第18回 放射線利用総合シンポジウム (終了しました

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日  時 : 2009年1月19日(月) 10:00〜17:00

場  所 : 大阪大学中之島センター

       (大阪市北区中之島4-3-53 TEL06-6444-2100)

            【アクセス地図】

主  催社団法人大阪ニュークリアサイエンス協会

    大阪府立大学 産学官連携機構 

後援・協賛団体 : こちら

参加費:一般企業 5,000円  

    協会会員、後援・協賛団体 3,000

    大学・公設機関 1,000円   学生・一般市民 無料

交流会費3,000円

◎参加を希望される方は、住所、氏名、所属と懇親会参加の有無を文面に直接記入してまでお申し込み下さい。協賛団体会員の場合はその旨記入願います。受付の返信が無い場合は、お手数ですがTEL/FAX等でご確認下さい。

【講演のタイトルおよび講演者】

1.大強度陽子加速器施設J-PARC

日本原子力研究開発機構J-PARCセンター 大山幸夫

  日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、共同で大強度陽子加速器施設J-PARCを茨城県東海村の原子力機構・原子力科学研究所の敷地内で建設中である。J-PARCは、高エネルギーの陽子を原子核に衝突させて核破砕反応を起こし、その反応生成物として大強度の2次粒子ビームを発生させ、さまざまな2次粒子(中性子、ミュオン、K中間子、ニュートリノなど)を発生させてそれを利用し、基礎科学から産業応用までの幅広い分野の研究を行なう多目的加速器研究施設である。現在、加速器のビーム試験も最終段階にあり、その現状とそこで行われる研究について紹介する。

 

2.JMTRを用いた新たな軽水炉材料・燃料照射研究の展開

日本原子力研究開発機構安全研究センター 鈴木雅秀

  日本原子力機構にある材料試験炉(JMTR)は現在平成23年度の再稼動に向けて改修中であり、この原子炉機器等の更新中に、新たな照射設備の整備も進めている。ここでは軽水炉の構造材料や燃料に関し計画している、原子炉圧力容器鋼の照射脆化、炉内構造物の照射誘起応力腐食割れ、制御棒用ハフニウムの基礎照射特性評価、高燃焼度化に対応した燃料異常過渡試験に関し、研究内容、意義を紹介する。

 

(休 憩・昼 食)

 

月周回衛星「かぐや」搭載の高性能γ線分光計による月資源探査

早稲田大学理工学術院 教授 長谷部信行

 人類が月面に長期滞在する計画が検討されている。人類の活動領域拡大のために、月で必要な物資や燃料を調達し、水や酸素を月で製造する技術など、月資源利用のための技術を確立しなければならない。また先端技術に必要なレアメタルの調達など資源利用の観点からも、月は極めて重要な天体である。その第一段階として、世界に先駆けて月探査衛星「かぐや」が打ち上げられた。今や多くの国が月探査を検討している。「かぐや」にはガンマ線分光計が搭載され、月表層の主要元素などの濃度図を作成し、月の資源利用の観点から重要かつ貴重なデータを提供し続けている。ここでは、最新の観測成果、それと月資源利用との関連について述べる。

 

経済規模から見た放射線利用の動向

日本原子力研究開発機構 久米民和

 放射線が我々の生活にいかに役立っているかを見る手段として、経済規模による評価が試みられている。平成11年に初めて放射線利用の経済規模調査が実施され、その波及効果の大きさが示された。昨年、8年ぶりに再調査が実施され、新しい手法も加味した結果として4兆1,100億円の規模と算出された。これら放射線利用の経済規模調査結果から見た最近の放射線利用の動向を紹介する。
 

(休  憩)

5.最近の医療における放射線利用

 京都医療科学大学 教授 大野和子

 医療分野における放射線診療装置の進歩は目覚ましく、体内の詳細な情報を得ることができる。このため単に病気の有無を判断するだけではなく、治療方針決定や手術精度向上を目的とした放射線検査が主流となっている。また、画像診断装置と放射線治療装置を組み合わせることにより、手術が困難な場所の腫瘍に対しても、安全に放射線治療を行える場合が増えてきた。放射線は私たちの病気の診断治療のために、より一層必要不可欠なものとなっている。
 

線質の異なる放射線による細胞応答(バイスタンダー効果)の違い

放射線医学総合研究所 主任研究員 鈴木雅雄

 原子力エネルギー利用、宇宙空間環境での宇宙船・航空機利用、がんの放射線治療や診断の医学利用等での放射線被曝の問題は、ますます重要な関心事となることが予想されます。この様な放射線環境では様々な種類の放射線の低線量(率)照射の生物影響が想定され、近年直接放射線が当たった細胞のみならず、その周囲に存在している放射線が当たっていない細胞にも同様の生物効果が現れる(バイスタンダー効果)ということが判ってきました。ここでは、線質の異なる放射線(γ線、中性子線、重イオン)を低線量(率)でヒト細胞に照射したときの細胞応答の違いを明らかにした研究成果を報告します。

7.放射線治療、粒子線治療を革新する物理と工学--医学物理士の役割

京都大学名誉教授 丸橋 晃

 1980年代からのX線CTの普及、高精度化とともに照射システムの開発が急速に進展し、それまで不可能であった計画に基づく三(四)次元的な放射線投与とその評価が可能となってきている。この革新は人類の苦痛からの開放と福祉という正の側面からの放射線の潜在的能力の開放を意味する。今後も放射線の能力を真に医療に具現し革新するために、医療要求を理解した物理、工学、数学などの集学的展開を計ることを課題とする医学物理士を育成する土壌の形成が望まれる。

  

  後  援

文部科学省 近畿経済産業局 独立行政法人日本原子力研究開発機構

財団法人大阪科学技術センター 財団法人電子科学研究所

大阪商工会議所 堺商工会議所

 協  賛:

社)日本物理学会 (社)日本化学会 (社)応用物理学会 (社)電気学会

社)日本分析化学会 (社)日本原子力学会 (社)日本医学放射線学会

社)日本非破壊検査協会 (社)日本放射線技術学会 (社)高分子学会

社)日本アイソトープ協会 (社)近畿化学協会 (社)大阪府技術協会

社)日本表面科学会 (財)放射線利用振興協会  (社) 大阪府放射線技師会

日本放射線化学会 日本核医学会 日本保健物理学会 日本接着学会

日本放射光学会 日本バイオマテリアル学会 日本放射線影響学会

日本防菌防黴学会 関西原子力懇談会

●このシンポジウムの開催に当たり(財)中部電力基礎技術研究所より助成金をいただきました。

 

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