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第48回 放射線科学研究会 (終了しました)  

<エキゾチックビームシリーズ(10)>  

  量子線と呼ばれるビームには色々な種類があり、物質との相互作用も多様で、その照射効果はエネルギーや照射条件に よって様々です。エキゾチックビームシリーズでは、斯様なビームの物質に対する照射効果とその応用について、専門の研究者 の方に最新の話題を提供していただきます。

 

 

主    催:

(社)大阪ニュークリアサイエンス協会
日    時: 平成24年7月13日(金)  13:30〜19:00
場    所: 住友クラブ
大阪市西区江戸堀1-13-10  Tel:06-6443-1986 
 地下鉄四つ橋線肥後橋駅下車 A出口よりすぐ【アクセス地図】
第一部 参加費: 企業 5,000円
協会会員、大学・公設機関 1,000円
放射線科学研究会会員、学生、一般市民は無料
第二部 参加費: 3,500円
  参加を希望される方は、研究会の名前、住所、氏名、所属と第一部・第二部参加の有無を記入してまでメールでお申し込み下さい。

 

 
 
第一部 講演会 (13:30−17:15) 

1.アモルファス金属への粒子線照射によるナノ構造•特性変化 (50分)

  大阪府立大学大学院工学研究科 物質・化学系専攻 准教授  堀 史説

  アモルファス金属は結晶性を持たない物質で非平衡に作成されるため、外部からのエネルギー付与による状態変化は結晶材料とは異なり様々な変化が起こり得る。さらに局所的に高エネルギーを付与できる粒子線照射を用いると、照射条件によっては正反対の性質の変化が現れることなどが解ってきた。このような特異性を利用して、種々の照射条件から結晶材料では得られない新しい改質材料の開発の可能性などについて紹介する。
 
2.高速重イオン照射によるナノ粒子の形状・特性制御 (50分)

(独)物質・材料研究機構 量子ビームユニット 主席研究員  雨倉 宏

  エネルギーが10−1000 MeVと極めて高い重イオンビーム(高速重イオンと呼ばれる)をガラス中に分散した球形の金属ナノ粒子に照射すると、ビームと同方向にナノ粒子が伸び、球形から楕円ナノ粒子そしてナノロッドへと変わる現象が報告されている。本講演では、現時点で提案されている変形メカニズムとその基礎を解説したのちに、我々の偏光分光法などの実験結果とモデルの適合性について論じる。
 
3.コンプトン散乱を用いた電子状態研究 (50分)       

(公財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 副主幹研究員  伊藤 真義

  X線の散乱現象としてコンプトン散乱はよく知られているが、それが物性研究に使われていることはあまり知られていない。クライン・仁科の公式では、電子は静止しているとして導かれているが、実際には電子は運動しておりドップラー効果として散乱X線に電子運動量の情報を与える。また、入射X線が円偏光している場合は、 電子スピンの向きによって散乱断面積が変化する。講演ではコンプトン散乱を利用した電子状態研究、磁性研究例を紹介する。
 
4.クラスターイオン照射に対する固体の応答  (50分)

(独)日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所 研究主幹 鳴海 一雅

  複数の原子が結合しイオン化した分子/クラスターイオンを固体に照射した場合、固体内で時間・空間的に非常に近接した原子衝突が起こる。その結果、単原子イオンの場合とは異なる照射効果(クラスター効果)が観測される。講演では、固体内原子衝突に由来する種々の現象について、MeV領域の炭素クラスターイオン、keV領域のC60イオンを固体に照射した場合に観測されたクラスター効果を紹介し、その起源について議論する。
 
第二部 技術交流会 (17:30−19:00)