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39回 放射線科学研究会  

 

主    催:

(社)大阪ニュークリアサイエンス協会
日    時: 平成21年7月17日(金)  13:30〜19:00
場    所: 住友クラブ
大阪市西区江戸堀1-13-10  Tel:06-6443-1986 
 地下鉄四つ橋線肥後橋駅下車 A出口よりすぐ【アクセス地図】
第一部 参加費: 企業 5,000円
協会会員、大学・公設機関 1,000円
放射線科学研究会会員、学生、一般市民は無料
第二部 参加費: 3,000円
  参加を希望される方は、研究会の名前、住所、氏名、所属と第一部・第二部参加の有無を記入してまでメールでお申し込み下さい。

 

 
第39回放射線科学研究会は第7回エキゾチックビーム研究会として開催いたします。 
 
  量子線と呼ばれるビームには色々な種類があり、物質との相互作用も多様で、その照射効果はエネルギーや照射条件によって様々です。エキゾチックビームシリーズでは、このようなビームの物質に対する照射効果とその応用について、最新の話題を提供しております。今回はビーム利用に関して3名の方々にご講演頂くとともに、籏野先生には放射線と物質との相互作用という原点にたち返ったテーマでご講演いただきます。専門家だけでなく、学生や一般の皆様のご参加をお待ちしております。
 
第一部 講演会 (13:30−17:30) 

1.非晶質Si薄膜への軟X線照射による表面原子移動及び結晶化 (50分)

      兵庫県立大学大学院工学研究科物質系工学専攻マテリアル・物性部門 教授 松尾 直人

  我々のグループはSOR光、レーザ・プラズマ軟X線(LPX)照射が非晶質半導体薄膜に如何なる現象を与えるかを調べている。本講演においては、@アンジュレータ光源から発生した軟X線を膜厚1nm, 50nmのa-Si膜に照射したときの特性変化、即ち、フォトンによるSi原子の電子励起がトリガーとなり凝集現象を生じる機構、ALPX照射がエキシマ・レーザ・アニール(ELA)によるa-Si薄膜の結晶化に与える効果、即ち、結晶化臨界エネルギー密度を低減する現象、について解説する。
 
2.アクチノイドの化学結合特性の解明とイオン認識化合物の分子設計〜高レベル廃液処理化学への新しいアプローチ (50分)

日本原子力研究開発機構 放射光重元素構造化学研究グループ・グループリーダー・研究主幹 矢板 毅

  96番元素であるCmと窒素を結合部位とする中性有機分子との化学結合特性について、X線吸収/発光/共鳴発光分析法(XAS/XES/RXES)および密度汎関数法を用いる量子科学計算などにより明らかにした。この結果を基に、アクチノイドに選択的なイオン認識化合物の分子設計を行い、新規化合物フェナントロリンアミド(PTA)の創製に成功した。この物質は高レベル廃液中に存在する3価アクチノイドの抽出剤としての性能も高く、原子力発電の廃棄物処分への応用が期待される。本発表では、アクチノイドの化学結合特性から、PTA創製、その原子力バックエンド化学への応用について紹介する。
 
3.誘導加速方式を用いたKEKデジタル加速器の開発と物質・生命科学への応用(50分)       

高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 教授 高山 健

  KEKの既存500MeVブースターシンクロトロンをRFQやDTLの様な大型の入射器を必要としない小型の誘導加速シンクロトロン(デジタル加速器)に改装中である。誘導加速セルを駆動するスイッチング電源のゲート信号を周回するビームの信号を元に作るので原理的には任意のイオンの加速が可能である。低コストの癌治療重イオン加速器、新機能性材料創成、高温高密度物性研究、突然変位を利用した微生物育種等への応用が期待されている。
 
4.放射線と物質との相互作用―基礎研究の現状とその応用・社会との接点― (50分)

日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター・センター長 籏野 嘉彦

  レントゲン、キュリーらによる放射線の発見以降100年間にわたる放射線作用基礎研究をまとめたIAEA国際プロジェクト(1985-1995)への参画、「荷電粒子およびフォトンと物質との相互作用」A.Mozumder, Y.Hatano編、Marcel Dekker, New York(2004)およびその続版(Y. Hatano, Y. Katsumura and A. Mozumder編,Taylor & Francis, Boca Raton(2010))の編集・執筆活動を踏まえて、放射線作用初期過程、基礎過程研究の最近の進歩とその波及効果としての応用・社会との接点に就いて多くの例を挙げて説明する。
 
第二部 技術交流会 (17:30−19:00)