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第47回 放射線科学研究会  

  福島第一原子力発電所の事故から1年を過ぎましたが、津波によるがれきの処理がはかどらないということです。 全国的にがれき処理のお手伝いができれば被災地の復興もできるのではないかと考えています。
 今回は、放射性セシウムの環境動態、エネルギー弁別型X線装置、低線量放射線の健康影響や、京都でユニークな活動をされている 体質研究会ご紹介いただきます。

 

 

主    催:

(社)大阪ニュークリアサイエンス協会
日    時: 平成24年4月20日(金)  13:30〜19:00
場    所: 住友クラブ
大阪市西区江戸堀1-13-10  Tel:06-6443-1986 
 地下鉄四つ橋線肥後橋駅下車 A出口よりすぐ【アクセス地図】
第一部 参加費: 企業 5,000円
協会会員、大学・公設機関 1,000円
放射線科学研究会会員、学生、一般市民は無料
第二部 参加費: 3,500円
  参加を希望される方は、研究会の名前、住所、氏名、所属と第一部・第二部参加の有無を記入してまでメールでお申し込み下さい。

 

 
 
第一部 講演会 (13:30−17:15) 

1.放射性セシウムの地水圏環境での動態と関西地域でできる東北支援 (50分)

  京都大学原子炉実験所原子力基礎工学研究部門 准教授 藤川 陽子

  放射性物質の環境動態や廃水・固体放射性廃棄物の処理処分に関する研究において、放射性のヨウ素・セシウムはもっともよく研究されてきた核種に属する。これは、発電用原子炉等からの高レベル放射性廃棄物の最終処分の安全評価では、長半減期の放射性同位体であるI-129, Cs-135が重要核種として問題になるためである。本講演では、Cs-137の地水圏環境における動態解明研究の結果等を紹介し、放射性セシウムの特性をふまえて、関西地域が行える東北支援のあり方について聴講者の方々と共に考えたい。
 
2.エネルギー弁別型X線装置 〜X線でのエネルギースペクトルの検出と活用 (50分)

静岡大学電子工学研究所 准教授  株式会社ANSeeN 取締役最高技術責任者 青木 徹

  これまでX線のエネルギー情報は先端物理の世界で使われてきました。今回は、半導体検出器の高性能化と信号のフルデジタル処理でダイナミックレンジを大幅に拡大し、適用範囲を一気に実用X線撮像機まで拡大したデバイスを紹介します。工業・医療等の実用的な撮像を想定しCT撮像などでの材質識別、高コントラスト画像などを紹介します。また、個人が所有できるレベルの小型の線量計などの新しい展開を併せて紹介します。
 
3.低線量放射線影響の虚像と実像:ニューラルネットワークス統計による解明 (50分)  

京都大学名誉教授 佐々木 正夫

  原爆放射線影響は放射線人体影響の定量評価の基礎となっているが、この研究領域は戦後我が国の研究者には封印されてきた。福島原発事故に遭遇し研究者の対応の軸足もぶれ、逆輸入の科学の学術的基盤の瑕疵が浮き彫りとなった。最近、原爆被爆者の追跡調査結果がデータベースとして放射線影響研究所より公開された。ニューラルネットワークス理論の新しい統計法を考案し、原爆被爆者の発がん・非がん影響を解析した結果、低線量影響の実体とその分子生物学的背景が浮き上がってきた。
 
会員サロン (40分)
◇ 体質研究会と放射線                      

(公財)体質研究会・JAPI  中村 清一

  体質研究会は昭和16年に設立されました。しかし、戦後、社会情勢の変化で活動困難な状態に陥っていました。昭和59年、菅原努先生により大改革が行われ、現在、体質研は、ライフスタイルと健康、放射線の健康影響、放射線照射利用の普及 等に関する調査・研究活動を、また、「環境と健康」の発刊、講演会の開催などを行っています。このうち、放射線と関係のある活動(JAPI、高自然放射線地域の健康調査)について紹介します。
 
第二部 技術交流会 (17:30−19:00)