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| 1.室内中のアスベスト繊維 1)対象室内の概要 室内アスベスト繊維の測定対象とした建築物は,昭和49年に建築され,ポイラー室(平面積172m2),空調機室(平面積45m2)および機械室(平面積30m2)の壁にアスベストが内装材として吹き付けられていた。吹き付けられていた内装材の状態は,ボイラー室では吹き付け材の一部が剥がれ落ち,それ以外の部分も剥がれやすくなっていた。空調室では,ポイラー室ほどではないが剥がれやすい状態にあった。これに対して,機械室では,吹き付け材の剥離は認められなかった。 2)アスベスト繊維の捕集 アスベスト繊維の捕集は,ポイラー室,空調機室および機械室の3室と同一建築物内で内装材としてアスベストを全く使用していない1室を対象に行った。なお,試料の捕集時には,空調機類は作動しておらず,室内空気の流れもほとんどなかった。 アスペスト繊維の捕集方法,捕集時問および捕集空気量は,作業環境測定ガイドブックに示す方法44)に準じた。すなわち,労研サンプラーのオープンフェイス型ホルダー(有効径35mm)にメンブレンフィルター(Millipore AA,0.8μm 47mmφ)を装着し,フィルターの捕集面を床面に対して垂直に,1.5mの高さに保持し,捕集時間は60min,捕集空気は1l/minとして行った。この際に,室内の中央に2台の労研サンプラーを捕集面が正反対になるように設置し,アスベスト繊維を同時捕集した。アスベスト繊維を捕集したメンブレンフィルターは,ピンセットで蓋付きシャーレに移し,密閉容中に保存した。 3)標本の作成 位相差顕微鏡用の標本は,アスベスト繊維の捕集後,密閉容器中に保存していたメンブレンフィルターを2等分し,その一方をスライドグラスの上に乗せ,日本石綿協会のアセントンートリアセチン法45)によりメンブレンフィルターを透明化して作成した。 4)位相差顕微鏡法によるアスベスト繊維の計測 アスベスト繊維の計測には,接眼鏡の中にアイピースグレイテクル(倍率400倍で0.25mmX0.25mm)を入れた倍率400倍の位相差顕微鏡(10×40倍,オリンパス光学工業叶サBHI)を用いた。計測は,アイピースグレイテイクルの方眼の大きさを尺度とし,繊雑の長さ5μm以上で長さと幅の比が3:1以上の繊維を対象に行った。繊維数の算出は次式 44)より求め,計測は標本全体(フィルターの1/2)を検眼する意味から2500視野について実施した。 繊維数(f/l)=A・N/a・V・n ただし,A:フィルターの有効捕集面積(962mm2),N:計測した繊維数(個),a:視野面積(0.0625m2),V:採気量(60l),n:計測した視野数(2500)とする。 5)X線解析法による室内吹き付け材のアスベスト種類の同定 吹き付け材に使用されていたアスベストの種類を同定するために,ポイラー室,空調機室および機械室から,それぞれ吹き付け材を500g採取した。アスベスト種類の同定には,X線回析装置(日本電気叶サJDX‐8030型)を用い,その測定条件はTable1に示した。同定のための前処理は,まずポイラー室,空調機室および機械室から,それぞれ採取した吹き付け材を,1室ごとに乳鉢を用いて混合・均一化させた。つぎに,混合・均一化ざせた試料約5gを100mlビーカーに入れ,これに純水50mlを加え攪拌して放置した。これを減圧口過器に装着したメンブレンフィルター(Millipore AA,0.8μm 47mmφ)により吸引口過し,純水で十分洗浄した。この吸引口過したメンブレンフィルターを,乾燥機により110℃で乾燥させたのちメノー乳鉢で粉砕し(約100メッシュ),これをX線回析試料とした。同定のために用いたアモサイトの標準物質は,南アフリカ共和国産のものを用い,前処理は採取試料と同様に行った。 |
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