第57回 ONSA放射線科学研究会

<エキゾチックビームシリーズ(13)>  

 量子線と呼ばれるビームには色々な種類があり、物質との相互作用も多様で、その照射効果はエネルギーや射条件によって様々です。エキゾチックビームシリーズでは、斯様なビームの物質に対する照射効果とその応用について、専門の研究者の方に最新の話題を提供していただきます。

 

主    催:

(一社)大阪ニュークリアサイエンス協会
日    時: 平成27年7月17日(金)  13:30〜17:30
場    所: 住友クラブ
大阪市西区江戸堀1-13-10  Tel:06-6443-1986 
 地下鉄四つ橋線肥後橋駅下車 A出口よりすぐ【アクセス地図】
第一部 参加費: 企業 5,000円
協会会員、大学・公設機関 1,000円
放射線科学研究会会員、学生、一般市民は無料
第二部 参加費: 3,500円
  ◎参加を希望される方は、 参加申込みフォームからお申込み下さい。受付の返信が無い場合は、お手数ですがTEL/FAX等でご確認下さい。

 

 
 
第一部 講演会 (13:30−17:30) 

1. ナノクラスターイオンの生成とビーム応用(50分)

  京都大学大学院工学研究科附属光・電子理工学教育研究センター 教授  高岡 義寛

 様々な方法で、固体、液体、気体材料からクラスターを生成し、クラスターの構造解析やサイズ分析を行うと共に、そのビーム応用について永年、研究を行ってきた。その中から、従来のイオンビーム技術の限界を打破する材料プロセス技術として、国内外で広く注目されているナノクラスターイオンビームの魅力について紹介する。
 
2.シース、プラズマから固体への輸送を支配する境界層(50分)

大阪府立大学大学院工学研究科量子放射線系専攻 准教授  松浦 寛人

  プラズマは気体より高いエネルギー状態にあり、内部での反応のみならず、これに接する固体表面の改質作用の応用が長年にわたって進められてきた。プラズマの巨視的電気的中性を保持するため、プラズマに接する固体表面はシースと呼ばれる薄い電気的境界層で覆われ、プラズマからの粒子や熱の輸送を支配している。本講演では、様々なプラズマからの熱流束計測を通して明らかにされた、シースを支配する基礎過程について概説する。
 
3.イオン・プラズマ照射材料の光触媒への応用(50分)  

大阪市立大学複合先端研究機構 教授 吉田 朋子

 Heプラズマをタングステン表面に照射すると樹枝状のナノ構造が自発的に形成されることがプラズマ・核融合分野におけるダイバータ実験において発見された。この樹枝状ナノタングステン表面を酸化した材料を光触媒に応用したところ、紫外から近赤外に渡る広帯域の光に応答し、有機物分解反応を進行させることを見出した。本研究では、材料表面酸化状態と分解活性との関係を調べ、活性サイトや反応機構について探究した。
 
4. 空間電荷効果が支配的な荷電粒子ビーム物理工学とその応用(50分)

長岡技術科学大学原子力システム安全工学専攻 准教授 菊池 崇志

  粒子加速器によって生成される荷電粒子ビームは、素粒子・原子核物理から工業・産業分野へと幅広く利用されている。例えば、次世代のエネルギー源として期待される核融合発電の一つの手法である重イオンビームを用いた慣性閉じ込め方式では、kA級の大電流ビームが要求される。このような密度の高い粒子ビームでは、ビーム粒子間の相互作用が強く起こり、空間電荷効果が支配的な挙動を示す状態となる。このようなエキゾチックな荷電粒子ビームの物理・工学およびその応用例について紹介する。
 
第二部 技術交流会 (17:30−19:00)