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第一部 講演会 (13:30−17:15)
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第66回 放射線科学研究会概要
平成30年7月17日 (火)住友クラブ
1. 超伝導薄膜へのイオン照射効果(50分)
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関西学院大学理工学部 先進エネルギーナノ工学科 尾崎 壽紀
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エネルギー機能性材料である超伝導体は低炭素社会を実現する省エネ・蓄エネ材料の中核となりうる。イオン照射技術を用いて超伝導体内に欠陥を導入することで、より多くのゼロ抵抗電流を流すことができる。本講演では、銅酸化物系(YBa2Cu3Oy)及び鉄系(FeSe0.5Te0.5)超伝導薄膜に比較的低いエネルギー(数MeV以下)でイオン照射をすることで形成された欠陥と超伝導特性との関係について詳しく紹介する。
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2.放射光X線による選択的な電子励起−その物質・材料科学への応用− (50分)
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日本原子力研究開発機構 馬場 祐治
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X線を物質に照射すると、他の放射線と同様、イオン化や電子励起が起こる。しかし放射光X線には、他の放射線にはない特徴がある。それは内殻軌道の電子を「選択的に励起」できることである。これにより、物質内の「特定の元素」、「特定の結合」、「特定の向き」だけを選択的に電子励起できる。講演では、簡単な分子結晶から有機分子、生体分子などについて、選択的な電子励起を使った化学反応や構造解析の研究例を紹介する。
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3.Hsp90 阻害剤と放射線の併用療法の可能性(50分)
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量子科学技術研究開発機構・放射線医学総合研究所 岡安 隆一
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様々なHsp90阻害剤と放射線の併用療法研究の結果、比較的毒性の少ないTAS-116という化合物に遭遇した。TAS-116とX線、さらに重粒子線との併用実験の結果、幾つかのがん細胞において顕著な放射線増感が観測され、その主原因はDNA二重鎖切断修復の阻害にあることを確認した。この増感現象は正常細胞との併用では観察されなかった。今回はin vivoでの検証も含め、Hsp90阻害剤と放射線併用療法のポテンシャルを議論したい。
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4. 高強度低速陽電子ビームライン開発と材料研究への応用(50分)
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京都大学複合原子力科学研究所 木野村 淳
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陽電子消滅分光は材料中の空孔型欠陥を検出できるユニークな計測方法として知られている。加速器や原子炉を陽電子線源とするエネルギー可変の高強度陽電子ビームを用いることで、薄膜中や材料表層付近に局在する空孔型欠陥の検出が短時間でできる。さらに、深さ依存性を持つ材料の測定にとどまらず、同方法をその場分析に利用することで、イオンビーム照射下の欠陥状態など、空孔型欠陥の過渡変化観測などへの発展が可能である。
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第二部 技術交流会 (17:30−19:00)
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