第31回みんなのくらしと放射線展
第3回ハイスクール放射線サマークラス 報告
平成26年8月10日開催予定が台風接近で中止となった「みんなのくらしと放射線展」のメインイベントの標記サマークラス・高校対抗プレゼンテーション大会が9月28日(日)午後に大阪科学技術センター401室にて行われた。8月の段階では9校が参加する予定であったが、今回は日程的に1校の都合が悪く、8校が参加した。今回の課題はあまり絞らずに「放射線について、調べたこと、考えたこと、伝えたいこと」であった。
参加校と発表題目を発表順に示す。参加校の後の数字は今回を含む参加回数を示す。
1. 私立奈良学園高等学校(3)
福島における放射線をとりまく現況について−内部被曝と外部被曝そして人々の心−
2.大阪府立泉北高等学校(2)
宇宙線とは何か−レッドスプライトの謎にせまる−
3.福井県立若狭高等学校(1)
放射線地図を描く
4.奈良県立奈良朱雀高等学校(2)
放射線の性質と管理
5.大阪府立高津高等学校(1)
放射線の遮蔽について
6.京都府立桃山高等学校(2)
放射線を利用して巨椋池干拓地を探る
7.私立光華高等学校(1)
自然放射線と私たちの生活
8.京都府立鴨沂高等学校(2)
埋蔵文化財発掘調査現場での放射線測定
なお、日程の変更により、今回参加出来なかった大阪府立生野高等学校の「PIXE分析」は会場でのDVDによる参加となり、審査の対象からは除外された。
写真1 会場風景
常連校の発表では過去の蓄積を踏まえて、レベルも高く発表態度も慣れているという印象を受けたが、公立高と私立校では活動範囲の制約などに違いがあり、取り上げることが出来るテーマにある程度の差があるのはやむを得ないのかもしれない。今回は3校が初参加であった。福井県から初めての参加となった福井県立若狭高校は1年生の女子生徒一人の発表であった。学校周辺の放射線量を丹念に測定した結果の報告であったが、考察はともかく大変ガッツのある発表で、このような生徒が増えてくると将来が楽しみである。
審査の結果、最優秀賞には京都府立桃山高等学校が選ばれ、表彰状、トロフィに加えて放射線測定器が授与された。
写真2 表彰式(最優秀賞:京都府立桃山高等学校の皆さん)
審査員特別賞には初参加の京都光華高等学校が選ばれ、表彰状と放射線測定器が授与された。
審査員特別賞の京都光華高校は女子高で、女子生徒3名の参加であったが、自分たちの調査活動結果をふまえて、一般公衆に対して1mSvとなっている現在の規制値は健康に問題のあるレベルではないので、福島の現状から考えて目安値という値の導入を提案したことが評価されたようである。
三回目となった今回は参加校もふえ、発表内容も幅が広くなった。イベントの認知度も上がってきたとの印象ではあるが、レベル的にはかなり差があるものの、この活動を通して若い世代の皆さんの放射線に関する科学的理解が深まっていくことを期待したい。
(文責:専務理事 大嶋隆一郎)
写真3 表彰式(審査員特別賞:京都光華高等学校の皆さん)