第一部 講演会 (13:00−17:15)
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1. (ONSA奨励賞受賞講演)
医療の現場で用いられる放射線〜骨髄移植の前処置における実態と工夫(30分)
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京都大学医学部附属病院 血液内科 新井 康之
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難治性造血器腫瘍(血液がん)の代表格である、急性白血病に対しては、同種造血幹細胞移植(いわゆる骨髄移植)が有効な治療である。その際、腫瘍細胞を根絶させ、ドナー細胞生着のスペースを作出するために、大量抗がん剤に加えて、全身放射線照射(標準12Gy)を組み合わせた「前処置」が用いられる。放射線照射の効果を最も効率よく引き出す前処置を見いだすべく、大規模データベースを用いた研究成果を提示する。
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2.放射線によるがんリスクと動物実験 (50分)
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量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 今岡 達彦
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本講演では、学生や一般市民の聴講者を念頭に、まず、放射線被ばくによるがんリスクについて、専門家の共通認識とされていることや最新知見を説明する。続いて、講演者が所属する研究グループにおける放射線発がん動物実験の成果として、低線量率被ばくのリスク研究や年齢による違いの研究、放射線誘発がんのメカニズムについて紹介したい。
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3.原子力機構における核分裂の実験研究(50分)
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日本原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 西尾 勝久
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核分裂は、原子力エネルギー利用の基礎となる現象である。また、核分裂は超重元素の安定性を支配し、元素の存在限界を決めるとともに、天体での元素合成における"核分裂リサイクル"は元素の存在量に大きく影響を与える。核分裂の理解は、応用と基礎科学の進展に広く資する。ここでは、原子力機構・タンデム加速器(東海)を用いた核分裂の実験研究の最近の成果について報告する。
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4. 量子ビームにより作製する量子センサの形成技術(50分)
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量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所 小野田 忍
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近年、量子センシングと呼ばれる超高感度計測技術が急速に発展している。量子センシング技術は、量子効果を利用して極微小な物理量を計測する技術のことである。我々は、様々な量子ビームを駆使してダイヤモンド中のNV(窒素・空孔)センター等の量子センサの作製手法開発に取り組んできた。発表では、世界的な技術動向にも触れながら、我々の取り組んできた量子ビームによる量子センサ形成技術について紹介する。
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5. ミクロとマクロをつないで原子炉の安全を予測する(50分)
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京都大学エネルギー理工学研究所 森下 和功
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持続可能な社会を実現するには、福島原発事故を経験した現在でもなお、原子力エネルギーの利用は欠かせない。安全の議論はますます重要になる。大きな原子炉の堅牢性は、炉を構成する材料内のナノレベルの現象によって決まる。ナノ現象を理解し、予測し、そして制御することで、巨大な原子炉システムの健全性が保たれる。数値シミュレーションによる照射下材料挙動モデリングの研究を紹介する。
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第二部 技術交流会 (17:30−19:00)
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