第56回 放射線科学研究会

 

主    催:

(一社)大阪ニュークリアサイエンス協会
日    時: 平成27年4月17日(金)  13:30〜19:00
場    所: サンエイビル3F講義室
大阪市中央区南船場3-3-27   
 地下鉄御堂筋線線心斎橋駅下車 A出口より約5分【アクセス地図】
第一部 参加費: 企業 5,000円
協会会員、大学・公設機関 1,000円
放射線科学研究会会員、学生、一般市民は無料
第二部 参加費: 3,500円
  ◎参加を希望される方は、 参加申込みフォームからお申込み下さい。受付の返信が無い場合は、お手数ですが電話/FAX等でご確認下さい。

542-0081 大阪市中央区南船場3丁目3番27号

電話 06-6282-3350  FAX 06-6282-3351

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第一部 講演会 (13:30−17:15) 

1. 日本は脱原発という間違いを正せるか? (50分)

  ジャーナリスト  梶原 誠一

 海外の専門家は「日本はエネルギー資源がないのになぜ原発を停止するのか。電力を何で作るつもりか」と強い疑問を口にする。今、停電が起きていないのは奇跡のような状態で、1日100億円使って石油や2週間しか備蓄できない天然ガスを海外から買い、古い火力発電をフル稼働させているが、こんな綱渡りが続くはずはない。供給途絶リスクは常にあり、原発より深刻な温暖化による異常気象は悪化する一方だ。
 「資源ゼロ国」という重大問題を国民が理解できず、原発事故ばかりを強調してきた政治家、マスコミはいずれ責任を糾弾されよう。これは科学より世論を行動基準にする民主主義の欠点が出ているからである。また政治家が地球科学、エネルギーにあまりに無知であることに起因している。とくに東電事故時に政権を握っていた民主党は、次の選挙を意識して「即原発ゼロ」を打ち出す過ちを犯した。国民に「エネルギー源確保、地球環境保全」を棚上げさせ、「原発怖し」を蔓延させた。
 地球と日本の未来に重大な禍根を残す「反原発」世論の背景に、「1票ほしさに真実を説くことをためらわせる政治制度」があることを忘れてはならない。この間違った風潮を修正するにも、政治家、メディアの役割は大きく、これらの資質改善ができるか否かが課題だ。
 
2.福島第一原発のミュオン散乱法測定 (50分)

(株) 東芝電力システム社 電力・社会システム技術開発センター
電気計装システム開発部 宮寺 晴夫

  東日本大震災で福島第一原発が危機的状況となったのを受け、3.11の翌週にはロスアラモス国立研究所(LANL)でミュオン散乱法を用いた原子炉内状況解明の机上検討が行われ、3月末にプロジェクト計画を日本側に提案した。
 2013年夏に東芝の研究炉(NCA)にて、福島第一の1/10スケールで実証試験を実施したところ、1ヶ月の測定でUO2燃料など炉内構造物を30mmの分解能で画像化することに成功し、20147月に東芝が主導しLANLが参加する形で、国家プロジェクトがスタートした。福島第一での測定は、2015年中を予定している。
 
3.ミバエ類の根絶と、それ以降の南西諸島における新たな放射線不妊化虫放飼法の挑戦 (50分)  

岡山大学大学院環境生命科学研究科 教授  宮竹 貴久

  2013年に沖縄本島の西に位置する久米島から、アリモドキゾウムシという名前のサツマイモ害虫の根絶が達成された。この虫は海外から南西諸島にやってきて、その分布を広げつつある侵入害虫である。南西諸島では1993年に不妊虫放飼法によってウリミバエの根絶が達成されたあと、ゾウムシ類の根絶に向けた取り組みが展開されてきた。ミバエ類とゾウムシ類の根絶に取り組む現状について、本講演では紹介させていただきたい。
 
4. 真空紫外・軟X線光源HiSORで何が出来るか:現状と展望(50分)

広島大学放射光科学研究センター 教授  佐々木 茂美

  低エネルギー電子蓄積リングHiSORVUV・軟X線域の小型放射光源リングであり、直線部に挿入されているアンジュレーターを用いて波長可変で種々の偏光特性をもつ高輝度放射光を発生させることができ、世界最高分解能の光電子分光装置などを用いて最先端の物質科学研究を行っている。講演ではHiSORの現状と、ここで開発された新しい放射光利用計測技術、放射光の新奇な性質、それらの応用可能性について展望する。
 
第二部 技術交流会 (17:30−19:00)