する研究で、7品目全てにおいて良好な照射効果が得られ、健全性に有意な影響は見られないと結論された。

食品衛生法はまず食品に対する照射を禁止し、安全性の確認されたものから順に許可品目を増やす予定であった。1972年に食品衛生法における馬鈴薯照射の禁止が解除され、日本原子力研究所の設計により士幌馬鈴薯照射施設ができ、現在も運転中である。続いてタマネギも許可されるはずだったが、消費者団体の反対運動もあり、品種改良によって芽のでにくいタマネギが開発されたことによって禁止解除が見送られた。そのまま現在に至っている。その間、諸外国における食品照射の普及は目覚しいものがある。なかでも香辛料の殺菌においては耐熱性芽胞菌も殺菌できるため、おおむね10kGyまでの照射で検出限界以下に菌数を低減でき、色調・香り成分などの変化は極めて少ない。

食品が照射されたことを検知する方法は化学分析法、ESR法、ルミネッセンス法、微生物測定法、DNA法などがあり、コーデックス標準分析法で決められている。日本では照射食品の検知法に関する公定法が制定されていないが厚労省は各検疫所にTL法による検知を通達した。この方法は香辛料、エビ、貝類、果実、乾燥野菜・果実、馬鈴薯の検知に有効な方法である。

香辛料の照射を許可しているのは46ヵ国であるが、実用化国は29ヵ国である。処理量の推移を図2に示す。

図2 世界の香辛料処理量

 

2000年以降の中国の照射量の伸びはものすごく、年間14万トンを照射している。2位は米国で8.9万トン、日本は馬鈴薯のみで8千トンで世界全体では約

30万トンを照射している。米国では、毎年、サルモネラ菌による発症例が4万件あり、1千人が死亡と推定され、腸管出血性大腸菌O157は7万3千人が感染しているので、卵や肉類が照射済みの表示つきで市販されている。

タイでは発酵ソーセージを殺虫の目的で照射しているほか、植物検疫にうるさい米国へ特産の熱帯果実(マンゴスチン、マンゴー、ランブータン、ライチなど)を輸出するため照射されている。

農業生産性の向上は限界に近いので、急激な人口増加に伴う食糧確保は困難である。世界の食糧生産の1/4〜1/2が収穫後に虫による食害や腐敗で損失しているのを止めればよいのだが、薬剤処理法は、健康、環境への影響が問題になるので放射線照射が今後も増えていくであろう。

6月はじめに、健康食品用素材の輸入大豆製品原料にガンマ線照射の疑いがあるとして、商品を自主回収した。これは米国の会社が殺菌を目的として、WHOが安全としている範囲内で照射した製品を誤って日本企業に送付した可能性があるとの報告に基づいて自主回収したものである。一部の新聞では「現時点では体調不良などの報告はないという」との記述が見られたが、許可されていない照射食品を輸入した法律上の問題であり、安全性の問題とは明確に区別する必要があると述べられた。

 

3.大型放射光でみる有機材料の世界と産業利用(会員ページ)

()高輝度光科学研究センターおよび阪大産研  堀江一之

放射光は光速ちかく(99.9999998%)まで加速した高エネルギーの電子が磁場で進行方向を曲げられた時、接線方向に発生する電磁波である。SPring−8では線型加速器で加速した電子をシンクロトロンでさらに加速し、これを蓄積リングに導いている。蓄積リングは1周1.4kmでビームラインが64本設計されている。その内の1本は1kmの長尺ラインである。現在は47本が利用可能で今年中にさらに5本が利用可能になる。高輝度にするために普通の偏向電磁石でなく、アンジュレーターと呼ばれる波形に並んだ組合せ磁石を用いることにより、103から10倍の輝度を得ている。この輝度は医療用のレントゲン光の10倍も明るい。またエネルギーの強い硬X線を発生する。

ビームラインは共用が26本ある。他に専用と理研専用のものがある。供用開始されて以来、実施課題数と利用者は右肩上がりに増加している。平成17年10月現在実施課題数は共用で6493件、専用で1531件であり、利用者数は共用で41156人、専用で12359人である。利用は1シフト8時間で、昼夜休まず運転しているので、3〜6シフトで測定が完了する。2005年前期における共同利用課題の機関別内わけは国公立大学で53%、私立大学で7%、国立研究機関等が10%、民間(産業利用)は13%であった。2005年後期にSPring−8戦略活用プログラムの導入により、測定とデータ解析を手伝ってくれる応援スタッフが2名から増員されて4名になった。この影響か現在の民間利用は25%に増えている。

X線による分析・評価技術にはX線イメージング、X線結晶構造解析、蛍光X線分析、X線光電子分光、X線反射率測定、X線吸収分析がある。SPring−8の放射光を利用すると光源が高強度(明るい)なので高感度測定できるため、微量測定が出来るし、高速測定できるため、時分割の経時変化データが取れる。高指向性(平行性が高い)であるためマイクロメーターの微小領域測定や高角度分解能測定が可能になり、表面の測定ができる。高エネルギーであるため、深部測定や重元素内殻励起ができる。エネルギー可変であるため最適なエネルギーを選択できるし、X線分光ができるのが特徴である。

例えばYb.7560のX線回折データをとるのに、 Mo KαのX線管を使った場合16時間の測定でシグナルが判別できる程度であるが、SPring−8では10分の測定でシャープな回折データが得られる。蛋白質や酵素の構造解析にも多く利用され、その成果がScience, Nature, Cellなどの一流論文誌の表紙を飾っている。ナノマテリアルの構造解析にも利用され、金属フラーレンを作った場合、金属がフラーレンの籠の外にあるか、あるいは内包されているかを調べたところ内包されているが、金属の安定位置は炭素ケージの中心ではなく、金属原子から炭素ケージへ電子が移動していることがわかった。ナノチューブに有機分子が入った構造も2004年に解明され、新しいナノチューブエレクトロニクスの展開が期待される。

ヘアケア製品の機能評価についても、細い毛髪のX線回折による精密構造解析、撮像を行うことによって、イメージングをすると使用の有無による違いがはっきり分かる。

有機デバイスにおいて重要な機能を担う部分は薄膜であり、薄膜に適した分析・評価技術として放射光が優れている。結晶構造や配向の測定には微小角入射X線回折が利用でき、密度のゆらぎには微小角入射X線小角散乱が、膜密度や膜厚の測定にはX線反射率が、表面や界面形態測定には散漫散乱が、化学状態はX線光電子分光(XPS)やX線吸収分光(XAFS)が利用できる。微小角入射X線散乱(回折)は試料表面にごく小さい角度でX線を入射し、試料深部へのX線の侵入を抑制して、表面(界面)薄膜からの散乱を感度良く測定できる。

実施例としてポリイミド系の液晶配向膜と液晶の配向性を紹介していただいた。従来の研究では配向膜をラビングすることによって配向膜の分子配向がよくなり、液晶の配向度がよくなると考えられていた。そのため柔軟な構造を持つポリイミドがラビングによって配向しやすいため、液晶配向性がよくなると期待されたが、実際には悪くなった。液晶配向性とポリイミドの構造から予想される結晶性とに相関関係があることを確認できた。ポリイミドをラビングした後、微小角入射X線回折を行うとラビング方向に対して平行・垂直方向の結晶性を調べることができる。その結果配向膜の表面結晶性と液晶配向性との相関が明らかとなった。分子配向度と液晶配向性には単純な相関はなかった。実際の工程では熱処理(150℃)があり、熱処理することによって表面の分子配向度が大きく変化して秩序向上がおき、結晶性が高くなるため液晶の配向が高くなることを確認した。

X線反射率の測定をすると表面で反射するX線と界面で反射するX線が干渉して振動波が得られる。振動周期から膜厚が、振幅から密度が、振動減衰から膜の粗さが分かる(図3)。超微細加工レジストに酸発生剤が入っているが、均一に分布しているのではなく、表面部と界面部がやや濃度の高い3層になっていることも分かった。

図3 X線反射率測定

 

兵庫県立大学高度産業科学研究所に設置されているNew SUBARUを利用すると、リソグラフィー、電鋳および成形の3つの技術を統合したプロセスを介して3次元構造体を作れることについても説明して頂いた。「機能材料」にSPring−8の産業利用について連載しているので是非参考にしてくださいとのことであった。

(阿部記)


 

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