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平成15年度「みんなのくらしと放射線」展 開催後記

恒例の放射線展が今年も8月1日より6日間の日程で行われた。

今年は20年目と言うことで「スペシャル」と形容詞を付けたが、基本のコンセプトは放射線の不思議なパワーを「魔法」と見立て、「魔法の学校で、科学と放射線について楽しく学ぼう!」として展開した。「魔法」は最近の人気作品の影響で子供社会のブームになっている状況を意識している。いわく、展示はマジカルオリエンテーションに始まって、まほうのライブラリー、まほうの実験室、くらしに役立つまほうのレッスン、まほうをうまく使うには・・・。

 そして、「まほうの教室」でトゲン校長の‘放射線についてのおさらい’を聞くのだ。ここ数年の特長として、このように放射線のパワーを説明するのに、パネルや展示物だけに頼るのではなく、この催しのために作られた役者が演じるキャラクターに話して貰っている点がある。そのおもしろおかしいおしゃべりの掛け合いは、内容の理解という点で、子供達だけでなく、同伴の大人達にもよく浸透しているのではないだろうか。

  この「教室」では、他にも科学実験教室や親子工作教室も開かれ、毎年、子供の夏休みの宿題に頭を悩ますお母さん達に人気がある。

 その他、主として大人を対象にしたミニセミナーもある。大阪府立大学先端科学研究所の先生方や各種団体、企業などの有志にお願いしてさまざまな話題を優しく話して貰うものだ。これは正直言って、毎年、話が始まってからの聞き手の定着率が、必ずしも良いとは言えないのだが、今年は机の並べ方など、会場設定の工夫が良かったのか、これまでの中ではベストだった。

    ONSAからは出来るだけ企業の方にお願いしており、ことしは非破壊検査株式会社の藪下延樹さんに、実社会で行われている多くの具体例を挙げながら、X線でさまざまなものの中身が見えるんだよ、と言う話をしていただいた。‘たこ’の体内にはしばしば釣り針が残ることがあるので、危険防止のためにX線での検査がかなり普及しているという話が耳新しかった。

トゲン校長と熱血教師Xのかけあい

 

ミニセミナーで熱演する非破壊検査(株)の藪下延樹氏

その他、ことしは「学校」と言う形を生かして、来場者に「魔法のノート」と言う冊子が配られると言う工夫があった。これは場内を回る手引きにもなっていたが、これが非常に良かったと言う印象を持った。たとえば、これまで比較的うわの空で通過されるケースが多かった霧箱コーナーで見る限り、来訪者のほとんどが熱心に箱の中を見つめ、白いひも状の白雲をはっきり確認して行ってくれた。

あれこれの工夫が生きた上に、とくに今回は、多くの関係者のご苦労が実ったのであろうか、来場者の集計値がここ数年の値の約50%増という驚くべき数字(31,000人強)となった。まだ、アンケートの結果がまとまっていないので、詳しい解析はされていないが、回を重ねる毎に経験を生かして来たI&Sのスタッフのアイデアとご苦労も忍ばれる。

大学機構の改革が迫り、放射線展の行方も取りざたされる近頃だが、何とか続けて行きたいと言うのが関係者の願いである。

(S.F.)